目が覚めたらBLゲームの悪役令息になったけど、山に引き籠もりたいので全力で主人公を応援しますっ!

mana.

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【13歳】

【13歳】4 オークver.

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7歳の時、王宮の婚約者選びを兼ねた茶会だった。

「初めてお目にかかります。私…………の…………と申します♡」

上辺だけの笑顔、上辺だけの挨拶、上辺だけの………
全く言葉が入ってこない。
俺が必要じゃない。俺の肩書と俺の繋がりが欲しいだけ。

つまらない。

適当にあしらって適当に菓子食って気分悪いって部屋に戻ろうとしたら、部屋の端に置かれたテーブルでやたら顔の綺麗な子どもが1人座っていた。

へぇ…ボッチかよ。

「お前、何でそんな所で1人でいるんだ?」 

最初は軽い気持ちだった。

「え…馬車酔いしたから…」

そいつは下を向いたまま返事をした。

……睫毛…長ェ……

「挨拶とかしなくて良いのかよ?」

「んな面倒な事、父上にお任せしますよ。」

俺が話し掛けるだけで泣いて喜ぶヤツもいるのに、顔すら上げるのも面倒なのかよ。
フフッ、面白いな。

「王子にも顔売るチャンスじゃないのか?」

俺の顔…見ろよ。覚えてやるから。

「………いやぁ………それこそ面倒……君が行きゃ良いじゃん。」

あぁ…ホントにそうだな。

「フフッ………俺も、面倒…かな。」

…何もかも………面倒だ………

「へへ…気が…合う……じゃん………」

そいつは顔を上げてフワッと花が咲いた様に笑うと、笑顔のまま横に倒れて行った。

「あ!大丈夫か?!お前!!」

「あ!オーク様っ!こんな所に!」

ヒイラギが俺を見つけて走って来たので、そのまま介抱して親へ引き渡すと馬車で帰って行った………

「ヒイラギ………俺、見付けた………」

「は?」

「今倒れて帰ったヤツ……俺、アイツが良い………」


___それが最初の出会い___


「申し訳ございません…………先日の方はローズウッド家のご子息シオン様でしたが………身体が弱く、王都に登城するのは難しいかと………」

「そうなのか?じゃあ、来たくても難しいなら俺が行ってやる!アイツも泣いて喜ぶだろう♪」

ヒイラギに聞いて俺はすぐに直接ローズウッド家へ意気揚々と乗り込んで、考えが甘かった事を思い知らされた。

でも…俺をちゃんと見てくれた………

王都に戻ってからは真剣に考え、アベリアやザクロにアイツへの最初のプレゼントを相談した。
一生懸命考えて花を用意して再び臨んだ…が…花は特に喜ばれず、使用人へと手渡された。

宝石とかの方が良かったのだろうか?


「俺には人との付き合い方に問題があるから…お前が俺に教えて欲しい。俺がこちらに通う事にする。」


一緒にいたい為の、取って付けたような理由だ。
そこから季節毎の2週間、シオンと共に過ごす時間は俺にはどんな宝物にも負けないくらいキラキラとした日々だった。

そして…シオン以外にはいないのだが「婚約者」にしたら絶対嫌がるだろうと思って王国議会へは「婚約者候補」と、して申請した。

その後も季節毎の2週間は続き…7歳最後の2週間。

シオンに誘われてお気に入りの場所だと言う樹の下に連れて行かれた。

心地よい風、心地よい陽差し……

……風や陽の光に愛されてるのか…頬を照らし、髪を擽る様になびかせるのを喜ぶシオンに……見惚れてしまう………

「…………俺は今回の滞在で」

心臓が壊れそうなほど…ドキドキする……

「…俺は本気で…お前が…好きになった。」

でも……

「でも、婚約は俺がもう少ししっかりするまでしないでおく。」

俺はまだ子どもだから…お前を守るためにはまだ色々足りてない。

呆然としているアイツの手を取り左の薬指にキスをする。

チュッ

「?!」

「………約束…」

待ってて。

「………はい、そこまで。」

「あ、カヤ。」

気付いたらカヤがアイツを抱えらて離された。
暗い目で俺を睨んできやがる。

「シオン様、風が出てまいりましたのでお身体に障ります。そろそろ戻りましょう。」

「そうだね。オーク様も戻る前に体調を崩されたら大変だもんね。」

アイツへは何事も無かった様に微笑んで連れて行った。


「俺は18歳まで『候補』じゃないなら、もう候補すら外れますっ!!」


え?!絶対
「やだっっ!!」

思わず即答してしまった……迂闊だった………

俺は渋々18歳まで『候補』を確定にした。

年々シオンは綺麗になっていく………
早く大人にならないと…アイツ……カヤに……取られる……アイツは出会った頃からシオンを見る目が他と違った。

そして、俺を見る目も…

俺は………絶対負けない……!

早く大人になって候補から正式な婚約者にしたい。
その為ならどんな努力も惜しまない。

カヤも毎日クロバイ達と魔法や剣術をしているらしく、俺との手合わせは日に日に力強い攻撃をしやがる。
メキメキ上達してるのが手に取る様に分かるから、こちらも絶対負けていられない。

いつもの様にカヤと手合わせをする。シオン、たまには俺のカッコいい所見とけよぉっ………ってぇっ?!

「ひぁぁぁぁあっ!お前っ!!」

何っってもん見せ付けるんだよっ!!

「あぁぁあっ!シオン様っ!!」

「えぇ?!何っ?!」

カヤがもの凄い勢いで走って、胸まで捲り上げて腹の筋肉を見ていたシオンの服を思い切り下に引き下げた。

………乳首っ……見え…てた…
男のくせに………あんな綺麗な肌してて……しかも…あんな…綺麗な…………っ!
落ち着けっ!

………カヤっ!近ぇよっ!!

「おい、何話してんだよ。」

「スミマセン、ちょっと肌の露出の注意を。」

「全くだよ!お前、自覚しろよな~。」

ホントに自覚してくれよっ!

「…ゴメン……無駄話出来るくらい…訓練物足りなかったみたいだね………」

いつの間にか、俺達の前にカイエが立っていた。
ニッコリ笑うカイエは…その後俺達にキツイ訓練を追加された………

訓練は思ってた以上にキツくて、俺はその日は飯も食わずに眠ってしまった…

次の日、俺はクロバイから訓練の都合で動きやすい服で来て欲しいと言われたのでシオンに伝えにやって来た。

___コンコン___

「はい。」

「失礼する。シオン、今日の……………」

………何だ…頬の赤み……キラキラした目の潤み…そして………溢れる色気………

「?どうしたの?」

「………あ、いや……あ………今日のクロバイの魔法の訓練なんだが………何だっけ…」

………何だっけ……カヤがいなかったら……すぐにでもコイツを……押し倒してしまいそうだ。

俺は去年の終わりから閨の講義が始まった。
既に身体を合わせる事がどういう事かも理解している。

アイツのあの顔………昨日…何があった?

俺の顔が…熱くなるのを感じる………何なんだ…昨日とまるで雰囲気が違う……

「いや………俺も何か分からないけど。」

…?」

今までコイツ「俺」なんて使った事ないよな?

「あっ!俺も、もぅ13歳だしっ!『僕』から『俺』に変えようと思ってさっ!!」

……原因は……カヤ………か………?!

「…………ふ~ん…」

面白くない………

「で、何なの?」

駄目だ!ここにいたらカヤがいても押し倒して色々と聞いてしまいそうだ。

そんな事したら…コイツに嫌われる。
そんな事したら………婚約の候補自体解消されてしまう。

そんなの…嫌だ!

「あ…っあぁ!クロバイが今日は攻撃魔法の応用をするから動きやすい服で来るようにって……言ってた。……あ!俺先に行ってるな!」

ここにいたら俺は我慢出来なくなるっ!

俺は用事がある素振りをして先に部屋を出ていった。
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