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【13歳】

【13歳】3

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…………カヤにあんな事されて正直昨日は眠れなかった………

そりゃ転生前はもっと凄い事してたよ?
でもね…何だろ………何もかもイケメンだよ?
色気駄々漏れオバケだよ?
もうね、心臓バックバク。

王子には全く感じないけど………何だろなぁ…
カヤは…ドキッと、する時あるんだよなぁ。
ゲームじゃクロバイ推しだったけど………今じゃクロバイは「お父さん」ポジションなんだよね。
カヤは歳が近いからかなぁ………あ、それなら同じ歳の王子か。

…………何でだぁ?

___コンコン___

「失礼致します。」

「うひゃいっ!」

「……………フフッ!何ですか?それ?」

「いきなりでビックリしたの!」

「おはようございます。」

笑いながらやって来たカヤがいつもの様に朝の準備をし始めた。

………あんな事あったのに…いつも通りじゃん………

「はい、シオン様。」

顔を洗い、タオルを手渡される。

「ありが……っ!」

グイっと、腕を引かれてカヤの胸に収まった。

「フフッ……昨日のシオン様…………可愛かった…」

「ん…っ。」

耳元で囁かれて甘い声にゾクッとする。
昨日までは擽ったかっただけなのに…

「少しずつ…閨のお勉強も……していきましょうね。」

「閨?」

「そうです。もう大人ですからね。」

そう言ってカヤはニッコリと妖艶に微笑んだ。

___コンコン___

「はい。」

「失礼する。シオン、今日の……………」

「?どうしたの?」

「………あ、いや……あ………今日のクロバイの魔法の訓練なんだが………何だっけ…」

オークの顔が赤くなり、言葉も途切れ途切れになってしまった。
急に何なんだ。

「いや………俺も何か分からないけど。」

…?」

「あっ!俺も、もぅ13歳だしっ!『僕』から『俺』に変えようと思ってさっ!!」

「…………ふ~ん…」

「で、何なの?」

「あ…っあぁ!クロバイが今日は攻撃魔法の応用をするから動きやすい服で来るようにって……言ってた。……あ!俺先に行ってるな!」

「……分かった…」

いや、よく分からんけど………
オークはバタバタと走っていった。

カヤに着替えさせてもらい、今日は攻撃魔法と言うことでいつもとは別の場所になった。


___クロバイは普段は優しいが、訓練は結構厳しい___


「そうっ!すぐに体勢を立て直して!」

「はいっ!」

バシュッ!

光の珠が相手に放たれる。

今日は俺とカヤvsオークとヒイラギさんでペア対戦だ。

ペアなのでお互いを補いながら戦うのだが………

「カヤっ!」

「何で…すかっ!」

「お前………っ!」

「カヤ!お前っ、シオン様を小脇に抱えて対戦するなっ!!」

クロバイが見兼ねて注意する。

「あ………つい。」

途中までは良かったね。うん。
オークが俺に接近戦を持ち込んでからおかしくなったよね?

「あ~…オーク様も………ちょっと寄り過ぎでしたしねぇ…」

「お前……どっちの味方だよ……」

「あ~………もう良い…」

___てなわけで___

俺とヒイラギさんvsオークとカヤになった。

「始めっ!!」

___ビュンッ!___

「?!ぴゃぁぁぁああっ!!」

2人が突進して来たぁぁあっ?!

「そこまでぇっ!お前らっ!!いい加減にしろっ!」

俺の目の前にクロバイが立ち2人を止める。

流石のクロバイも激オコだね☆
え?ヒイラギさん?
守ろうとしてくれたけど、2人の勢いに軽く飛ばされたよ…可哀想に…

そして、この訓練は中止となった。

結局魔法は個人訓練となり、俺以外はカイエの元へやられた。

「全く…」

「ゴメン…俺がもう少し強ければ…」

「いえ、シオン様のせいではありません。いざとなれば私がお守りしますので。」

「クロバイ………」


はぁぁぁ………転生前に会いたかったなぁ…このスパダリ………


13歳になってから、料理とかよりも身を守る事に力を入れ始めている。
まぁ………山奥じゃ、熊とかでるかもだしな。
………熊?出るのかな?

18歳まで「候補」なら、主役をとっとと王子に渡してミッションコンプリートじゃね?
ホント、最近は山奥行かないでここでみんなでワイワイやってたいんだけどなぁ~。

「シオン様………」

「お~カヤ、お疲れ。」

ちょっと先にクロバイとの訓練が終わった俺は先に使用人に身体を拭いてもらい、服を着せてもらっていた。

ズボンは履いていたものの窓際を向いて着替えの途中で動けなかったから少しだけカヤの方に振り向いて、小さく手をヒラヒラさせながらカヤを労う。

「…………っ。」

「?」

「……………ちょっと…カイエに…用事を思い出しました………」

___ニッコリ___

「…………フッ…………1時間程席を外します………」

………笑顔が……怖い…

「あぁ………うん………行ってきてぇぇ…?」

「失礼致します。」

___シュンッ!!___

あ、消えた。
アイツ、移動魔法習得しやがった!
羨ましいっ!!

___コンコン___

今日は忙しないな。

「はい、どうぞ。」

「失礼する。」

「あ、オーク。」

もう服は着替え終わったので、入れ違いにメイドの人にはお茶の準備をお願いして下がってもらった。

「どうしたの?」

「いや………ちょっと…話がしたくて…」

「そういや、最近一緒にいてもほとんど訓練の話ばかりだったよね?良いよ。お茶は頼んだし、カヤは用事で少し席を外してるから…一緒にお茶しよっか?」

「………うん、する。」

ん?何か素直だな?
王子を部屋の窓際にある小さなカフェテーブルに誘導して椅子に座らせた。
ここは中庭の大きな樹の下の次にお気に入り場所だ。
大きな窓から入る陽の光は天気の良い日はポカポカと感じ、雨の日は優しく外の景色を映す。
雪の日とか最高なんだよなぁ…

___フフッ___

「シオン………」

「あ、ゴメン。何?ぼ~っと、しちゃってたね。」

「あ…いや………茶が…来た…」

「あ、ありがと。……?何か元気ない?大丈夫?」

「うん。大丈夫。」

何か王子、元気ねぇな。
どうしたどうした~思春期の悩み?
オッチャン聞いてやるぞぉ~。


…………と、思っていたが、何故か訓練の取り留めのない話で20分程で話は終わった………
コイツ、何しに来たんだ。
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