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第45話・運命の人-1
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「んんん!?!?」
突然現れたカシリアに驚かされたせいか、 目の前の少女は食べ物を頬張って大きな肉の塊をそのまま飲み込んでしまい、息ができずに意味の分からない声を出していた。
「うううう!」
少女はジェスチャーで何かを必死に訴えていたが、その姿は何か踊っているように見えて、全く読み取れなかった。
これは何か新手の詐欺か?
喉が詰まって息が出来ないと目の前に倒れて、そして影からもう一人が出て来て責任とれとか言ってくるのか?カシリアはこの少女の意図を詮索しながら、この滑稽で斬新な演技を堪能していた。
「んん!」
少女は依然として何を言っているのか分からないが、突然手を伸ばして、カシリアの持っていたグラスを奪い、水を飲むように、高価なワインをゴクゴクと飲み干した。
これはアルコール濃度の高い貴重な国家パーティー用ワインで、飲酒に不慣れな若者には、苦くて飲み込めない程の強い酒だ。一口一口じっくりワインの濃厚な香りと風味を味わうのが正しい飲み方だ
そんなはずだったが。
「あ~…助かったぁ~」
少女はどうやらやっと喉に詰まった食べ物を飲み込めたらしく、満足した表情でヘラヘラと笑っていた。
「は?」
カシリアはこの突拍子もない行動にびっくりさせられた。
常貴族なら王族に会えばせめて挨拶だけは必ず真っ先にするものだろう!?
カシリアは生まれて初めてこんな扱いをうけた。
何の断りもなく勝手にグラスを奪った上に、手を油で汚された。
既に酔っているとも見えないし、そもそもこのワインは飲んですぐ酔う様な物でもないし、アルコールの強い酒を飲んでも、顔色に何の変化もなかった。
これほどに礼儀も優雅さもない食べ方をするのは、平民の学生か?
そう思いたい所だが、ぱっと見てスリムで優美な体型に、端麗で可愛い容姿、薄黄色の肌は貴族ほど白くはないが、健康的で元気のある感じが伝わって来て、独特な魅力があり、少し斜めに付けられた髪飾りも、その活気ある姿にとても似合っていた。
この少女の姿は貴族にも見えないし、かと言って平民にも見えない、その両者の間のようだった。
少女が身につけているドレスは、先ほど見かけた「誰かを探している夫人」の着ていた、サファイアを飾った服に似ていた。
このドレスのデザインからして、間違いなく彼女も地位の高い貴族の令嬢だろう。
もしかして、先程の夫人が探しているのはこの人?
しかしいい歳をした少女がこの様なド平民な食べ方をするとは、一体どこで学んできたのだろう。
カシリアは驚愕しながら目の前の少女を見た。そして少女もまたカシリアを見たが、動じることもなくポケットから非常に高価そうなハンカチを取り出して、雑に口と両手の油を拭き取った。
「あはは~!ワインありがとう、このワインがなければ死んじゃってたかもね」
少女は無邪気に笑いながら話しかけた。
は?手に油を付けて謝りもしないとは!?
「あ、手に油つけちゃってごめんね!ちょっとまってて」
「なに!?君!ちょっー」
少女が何をしようとしているのかに気がついて、驚いて声を出して止めようとしたが、しかし…
彼女はお構いなしにカシリアの手を掴み上げ、さっき彼女が手を拭いて汚れたハンカチでカシリアの手を雑に擦った。
「あああああ!?」
礼儀を気にしてそんなに大きい声ではないが、魂が抜かれたの様な叫び声を上げた。
「どうした?手を拭いてあげてるだけだよ?何を泣いてんだよ?」
生き生きとした愛らしい笑顔を浮かべていて、全く悪気は無いようだった。
手を拭いたって?その口と手の油を拭いたハンカチがキレイかどうかはともかく、その力加減と来たら、垢すりでもされているようだった。
まるで平民のように粗暴で無礼なのに、その純粋で自然な笑顔は、カシリアから怒りを消し去ってしまう。
これはカシリアを取り巻く貴族少女の微笑みとは違い、心からの自然な笑顔だった。僅かな月の光に照らされて、本当に稀有なものに感じられた。
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突然現れたカシリアに驚かされたせいか、 目の前の少女は食べ物を頬張って大きな肉の塊をそのまま飲み込んでしまい、息ができずに意味の分からない声を出していた。
「うううう!」
少女はジェスチャーで何かを必死に訴えていたが、その姿は何か踊っているように見えて、全く読み取れなかった。
これは何か新手の詐欺か?
喉が詰まって息が出来ないと目の前に倒れて、そして影からもう一人が出て来て責任とれとか言ってくるのか?カシリアはこの少女の意図を詮索しながら、この滑稽で斬新な演技を堪能していた。
「んん!」
少女は依然として何を言っているのか分からないが、突然手を伸ばして、カシリアの持っていたグラスを奪い、水を飲むように、高価なワインをゴクゴクと飲み干した。
これはアルコール濃度の高い貴重な国家パーティー用ワインで、飲酒に不慣れな若者には、苦くて飲み込めない程の強い酒だ。一口一口じっくりワインの濃厚な香りと風味を味わうのが正しい飲み方だ
そんなはずだったが。
「あ~…助かったぁ~」
少女はどうやらやっと喉に詰まった食べ物を飲み込めたらしく、満足した表情でヘラヘラと笑っていた。
「は?」
カシリアはこの突拍子もない行動にびっくりさせられた。
常貴族なら王族に会えばせめて挨拶だけは必ず真っ先にするものだろう!?
カシリアは生まれて初めてこんな扱いをうけた。
何の断りもなく勝手にグラスを奪った上に、手を油で汚された。
既に酔っているとも見えないし、そもそもこのワインは飲んですぐ酔う様な物でもないし、アルコールの強い酒を飲んでも、顔色に何の変化もなかった。
これほどに礼儀も優雅さもない食べ方をするのは、平民の学生か?
そう思いたい所だが、ぱっと見てスリムで優美な体型に、端麗で可愛い容姿、薄黄色の肌は貴族ほど白くはないが、健康的で元気のある感じが伝わって来て、独特な魅力があり、少し斜めに付けられた髪飾りも、その活気ある姿にとても似合っていた。
この少女の姿は貴族にも見えないし、かと言って平民にも見えない、その両者の間のようだった。
少女が身につけているドレスは、先ほど見かけた「誰かを探している夫人」の着ていた、サファイアを飾った服に似ていた。
このドレスのデザインからして、間違いなく彼女も地位の高い貴族の令嬢だろう。
もしかして、先程の夫人が探しているのはこの人?
しかしいい歳をした少女がこの様なド平民な食べ方をするとは、一体どこで学んできたのだろう。
カシリアは驚愕しながら目の前の少女を見た。そして少女もまたカシリアを見たが、動じることもなくポケットから非常に高価そうなハンカチを取り出して、雑に口と両手の油を拭き取った。
「あはは~!ワインありがとう、このワインがなければ死んじゃってたかもね」
少女は無邪気に笑いながら話しかけた。
は?手に油を付けて謝りもしないとは!?
「あ、手に油つけちゃってごめんね!ちょっとまってて」
「なに!?君!ちょっー」
少女が何をしようとしているのかに気がついて、驚いて声を出して止めようとしたが、しかし…
彼女はお構いなしにカシリアの手を掴み上げ、さっき彼女が手を拭いて汚れたハンカチでカシリアの手を雑に擦った。
「あああああ!?」
礼儀を気にしてそんなに大きい声ではないが、魂が抜かれたの様な叫び声を上げた。
「どうした?手を拭いてあげてるだけだよ?何を泣いてんだよ?」
生き生きとした愛らしい笑顔を浮かべていて、全く悪気は無いようだった。
手を拭いたって?その口と手の油を拭いたハンカチがキレイかどうかはともかく、その力加減と来たら、垢すりでもされているようだった。
まるで平民のように粗暴で無礼なのに、その純粋で自然な笑顔は、カシリアから怒りを消し去ってしまう。
これはカシリアを取り巻く貴族少女の微笑みとは違い、心からの自然な笑顔だった。僅かな月の光に照らされて、本当に稀有なものに感じられた。
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