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増える同居人
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ようやく釈放か、と、その言葉を思い浮かべて、リラははたと気づき難しい顔になる。
釈放って何、釈放って、と、浮かんだ言葉を打ち消すように首を振り、総務の自分の部署までわざわざそれを伝えにきた兄を見上げた。
「なんで、リンデン兄さん?」
凛々しい騎士の隊服に身を包んだ兄は、ほんの少し前まで訓練をしていたことを示すかのように額に汗を滲ませている。少しため息をついて手を伸ばし、ハンカチで拭いてやれば無防備に目を閉じて妹の好きにさせる兄を見上げ、ため息は苦笑になった。
リラもとっくの昔に婚期を逃しているが、女性ほど言われないにしても、このリンデンも遅いし、上のクエルチアとシオンに至っては、リラと同じように婚期を逃したと言われてもおかしくない年になっている。ただ、この見目麗しく有能な兄たちが良い婿候補として、あるいは嫁ぎ先として常に腰眈々と良家から狙われているのはリラであっても知っている。というか、さりげなくすらない探りを頻繁に入れられれば知って居ても当たり前か。
「シオン兄上はアレンを置いたまま離れられないと言うし、クエルチア兄上は、今は面倒なくらいに機嫌が悪い」
「機嫌…」
あの兄の機嫌とかやる気とか、わかるのは兄弟くらいだ。
だから後で顔を出しておけと言われれば、リラは遠い目をする。
「えー。めんどう」
「兄上、泣くぞ」
比喩ではない。本当に泣く。シェフィールドの人間以外が目にすることはないが。そもそもあの兄が能動的に動くのはこの末の妹の為くらいなのではないかと思うくらいに、過ぎた兄ばかなのだ。
「先日の陛下の残念な提案にお怒りの王妃様が当面公務を控えられているからな。王妃様の命令で殿下たちも最低限のことしかしていない」
「兄さんたちがその尻拭いをするとは思えないけど」
むしろ、出仕すらしなくなりそう、と言えば、まあその通りだ、とリンデンは頷く。
兄弟揃って出仕しており、王都に住んでいるのだから一緒に住んだほうが経済的というものだろうが。兄たちは家を継ぐ気はないことを示すかのように揃いも揃って家を出て、それぞれに部屋を借りて住んでいる。多忙を極めるため、帰れない日も多く、その家の状況は…放っておけば残念なことになるが、定期的にエルムや領地から他の仕事の用事で上京してきた使用人がリースの許可を得て片付けや掃除をしているおかげで問題なく過ごしてはいるようだ。
リラは、今まではリースの体のことがあったため他の兄たちの家に寄ることはほとんどできなかったが、今後は少し、気にかけようとは思う。それほど家事もできないし、魔法も使えないので役にも立たない上に、女性が訪れたりしたら面倒、と思えばなかなか実行に移せる気はしないが。
それ以前にリースの許可が下りない、とは流石にリラも想像はしない。
とりあえず、一番この話から遠いところいいたはずのリンデンが、明後日アレンディオがようやくシオンの執務室から解放されることを伝えにきたわけで。
兄と妹の会話は無造作に事務室の中でされているから、聞き耳など立てなくても近くの席の人間には耳に入る。
マチルダに怪訝な顔を向けられ、あ、と、リラはその目をリンデンに向けた。
「兄さんが変な言い回しするから、周りが誤解する」
「ん?ああ。すまん。とりあえず伝えたぞ。どうせ今日の夕方顔を出したときに聞くだろうが」
ところで、と、続いて口にされた話題に、こっちが本題かと、リラは盛大に嫌な顔をした。
「お前、うちの副団長に何かしたか?目に見えて機嫌が良くて、気持ち悪い」
「…っっっ知らない」
結果的に目を逸らし、小さくそう、言うだけになる。
副団長、の響きに周囲の視線があからさまに向けられたのも気まずい。どうせ家を出る前にも家に帰ってからも、ローランドの家に居候をさせてもらっている間は顔を合わせるのに、相変わらず昼休みはやってきて、なぜか当たり前のように用意されている手作りのお弁当を食べている。リラが忙しくて自席で簡単に済ませようと思っている時は、その辺から勝手に椅子を持ってきて脇に座り、手を動かしながらでいいと、口に運んでくるのを楽しそうにやる。いじめか?と言いたい。休憩はきちんと取らないとダメだが、それで帰りが遅くなるのも困ると勝手にぶつぶつ言いながら。
挙句仕事量がおかしいのではないかと呟き始めるから、それを誰かに言う前に、止めた。仕事を数日休んだせいだし、むしろ居ない間にかなり手伝ってもらっている。程よい頃合いに、仕事中も餌付けもされている。
一緒に帰れないのだから昼休みくらいはという、彼側の理屈だけで成立している昼休みは、とりあえず総務の面々は見ない聞かないを徹底することにしたらしい。
つまり、助け舟は、ない。
反応を見て何を思ったのか、あっさりと去る前に、ああ忘れて居た、と、リラの口にチョコを放り込んで、にっこりと笑う。
「今日の夕方は副団長も呼んだと言っていた。アレンが帰るのに護衛のことで打ち合わせるそうだ。頑張れよ?」
「え。騎士団絡みならもう、兄さんでいいじゃない。なんで」
そんな嫌そうな顔したの知られたら、大変だぞ、と笑いながら去っていく兄の背中を見送って、口の中のチョコを堪能しつつ考える。
これは、どういう意味のチョコかなぁ、と。
そして予告された夕方。
邸に戻ることができると伝えられたアレンディオの複雑な顔と、隠そうとした手の震えを見たリラは、顔をしかめてその、ようやく肉付きも戻り始めた頬に手を当てる。
「アレン…」
「大丈夫。家のことも、やらないといけない」
ただ、忌まわしい記憶の多い、いや、忌まわしい記憶に塗れた邸に帰ることは、恐怖でしかないのだろう。
これまで追い出された、アレンディオを心配するかつての使用人たちが戻って、家を保っているとは、シオンが言うけれど。様子を変えるよう心配りをしているとは言うけれど。
「アレン、わたしがいても同じことかもしれないけれど、慣れるまで一緒にいましょうか?まだ、体調だって万全じゃない」
「そ…れは」
反射的に顔を上げ、アレンディオはかぶりをふる。嬉しいけれど、この上なく嬉しいけれど、幼い頃からの想い人がその距離に生活しているのは、拷問みたいなものだと思う。それを想像しただけで、あの忌まわしい邸が、すべてが起こる前の、楽しい記憶の邸に思えたから不思議だし現金なものだけれど。
それに。
リラの向こうで聞いているローランドの顔が、思い切り引きつっている。
断られて、寂しげに。そして、悲しそうにリラは俯く。自分がいれば、嫌な記憶を呼び覚ますのだろうと思っているから、当たり前だとは思うけれど。
それならせめて、と幼なじみの顔を見上げる。
寝台から出て、ソファに腰かけられる程度には回復しているアレンディオは、今は軽装に着替え、ソファでリラと並んで座り、向かいにシオンとローランドという状況になっている。レイは、当たり前のようにリラの側に控えている。
「久しぶりに入ったアレンの家、昔と中の様子がずいぶん変わっていたわ。少し、リフォームをしない?したとしても、昔からの由緒あるお家を変えてしまうのなら抵抗があるけれど、既に変わってしまっているのなら…」
「ああ…それなら」
そうすれば、あの家でもちゃんと呼吸ができるようになるかもしれない。
あの家は、呼吸することすら怖かった。香が焚かれ、気持ち悪かった。
想像するだけで吐き気を催しそうな家。震える手を抑えたいのに、頭から血の気が引くのも分かる。
情けない、と唇を噛もうとして、白くなるほどに握りしめた手が柔らかな温度に包まれ、目を上げる。
爪が食い込む掌を撫で、そっと手を開かせようと自分の手で包んでいるリラの様子を目にして、アレンディオは深く呼吸をして自分を落ち着ける。
その様子を、苦い思いで眺めながら、ただ、リラのしたいことの意味はわかる。
だから、ローランドはため息をついた。乗り掛かった船だ。それに、まだ、あの女は逃げたまま。家の改装をすれば、ついでにまだ出てきていない証拠品も押収できるかもしれない。
「しばらく、我が家に滞在するといい。そうすれば護衛を騎士団からさく必要もなくなる。彼女の提案通り邸に手を入れ、それでも、そのような状態になるのであれば土地を探して新しく建てるんだ。その状態で生活をすれば、また体を壊す。それで彼女がまたつきっきりになるのは、承服しかねる」
最後の一言が、本音か、とシオンはうっすらと口元に笑みを浮かべる。
すべて、彼とクエルチアの想定どおりに話は進んだようなもの。それがわかるからローランドは苦い顔をするし、レイはため息をついている。
リラだけが、嬉しそうな顔をして、アレンディオの顔を覗き込んでいるが。
みんな思っている。
その顔で見られて、その男が断れるわけないだろう?
釈放って何、釈放って、と、浮かんだ言葉を打ち消すように首を振り、総務の自分の部署までわざわざそれを伝えにきた兄を見上げた。
「なんで、リンデン兄さん?」
凛々しい騎士の隊服に身を包んだ兄は、ほんの少し前まで訓練をしていたことを示すかのように額に汗を滲ませている。少しため息をついて手を伸ばし、ハンカチで拭いてやれば無防備に目を閉じて妹の好きにさせる兄を見上げ、ため息は苦笑になった。
リラもとっくの昔に婚期を逃しているが、女性ほど言われないにしても、このリンデンも遅いし、上のクエルチアとシオンに至っては、リラと同じように婚期を逃したと言われてもおかしくない年になっている。ただ、この見目麗しく有能な兄たちが良い婿候補として、あるいは嫁ぎ先として常に腰眈々と良家から狙われているのはリラであっても知っている。というか、さりげなくすらない探りを頻繁に入れられれば知って居ても当たり前か。
「シオン兄上はアレンを置いたまま離れられないと言うし、クエルチア兄上は、今は面倒なくらいに機嫌が悪い」
「機嫌…」
あの兄の機嫌とかやる気とか、わかるのは兄弟くらいだ。
だから後で顔を出しておけと言われれば、リラは遠い目をする。
「えー。めんどう」
「兄上、泣くぞ」
比喩ではない。本当に泣く。シェフィールドの人間以外が目にすることはないが。そもそもあの兄が能動的に動くのはこの末の妹の為くらいなのではないかと思うくらいに、過ぎた兄ばかなのだ。
「先日の陛下の残念な提案にお怒りの王妃様が当面公務を控えられているからな。王妃様の命令で殿下たちも最低限のことしかしていない」
「兄さんたちがその尻拭いをするとは思えないけど」
むしろ、出仕すらしなくなりそう、と言えば、まあその通りだ、とリンデンは頷く。
兄弟揃って出仕しており、王都に住んでいるのだから一緒に住んだほうが経済的というものだろうが。兄たちは家を継ぐ気はないことを示すかのように揃いも揃って家を出て、それぞれに部屋を借りて住んでいる。多忙を極めるため、帰れない日も多く、その家の状況は…放っておけば残念なことになるが、定期的にエルムや領地から他の仕事の用事で上京してきた使用人がリースの許可を得て片付けや掃除をしているおかげで問題なく過ごしてはいるようだ。
リラは、今まではリースの体のことがあったため他の兄たちの家に寄ることはほとんどできなかったが、今後は少し、気にかけようとは思う。それほど家事もできないし、魔法も使えないので役にも立たない上に、女性が訪れたりしたら面倒、と思えばなかなか実行に移せる気はしないが。
それ以前にリースの許可が下りない、とは流石にリラも想像はしない。
とりあえず、一番この話から遠いところいいたはずのリンデンが、明後日アレンディオがようやくシオンの執務室から解放されることを伝えにきたわけで。
兄と妹の会話は無造作に事務室の中でされているから、聞き耳など立てなくても近くの席の人間には耳に入る。
マチルダに怪訝な顔を向けられ、あ、と、リラはその目をリンデンに向けた。
「兄さんが変な言い回しするから、周りが誤解する」
「ん?ああ。すまん。とりあえず伝えたぞ。どうせ今日の夕方顔を出したときに聞くだろうが」
ところで、と、続いて口にされた話題に、こっちが本題かと、リラは盛大に嫌な顔をした。
「お前、うちの副団長に何かしたか?目に見えて機嫌が良くて、気持ち悪い」
「…っっっ知らない」
結果的に目を逸らし、小さくそう、言うだけになる。
副団長、の響きに周囲の視線があからさまに向けられたのも気まずい。どうせ家を出る前にも家に帰ってからも、ローランドの家に居候をさせてもらっている間は顔を合わせるのに、相変わらず昼休みはやってきて、なぜか当たり前のように用意されている手作りのお弁当を食べている。リラが忙しくて自席で簡単に済ませようと思っている時は、その辺から勝手に椅子を持ってきて脇に座り、手を動かしながらでいいと、口に運んでくるのを楽しそうにやる。いじめか?と言いたい。休憩はきちんと取らないとダメだが、それで帰りが遅くなるのも困ると勝手にぶつぶつ言いながら。
挙句仕事量がおかしいのではないかと呟き始めるから、それを誰かに言う前に、止めた。仕事を数日休んだせいだし、むしろ居ない間にかなり手伝ってもらっている。程よい頃合いに、仕事中も餌付けもされている。
一緒に帰れないのだから昼休みくらいはという、彼側の理屈だけで成立している昼休みは、とりあえず総務の面々は見ない聞かないを徹底することにしたらしい。
つまり、助け舟は、ない。
反応を見て何を思ったのか、あっさりと去る前に、ああ忘れて居た、と、リラの口にチョコを放り込んで、にっこりと笑う。
「今日の夕方は副団長も呼んだと言っていた。アレンが帰るのに護衛のことで打ち合わせるそうだ。頑張れよ?」
「え。騎士団絡みならもう、兄さんでいいじゃない。なんで」
そんな嫌そうな顔したの知られたら、大変だぞ、と笑いながら去っていく兄の背中を見送って、口の中のチョコを堪能しつつ考える。
これは、どういう意味のチョコかなぁ、と。
そして予告された夕方。
邸に戻ることができると伝えられたアレンディオの複雑な顔と、隠そうとした手の震えを見たリラは、顔をしかめてその、ようやく肉付きも戻り始めた頬に手を当てる。
「アレン…」
「大丈夫。家のことも、やらないといけない」
ただ、忌まわしい記憶の多い、いや、忌まわしい記憶に塗れた邸に帰ることは、恐怖でしかないのだろう。
これまで追い出された、アレンディオを心配するかつての使用人たちが戻って、家を保っているとは、シオンが言うけれど。様子を変えるよう心配りをしているとは言うけれど。
「アレン、わたしがいても同じことかもしれないけれど、慣れるまで一緒にいましょうか?まだ、体調だって万全じゃない」
「そ…れは」
反射的に顔を上げ、アレンディオはかぶりをふる。嬉しいけれど、この上なく嬉しいけれど、幼い頃からの想い人がその距離に生活しているのは、拷問みたいなものだと思う。それを想像しただけで、あの忌まわしい邸が、すべてが起こる前の、楽しい記憶の邸に思えたから不思議だし現金なものだけれど。
それに。
リラの向こうで聞いているローランドの顔が、思い切り引きつっている。
断られて、寂しげに。そして、悲しそうにリラは俯く。自分がいれば、嫌な記憶を呼び覚ますのだろうと思っているから、当たり前だとは思うけれど。
それならせめて、と幼なじみの顔を見上げる。
寝台から出て、ソファに腰かけられる程度には回復しているアレンディオは、今は軽装に着替え、ソファでリラと並んで座り、向かいにシオンとローランドという状況になっている。レイは、当たり前のようにリラの側に控えている。
「久しぶりに入ったアレンの家、昔と中の様子がずいぶん変わっていたわ。少し、リフォームをしない?したとしても、昔からの由緒あるお家を変えてしまうのなら抵抗があるけれど、既に変わってしまっているのなら…」
「ああ…それなら」
そうすれば、あの家でもちゃんと呼吸ができるようになるかもしれない。
あの家は、呼吸することすら怖かった。香が焚かれ、気持ち悪かった。
想像するだけで吐き気を催しそうな家。震える手を抑えたいのに、頭から血の気が引くのも分かる。
情けない、と唇を噛もうとして、白くなるほどに握りしめた手が柔らかな温度に包まれ、目を上げる。
爪が食い込む掌を撫で、そっと手を開かせようと自分の手で包んでいるリラの様子を目にして、アレンディオは深く呼吸をして自分を落ち着ける。
その様子を、苦い思いで眺めながら、ただ、リラのしたいことの意味はわかる。
だから、ローランドはため息をついた。乗り掛かった船だ。それに、まだ、あの女は逃げたまま。家の改装をすれば、ついでにまだ出てきていない証拠品も押収できるかもしれない。
「しばらく、我が家に滞在するといい。そうすれば護衛を騎士団からさく必要もなくなる。彼女の提案通り邸に手を入れ、それでも、そのような状態になるのであれば土地を探して新しく建てるんだ。その状態で生活をすれば、また体を壊す。それで彼女がまたつきっきりになるのは、承服しかねる」
最後の一言が、本音か、とシオンはうっすらと口元に笑みを浮かべる。
すべて、彼とクエルチアの想定どおりに話は進んだようなもの。それがわかるからローランドは苦い顔をするし、レイはため息をついている。
リラだけが、嬉しそうな顔をして、アレンディオの顔を覗き込んでいるが。
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その顔で見られて、その男が断れるわけないだろう?
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