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第1章
竜の記憶
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竜厩舎に立ち寄ろうとして、キリトはその前に立つ人影に気付いた。巨大な竜を本来であればその中に何頭も住まわせる竜厩舎は巨大で、少し離れたところからでも見上げるようになる。
「閣下、どうかされましたか?」
不意に声をかけられ、振り返ったシルヴィは眉間にしわを寄せる。全く、気配を感じなかった。
泰然と立っている姿は緊張感はなく、そして、隙もない。料理人には見えない。
「離宮の…」
「厨房をあずかっています」
返事をしながら、シルヴィの脇に控えるように立っている男を一瞥する。シルヴィより少し年上の、彼の側近。ずっと付き従って来ているが、離宮に立入ることは許されず、離宮に一番近い部屋を与えられている。
鳶色の目を静かに側近…セインはキリトに向け、わずかに顰めた。それはそうだろう。一介の料理人が、辺境伯である主君に気軽に声をかけるのだから。
「ここは離宮ではない。それでも王宮の方の付き添いが必要か?」
まあ、国王の命だから従っているが、納得はいかないよな、とキリトは内心で苦笑する。本来であれば、護衛も兼ねている側近が引き離されているのだから。しかも、離宮に招かれている主君はその中では自由に動くこともままならない。まあ、そこに入ることを許されているだけ、あり得ないほどの厚遇なのだけれど。
「それにお答えできる立場ではありません」
応じながら、キリトは2人の様子を見る。今日は、ルナに休みを与え、兄弟で過ごさせるため、遠方からの客人のために茶会が催されていたはずだ。まだ、終わるには少し早いはずだが。
このまま離宮に足を向ければ、運が悪いと戻ってくるルナと一緒になってしまう。それは多分、あの兄弟は喜ばない。いや、はっきり言うならば、心底嫌がる。あの、兄と弟が。
巨大な竜厩舎も王宮にあればそれほど他に比べて大きいわけでもない。これで隣に、馬の厩舎でもあれば比較されてしまうのだろうが、そんな隣り合わせにつくるはずもなく。
見上げるほどの大きなそれに、シルヴィは呟きを漏らした。
「随分と、長いこと使っていないようだな」
「ああ…」
その言葉に、思わずキリトは顔をしかめる。ここに竜が住んでいた最後の頃を記憶している者は語りたがらず、その結果、その頃幼かったり、そのあとで生まれたりした世代は幸いにも、何も知らない。
「今の陛下が幼い頃はここに竜騎士が常駐していましたが、人の住む王都に竜の力は必要ない、辺境の方が必要としているだろうと、竜騎士を持つ北の辺境伯の領地に竜騎士団を全て移管しています」
人の悪意を、害意を退けるのに、竜の力は大きすぎて。
竜騎士が竜を扱えるのは、竜がそう決めているから。竜がそれを止めようと思えば、人間が竜を操ることができるわけもない。
北の辺境伯は、あの時まで辺境伯という立場と、そして竜騎士だけでなく全ての騎士を束ねる騎士団長という、部門の2つの重責を担っていた。
「北の辺境伯は、宰相閣下の弟君でしたか」
セインが言えば、キリトは頷く。そして、ヴァルトは騎士団長として王都に常にいた。いや、あの頃は、辺境伯はヴァルトの父であり、いずれは騎士団を辞したヴァルトが辺境伯となるはずだった。
だが、本来は王位に遠かったレオボルトが政争の末に王となり、宰相にヴァルトを求めた。
「今の騎士団長は…」
「平民ですよ。いや、騎士爵はありますが。あの時、ヴァルト様と殿下の求めるものを、守り北の地まで、連れ帰った方です」
あの時。ヴァルト様。殿下。
言葉の一つ一つに引っ掛かりを覚えながら、シルヴィは体格の良い料理人を眺める。
王位には遠いが、継承権がただあるだけだった幼い王子は、行方不明になっていた。その長い間、北の地で守られていたのだと分かったのは、王位を望んでいるとも思えなかったはずのその王子が、不意に成長した姿で現れ、いつまでも落ち着かない王位を自らのものとするため立ち上がった時。
王子が行方不明になるのと、王都から竜が消えたのは同じ時期だったか。
断片だけを知る若い世代を、自らの経験として知るキリトは観察するように眺め、竜厩舎に目を向けた。
その耳に、シルヴィの少し的外れな問いが届く。
「陛下は、竜を遠ざけたのか。厭われているのか」
「まさか」
思わず、かぶせ気味に否定した。そんなはずはない。そんなことを、思い浮かべるはずもない。
「力の強い竜よりも、欲深い人間の悪意の方が恐ろしいですよ」
「え?」
聞き返す声には答えず、キリトはため息をつく。
暴走し、騎士の言葉に応じることすらできなくなった竜の苦しげな啼き声。望まぬことを強制されることに恐怖し、なおさら暴れ苦しみ…。
竜騎士でないものに、竜と竜騎士の絆は分からない。
団長だったヴァルトは、珍しく、領地にいて王都にはいなかった。そして起こった事件。誰よりも頼りになる、頼りたい人のところに、殿下を連れて一緒にあの惨状から逃れようとしたはずだった。
起きた、魔力の暴走と、そして、それにより魔力が枯渇したひと。暴走したのに、その魔力は、ただ、竜を苦しみから救っただけだった。誰にも操れないはずの、力業で制御することなどできないはずの強い生き物を、抑え宥めただけ。
「陛下は、竜も大事にしていますよ。だから、このような街中からは遠ざけ、竜の住み心地の良い地に置いているだけです」
思い出される光景を振り払い、キリトはそう言うと、頭を下げてその場を辞そうとする。
だが、一人でそこを離れることは許してもらえなかった。
「せっかくなので、離宮に戻る。お前が一緒であれば、離宮に入れるだろう」
「…承知しました、閣下」
諦めてシルヴィを伴って離宮に戻ったキリトは、実に申し合わせたように入るなり、客人がまだ戻らないとたかを括って楽しげに話しているルナとヴァルトに気づきため息をつく。
「なんだ、どっちにやられた、その頭」
「やられたって…弟です。せっかくやってくれた頭をやられた状態にするのは、ヴァルト様と陛下じゃないですか」
言いながら、ルナが伸びてくるヴァルトの手から逃れている。迷惑そうな顔と声だけれど、その纏う空気は楽しげで。
「だめですよ。絶対に、お二人に触らせるなと言われてますから。せめて今日の間は」
「くくっ。まあ、風呂に入ったり眠ったりすれば、そのままというわけにはいかんからな」
やりとりも聞きながら、先ほどよりかなり、周囲の温度が下がったような気分にさせる空気を纏うシルヴィから目を逸らし、ついでに、ここにきたら憮然としそうなこの国の最高権力者の顔も思い浮かべ、ため息をつく。
色気も何もないあの二人なんだけどなぁ、ともう一つため息をついて、諦めの境地で声をかけた。
「ルナ、客人がお戻りだ」
腕を持ち上げ、頭を撫でようとするヴァルトの手から頭を守っていたルナは、その体勢のまま振り返り、一瞬こてんと首を傾げてキリトと目を合わせてから、その背後に気がついたようだ。
しれっと、自分の頭上のヴァルトの腕を強制的に下させながら、姿勢をただし、すっと表情を消すと綺麗に、辞儀をした。
「お戻りなさいませ、閣下。このまま、お部屋でよろしいですか?」
「………っ。ああ」
苦虫を噛み潰したようなって、こういうのを言うんだろうな、と、キリトは横目に眺め、次に呆れた目を元上官に向けた。
「閣下、どうかされましたか?」
不意に声をかけられ、振り返ったシルヴィは眉間にしわを寄せる。全く、気配を感じなかった。
泰然と立っている姿は緊張感はなく、そして、隙もない。料理人には見えない。
「離宮の…」
「厨房をあずかっています」
返事をしながら、シルヴィの脇に控えるように立っている男を一瞥する。シルヴィより少し年上の、彼の側近。ずっと付き従って来ているが、離宮に立入ることは許されず、離宮に一番近い部屋を与えられている。
鳶色の目を静かに側近…セインはキリトに向け、わずかに顰めた。それはそうだろう。一介の料理人が、辺境伯である主君に気軽に声をかけるのだから。
「ここは離宮ではない。それでも王宮の方の付き添いが必要か?」
まあ、国王の命だから従っているが、納得はいかないよな、とキリトは内心で苦笑する。本来であれば、護衛も兼ねている側近が引き離されているのだから。しかも、離宮に招かれている主君はその中では自由に動くこともままならない。まあ、そこに入ることを許されているだけ、あり得ないほどの厚遇なのだけれど。
「それにお答えできる立場ではありません」
応じながら、キリトは2人の様子を見る。今日は、ルナに休みを与え、兄弟で過ごさせるため、遠方からの客人のために茶会が催されていたはずだ。まだ、終わるには少し早いはずだが。
このまま離宮に足を向ければ、運が悪いと戻ってくるルナと一緒になってしまう。それは多分、あの兄弟は喜ばない。いや、はっきり言うならば、心底嫌がる。あの、兄と弟が。
巨大な竜厩舎も王宮にあればそれほど他に比べて大きいわけでもない。これで隣に、馬の厩舎でもあれば比較されてしまうのだろうが、そんな隣り合わせにつくるはずもなく。
見上げるほどの大きなそれに、シルヴィは呟きを漏らした。
「随分と、長いこと使っていないようだな」
「ああ…」
その言葉に、思わずキリトは顔をしかめる。ここに竜が住んでいた最後の頃を記憶している者は語りたがらず、その結果、その頃幼かったり、そのあとで生まれたりした世代は幸いにも、何も知らない。
「今の陛下が幼い頃はここに竜騎士が常駐していましたが、人の住む王都に竜の力は必要ない、辺境の方が必要としているだろうと、竜騎士を持つ北の辺境伯の領地に竜騎士団を全て移管しています」
人の悪意を、害意を退けるのに、竜の力は大きすぎて。
竜騎士が竜を扱えるのは、竜がそう決めているから。竜がそれを止めようと思えば、人間が竜を操ることができるわけもない。
北の辺境伯は、あの時まで辺境伯という立場と、そして竜騎士だけでなく全ての騎士を束ねる騎士団長という、部門の2つの重責を担っていた。
「北の辺境伯は、宰相閣下の弟君でしたか」
セインが言えば、キリトは頷く。そして、ヴァルトは騎士団長として王都に常にいた。いや、あの頃は、辺境伯はヴァルトの父であり、いずれは騎士団を辞したヴァルトが辺境伯となるはずだった。
だが、本来は王位に遠かったレオボルトが政争の末に王となり、宰相にヴァルトを求めた。
「今の騎士団長は…」
「平民ですよ。いや、騎士爵はありますが。あの時、ヴァルト様と殿下の求めるものを、守り北の地まで、連れ帰った方です」
あの時。ヴァルト様。殿下。
言葉の一つ一つに引っ掛かりを覚えながら、シルヴィは体格の良い料理人を眺める。
王位には遠いが、継承権がただあるだけだった幼い王子は、行方不明になっていた。その長い間、北の地で守られていたのだと分かったのは、王位を望んでいるとも思えなかったはずのその王子が、不意に成長した姿で現れ、いつまでも落ち着かない王位を自らのものとするため立ち上がった時。
王子が行方不明になるのと、王都から竜が消えたのは同じ時期だったか。
断片だけを知る若い世代を、自らの経験として知るキリトは観察するように眺め、竜厩舎に目を向けた。
その耳に、シルヴィの少し的外れな問いが届く。
「陛下は、竜を遠ざけたのか。厭われているのか」
「まさか」
思わず、かぶせ気味に否定した。そんなはずはない。そんなことを、思い浮かべるはずもない。
「力の強い竜よりも、欲深い人間の悪意の方が恐ろしいですよ」
「え?」
聞き返す声には答えず、キリトはため息をつく。
暴走し、騎士の言葉に応じることすらできなくなった竜の苦しげな啼き声。望まぬことを強制されることに恐怖し、なおさら暴れ苦しみ…。
竜騎士でないものに、竜と竜騎士の絆は分からない。
団長だったヴァルトは、珍しく、領地にいて王都にはいなかった。そして起こった事件。誰よりも頼りになる、頼りたい人のところに、殿下を連れて一緒にあの惨状から逃れようとしたはずだった。
起きた、魔力の暴走と、そして、それにより魔力が枯渇したひと。暴走したのに、その魔力は、ただ、竜を苦しみから救っただけだった。誰にも操れないはずの、力業で制御することなどできないはずの強い生き物を、抑え宥めただけ。
「陛下は、竜も大事にしていますよ。だから、このような街中からは遠ざけ、竜の住み心地の良い地に置いているだけです」
思い出される光景を振り払い、キリトはそう言うと、頭を下げてその場を辞そうとする。
だが、一人でそこを離れることは許してもらえなかった。
「せっかくなので、離宮に戻る。お前が一緒であれば、離宮に入れるだろう」
「…承知しました、閣下」
諦めてシルヴィを伴って離宮に戻ったキリトは、実に申し合わせたように入るなり、客人がまだ戻らないとたかを括って楽しげに話しているルナとヴァルトに気づきため息をつく。
「なんだ、どっちにやられた、その頭」
「やられたって…弟です。せっかくやってくれた頭をやられた状態にするのは、ヴァルト様と陛下じゃないですか」
言いながら、ルナが伸びてくるヴァルトの手から逃れている。迷惑そうな顔と声だけれど、その纏う空気は楽しげで。
「だめですよ。絶対に、お二人に触らせるなと言われてますから。せめて今日の間は」
「くくっ。まあ、風呂に入ったり眠ったりすれば、そのままというわけにはいかんからな」
やりとりも聞きながら、先ほどよりかなり、周囲の温度が下がったような気分にさせる空気を纏うシルヴィから目を逸らし、ついでに、ここにきたら憮然としそうなこの国の最高権力者の顔も思い浮かべ、ため息をつく。
色気も何もないあの二人なんだけどなぁ、ともう一つため息をついて、諦めの境地で声をかけた。
「ルナ、客人がお戻りだ」
腕を持ち上げ、頭を撫でようとするヴァルトの手から頭を守っていたルナは、その体勢のまま振り返り、一瞬こてんと首を傾げてキリトと目を合わせてから、その背後に気がついたようだ。
しれっと、自分の頭上のヴァルトの腕を強制的に下させながら、姿勢をただし、すっと表情を消すと綺麗に、辞儀をした。
「お戻りなさいませ、閣下。このまま、お部屋でよろしいですか?」
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