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王子!ほら!見て見て!
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広い浴槽に、トロリとしたお湯が張ってある。
そこには沢山の色鮮やかな花が浮いていた。
とっても良い香りで、誰が見たってセレブリティなフロだった。
そこでオレはなんと…泳いでいた。
スイースイーと顔を湯から出して、たまにチラッと王子に顔を向け、ドヤッた。
(王子!ほらっ見て!オレってば泳ぎ得意だろ?)
王子はのんびりと湯に浸かり、そんなオレを見てゆるりと微笑む。イケメンは濡れると更に色気がやばいな。いいな。
ちゃぽ ちゃぽ ちゃぽ ちゃぽ
傍から見るとオレの泳ぎは優雅で美しい。(自称)
だが実際は、この短い後ろ足を高速で掻き回さないと前に進めない。
はぁ、疲れた。さすがにお湯の中で泳ぐのは疲れる。
ちゃぽちゃぽと王子の側まで泳いでいく。
王子の前まで来たら、王子の胸元に泳ぎながらのタッチ。
(王子、抱っこ、抱っこ)
ごめんね。オレ足つかないからよろしく。と王子を見つめて抱っこをせがむ。
すっと腕にオレを囲い入れてくれた。
重いかな?
オレ今ぽっちゃりタヌキらしいんだけど、湯の中なら軽いよね?
そういえば、ここまで来るのに抱っこしてもらってたけど、重くなかったのかな?
ああ、気持ち良い。フロなんて前世の時以来だ。ほぐれるぅ。
日々の薬草作りで疲れていたんだなぁ。
王子の腕に頭を預ける。くてんと力が抜けたと思ったら、仰向けにしてくれる。
赤ちゃん抱っこ状態だ。
ピンクのぽっこりお腹が少し恥ずかしいけど、ここ気持ち良さでもうどうでも良い。
オレはぽやぁ~と天井の絵を見ていた。美しい天使達が青空を気持ちよさそうに舞っている。
(綺麗だなぁ)
「タヌキ、おまえは誰にでもこうなの?」
問われた事の意味を考えながら、ゆっくりと天使から王子に視線を移した。
あれ、天使が王子で、王子が天使?
ニコリと笑った王子の顔が近くにある。
王子がおでこにチュッとキスする。
あ…オレも舐め返してあげなきゃ…。でも力が入らない。
せっかく仲良くなれたのに。
王子はクスクス笑っている。
「誰にでも、こうやって甘えるの?」
王子の鼻先がオレの鼻にくっつく。とっても至近距離で見つめ合っている。
「みぃ~…」
誰にでも…?という訳じゃないよ。
さっきのメイドのようにオレを嫌う人間やモンスターもいる。
だけどオレを受け入れてくれる人間やモンスターには、ついつい甘えてしまう。
そしていつだって寂しい。
おじさんのパン屋に行っても、ギルドに行っても、モンスター達と遊んでも結局オレは一人ぼっちの巣穴に帰る。
それが空しくて寂しくてたまらない時がある。
前世のオレは、快適な一人暮らしを満喫していた。
友人も数人いたが、たまに飲みに行くくらいだ。
実家の家族との連絡も年に数回だけだし、彼女もいたがマメじゃないオレのせいで、長くは続かなかった。
なんなら一人が一番気が楽だった。
だがホワイトタヌキは違う。寂しがりやの甘えたで、恐ろしい程すぐ懐く。
まさに今その状態だ。オレだって自分が恐い。
…ていうか熱い。もう上がろうよ王子。
「なんだかそれって、面白くないね」
何が?何の話だっけ?何が面白くない?
「タヌキ、何色が好き?」
?色?…王子の目の色、嫌いじゃないよ。
その綺麗な菫色の目に見つめられると、吸い込まれそうになるんだよ。
あっ…もう、だめだ。王子の声、もう聞こえない。
「おまえには首輪が必要かなあ?」
そこには沢山の色鮮やかな花が浮いていた。
とっても良い香りで、誰が見たってセレブリティなフロだった。
そこでオレはなんと…泳いでいた。
スイースイーと顔を湯から出して、たまにチラッと王子に顔を向け、ドヤッた。
(王子!ほらっ見て!オレってば泳ぎ得意だろ?)
王子はのんびりと湯に浸かり、そんなオレを見てゆるりと微笑む。イケメンは濡れると更に色気がやばいな。いいな。
ちゃぽ ちゃぽ ちゃぽ ちゃぽ
傍から見るとオレの泳ぎは優雅で美しい。(自称)
だが実際は、この短い後ろ足を高速で掻き回さないと前に進めない。
はぁ、疲れた。さすがにお湯の中で泳ぐのは疲れる。
ちゃぽちゃぽと王子の側まで泳いでいく。
王子の前まで来たら、王子の胸元に泳ぎながらのタッチ。
(王子、抱っこ、抱っこ)
ごめんね。オレ足つかないからよろしく。と王子を見つめて抱っこをせがむ。
すっと腕にオレを囲い入れてくれた。
重いかな?
オレ今ぽっちゃりタヌキらしいんだけど、湯の中なら軽いよね?
そういえば、ここまで来るのに抱っこしてもらってたけど、重くなかったのかな?
ああ、気持ち良い。フロなんて前世の時以来だ。ほぐれるぅ。
日々の薬草作りで疲れていたんだなぁ。
王子の腕に頭を預ける。くてんと力が抜けたと思ったら、仰向けにしてくれる。
赤ちゃん抱っこ状態だ。
ピンクのぽっこりお腹が少し恥ずかしいけど、ここ気持ち良さでもうどうでも良い。
オレはぽやぁ~と天井の絵を見ていた。美しい天使達が青空を気持ちよさそうに舞っている。
(綺麗だなぁ)
「タヌキ、おまえは誰にでもこうなの?」
問われた事の意味を考えながら、ゆっくりと天使から王子に視線を移した。
あれ、天使が王子で、王子が天使?
ニコリと笑った王子の顔が近くにある。
王子がおでこにチュッとキスする。
あ…オレも舐め返してあげなきゃ…。でも力が入らない。
せっかく仲良くなれたのに。
王子はクスクス笑っている。
「誰にでも、こうやって甘えるの?」
王子の鼻先がオレの鼻にくっつく。とっても至近距離で見つめ合っている。
「みぃ~…」
誰にでも…?という訳じゃないよ。
さっきのメイドのようにオレを嫌う人間やモンスターもいる。
だけどオレを受け入れてくれる人間やモンスターには、ついつい甘えてしまう。
そしていつだって寂しい。
おじさんのパン屋に行っても、ギルドに行っても、モンスター達と遊んでも結局オレは一人ぼっちの巣穴に帰る。
それが空しくて寂しくてたまらない時がある。
前世のオレは、快適な一人暮らしを満喫していた。
友人も数人いたが、たまに飲みに行くくらいだ。
実家の家族との連絡も年に数回だけだし、彼女もいたがマメじゃないオレのせいで、長くは続かなかった。
なんなら一人が一番気が楽だった。
だがホワイトタヌキは違う。寂しがりやの甘えたで、恐ろしい程すぐ懐く。
まさに今その状態だ。オレだって自分が恐い。
…ていうか熱い。もう上がろうよ王子。
「なんだかそれって、面白くないね」
何が?何の話だっけ?何が面白くない?
「タヌキ、何色が好き?」
?色?…王子の目の色、嫌いじゃないよ。
その綺麗な菫色の目に見つめられると、吸い込まれそうになるんだよ。
あっ…もう、だめだ。王子の声、もう聞こえない。
「おまえには首輪が必要かなあ?」
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