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しおりを挟む「それでレオノール、マリローズの事なんだけど」
「…うん」
「どうしたい?」
「…」
マリローズ。あれからどう出てくるかと思ったけど、まるで音沙汰がない。
今のところ、一国の王子がこんな大怪我を負っても尚、マリローズは罪に問われてはいないのだ。
きっと、これからランデルの父である陛下にも報告していく事にはなるだろうけど…。
「あの日、フレントと君と仲の良い…シャルティ嬢と言ったかな?その彼女から声をかけられた。君とマリローズの様子があまり良いものじゃなかったと聞いて、急いで探し回ったんだ。何だか嫌な予感がしたから」
そうだったんだ…シャルとフレント殿下には心配をかけたよね。
「少し、言い合いになったのよ。私も挑発するような事を言ったし…」
「マリローズは僕に気持ちがあったんだよね?」
「…?今更ね…誰がどう見てもそうだと思うけど…マリローズはあなたにべったりだったし」
アカデミーの生徒だったら、皆知ってたんじゃないかな?
「どうなのかな…昔から距離が変わらないから。今思い返すとそうだったかもと思う事もあるけど…ただ、最近僕とレオノールの事に口を出してきたから変だなとは思っていたんだ」
「…。ランデル、あなた少し鈍感すぎるわよ」
ふぅっ…と溜め息をつくと、じとっとした目で見つめてくるランデル。いや、これ睨まれてる??
…悪くない…推しからの睨み。
「君には言われたくない」
「うっ…」
「それに僕には君がいるから」
「…」
「誰かの想いには答えられない」
「うん…」
ドキドキとうるさい音に、頭がおかしくなりそう。
ぎゅっと目を瞑り、落ち着けと自分に言い聞かせる。
恥ずかしさと嬉しさに浮わついて、地に足がついていないようだ。
「照れてる」
「ええ…逃げ出したいわ」
「可愛い…逃げないで」
「…っ」
形の綺麗な指が私の長い髪を人束取って、静かにそこに口づける。
その仕草があまりに美しくて、神聖な儀式か何かのようで目を奪われる。
「レオノール」
そしてランデルの顔がゆっくり近付いて…今度は私の唇に優しく口づけた。
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