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しおりを挟むなぜ私は空き教室の教壇の下に隠れているのかな?
これは淑女としてセーフなの?いやアウトよね?
「お姉さまー??もう殿下は捕らえましたよー?お姉さまもすぐに見つけてあげますからねー?見つけた瞬間デコピンですよー☆」
なっ、なんて子なの??!!(シャルのお願いで仕方なく)かくれんぼを開始して5分しかたってないのに、もうフレント殿下を探し当てた??ここがどれだけ広い学園だと思ってるのよっ?
というか、フレント殿下は生きてるの?あの子のデコピンは神のひと突きとさえ言われているのに…!
ガタン。
やばいっ、誰か教室に入ってきた!!
シャル!!??
「ランデル、ここ空いているみたい」
天使のような甘い声がガランとした空き教室に響いた。
ま、まさかのマリローズ!!!!嘘でしょうっ??
「どうしたの、マリローズ。わざわざこんな所で…」
まるで姿は見えないけど、聞き間違える筈などない凛としたテノールの…私の推しの声。
ランデル!!
「う、うん。ごめんね。少し、お話しがしたくて」
えっ、えっ?!やばいやばいっ、どうしよ。なんか大事な話しとかしちゃう感じかな?
こっ、告白とか?
私、ここにいちゃ駄目なやつじゃない?
でもでも今更出ていく勇気もないし、淑女がへらりと笑いながら教壇の下から現れるとか有り得ないよね?
「ねえ、ランデル…ランデルは本当にレオノールと結婚するの?」
急に出てきた自分の名前に驚いて、小さな悲鳴が出そうになる。
私の話なの!?
両手で耳を塞ぎたい衝動にかられるが、これはふたりの今の状況を知るチャンスかもしれない!
表情は伺い知れないけれど…。
盗み聞きなんてしてごめんなさい!!
「結婚?するよ。どうして?」
「あの、あのね…これは私が言う事ではないのかもしれないのだけど…レオノールの背中の傷、ほとんど消えたみたいなの。本人が何でもないように言っていたのを聞いて私…驚いちゃって…」
「それは以前、すでにレオノールから手紙で聞いているよ。でも、それが?」
「…!それがって…ランデル、もうランデルが責任を感じてレオノールと結婚する必要はないのよ??」
「言ってる事が分からない。あの事とこの婚約は無関係だ」
「それじゃあ…他に何か弱味でも握られているというの?」
「さっきから意味が分からない。どうしたの?マリローズ」
「だって、あなた達の婚約は一度なかったものとされたのでしょう?それを納得いかないレオノールがあの事件を使って、もう一度あなたとの婚約を無理矢理結ばせたと聞いたわ」
「それは違う。そもそも一度目の婚約話を断ったのはレオノール側だ。そしてそれに納得がいかず、二度目の婚約を申し込んだのは僕自身だよ」
「嘘!そんなの絶対嘘だわ!!」
「…マリローズ…以前から思っていたけど、君はレオノールの事をどう思っているの?」
「もっ…もちろん大切よ?親友だもの…」
「そうは見えない。レオノールがこの学園に来てからも、全く気にかけず僕とばかりいようとする」
「それは…だって、私はレオノールと仲良くしていたいけど、何となく近付きにくくて…正直レオノールが怖いのよ。昔から虐められていたから…ランデルは知らなかったでしょうけど…」
「虐め?」
「ええそうよ。…私はいつもレオノールに馬鹿にされていたわ。爵位の低い家柄の私は、ランデルやレオノールといる資格がないって…ランデルと一緒にいようとすると、いつも嫌がらせをされたし、髪を引っ張られる事もあったのよ」
「…そう。確かにレオノールならやりかねないね」
「!でしょう??!!」
「でも彼女はレオノールであってレオノールではないから」
「え…?ランデル…何を言っているの?」
「分からないだろうからいいよ。いいんだ、知っているのは僕だけで」
「…何よそれ…ランデル変だわ!きっとレオノールに洗脳されているのよっ」
「どう思われてもいいよ。レオノールに傷付けられたのは君だし、君がレオノールをどう思うかも君の自由だ。だけどそれを僕に押し付けるのは間違っている」
「だって…!私はレオノールがどんな人間なのかをランデルに教えなきゃならないっ。いつかこの国の母になるような人があのレオノールだなんて有り得ないわっ」
「マリローズ」
「そうよ…レオノールを刺した貴族だって、実はオブライト家に従っただけなのかも…」
「マリローズ、それ以上は許さないよ」
「…!」
「僕の妻になる人はレオノールしかいない」
「そんな…ランデル…」
「話はそれだけ?もう行くよ」
「あっ…待って、ランデル!!」
バタバタと、教室から出ていくランデルを追いかけていくマリローズの足音。
そして、静まり返る教室とキャパオーバーな私。
さて。
「………………………………………………帰ろう」
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