蒼き臨界のストルジア

夜神颯冶

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失われた楽園

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目の前で家族を殺されても村人を殺せば、
殺人者として非難ひなんされる。

さばかれる。

死刑しけいになる。

その邪魔をしただけでも犯罪者はんざいしゃになる。

家族を目の前で殺すのは人間だから良くて、
それを邪魔じゃまするのは犯罪だと。

どこまでもすくわれないこの日本で、
僕だけは彼女を裏切らない、
たとえそれが迫害はくがいの対象になっても。

犯罪者としてあつかわれさばかれようと。

僕だけはけっして彼女を見捨みすてない。

日本人として血にまみれ罪にまみれた僕の、
それがせめてもの贖罪しょくざいだった。

深海しんかいせまい船内で二人。

彼女の青銀せいぎんの髪がほのかな灯りにらされ、
神秘的しんぴてきにつやめいていた。

おぼれるような目でじっと僕を見つめる彼女の、
その深海の底のような深い深蒼ディープブルーの瞳の奥に
しずみながら僕はきづく。

僕は海辺の妖精セイレーンの声を聞いた時から、
けっしてめない夢のとりこになっていたんだ。

この深海の妖精を見つけた時から、
恋に落ちていたんだと思った。


死のやまい

それは愛。


僕は彼女を愛してしまったんだと気づいた。

 
  
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