蒼き臨界のストルジア

夜神颯冶

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海から来た少女

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僕は彼女に言われるままに、
そのアクアボイジャーとか言う、
変な機械きかいのゴーグルを頭にかぶった。

彼女はそのゴーグルもどきに手をばすと、
何かのボタンのようなものを押した。

途端とたんにそれまでピーピー、キーキー
言ってただけのイルカの声が聞こえてきた。

「つなみ」「つなみ」

二頭同時に何かを言ってきている。

「フィーフィー」「フィーフィー」

「変わって」「変わって」

「つなみ」「つなみ」

なんだかわからず僕は機械をはずすと、
彼女にイルカの声をげた。

「イルカ達がなんだか、
 わってくれて言ってる」

そう言って彼女に機械をわたした。

不思議ふしぎそうにそれを受け取った彼女は、
それをかぶりイルカと話をし始めた。

『うんうん。
 沖合おきあいの。
 うん。
 本当なの?
 距離は?
 うん。わかった。
 大丈夫だいじょうぶ
 うんうん。バカで、ロリコン。
 うん。大丈夫。聞こえてない。
 完璧かんぺき! 』

聞こえてるよ・・・

彼女は神妙しんみょうにボイジャーをはずすと、
静かに僕にげた。

津波つなみが来るって』

えっ!?

「なんで津波が!?」

沖合おきあいにいるイルカのれが、
 そう言ってるって』

のんびりした彼女のテンションに、
なんだ津波かと思いそうになるが、
その事実じじつけっして軽視けいしできるものではない。

「大変じゃないか!
 すぐに逃げなきゃ」

そう言った僕を彼女は制止した。

『落ちついて』

そう言った彼女の声はとても落ちつき、
僕の反応はんのうのほうがおかしいのかと、
思ってしまう。

大丈夫だいじょうぶ
 世界がほろぶだけだから』


大問題だあ!!!

落ちけ。落ちけ。落ちけ。

てっ!?
世界が滅ぶんじゃ、
逃げようがないじゃないか!?

彼女はそんな僕の反応はんのうを楽しむ様に見つめ、
つぶやいた。

冗談じょうだん

へっ?冗談じょうだんなの・・・

助かったのか?

『世界が滅ぶのは冗談じょうだん
 津波が来るのは本当 』

助かってなかった~~~!?

「すぐに逃げなきゃ。
 沖合いのイルカが言ってるって、
 近くで声が聞こえるって事は、
 津波はすぐそこまで来てるんだよ! 」

『近くない。
 大丈夫。
 イルカの声の1つ、
 低周波音ていしゅうはおん警告けいこくしてきてる。
 まだ距離はある。
 イルカは遠くと話すときに、
 低周波音をよく使う。

  高周波音こうしゅうはおんは一回で送れる情報量が多いから
 イルカは近くで話すときは、
 高周波を使っている。
 でも遠くまでは届かない。

 わざわざ低周波音を使って来てるのは、
 遠くから話している証拠しょうこ
 イルカの声は、
 25キロ離れた仲間と会話出来る』



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