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(この先生の声…眠くなるんだよな)
トンッ
(…ん?)
後ろの席の斗亜の長い足が俺の椅子にぶつかった。
(斗亜、足長いから机に収まんないのかな…笑)
俺はクスッと笑う。単なる間違いだと思い、俺は気にせず前を向く。
ドンッ
(!?)
さっきより強く椅子に振動が来た。
これはわざとだとすぐ分かった俺は、バッと後ろを振り返った。
「…ちょ、何…!?」
俺は驚きながらも小声で斗亜へ言った。
「やっと喋った」
「喋ったって…今授業中なんですけど…!?」
「お前真面目だな笑 さすが猫被り笑」
斗亜は俺を揶揄うように笑う。
俺はそんな斗亜に呆れながらも、自分と同じ制服を着た斗亜を間近で初めて見た。
(…やっぱカッコイイとなんでも似合うんだな…)
目にかかりそうでかからない薄い前髪、切れ長で猫のようなサラリとした目、反してクイッと可愛らしく上がった口角。
いつも当たり前のように見てきたけど、改めて近くで見てみれば、本当に整った顔だな、と思う。
「そんでさ柊、教科書見せてくんね」
「えっ、いや、隣の席の人に見せてもらった方見えるでしょ」
「は、もう断った」
「断…!?」
「こら入崎さん、ちゃんと前向きなさい」
古典の先生は授業を中断して、後ろを向いていた俺にそう言った。背筋が伸びた。
学校では真面目にやっている俺だから、まさか皆の前で注意される日が来るとは思っていなかった。
「あ先生、俺こいつに教科書見せて貰ってました」
恥ずかしさで小さくなりながら、体を教卓へ向けようとすると、斗亜が先生へそう言った。
「ああそうなの。入崎さんごめんなさいね」
「…えっ、あ、は、はい」
そうして先生は再び授業を再開した。
俺を庇うかのようにして斗亜は口実を作ってくれた。ていうか何で俺が怒られて話し始めた斗亜は怒られないんだよ!
「はい、お前のこと救ってやったからガチで教科書見して」
「…あーもう分かったよ…見えにくいとか言わないでね」
斗亜のこういうとこ…ずるいな。扱いに慣れていると言うか…
そして、斗亜は教科書を見えやすくするべく、机を俺の椅子に近付けてくる。
「つーか、普段のうるせぇお前知ってるから学校でのお前、なんか気持ちわりぃ笑」
「気持ち悪い言うなし!てか静かにして、話してんのバレる」
「お前の声の方うるせーよ。つーか教科書見えにくい」
斗亜はそう言うと教科書を持つ俺の手をグイッと引き寄せた。
「も、もう、文句言わないでよ」
「こうすれば見える」
俺と斗亜の腕と腕が触れてしまう程に近い距離に俺はついドキドキしてしまう。
「てか近いって…絶対こうしなくても見えるでしょ」
「あ?見えねーからこうしてんの」
しかも目線の先は教科書ではなくしっかり俺だ。授業する気ないなこの人…。
そうしてその後も後ろの席の斗亜に何度も振り回されながらも、三時間目まで授業を終えた。
トンッ
(…ん?)
後ろの席の斗亜の長い足が俺の椅子にぶつかった。
(斗亜、足長いから机に収まんないのかな…笑)
俺はクスッと笑う。単なる間違いだと思い、俺は気にせず前を向く。
ドンッ
(!?)
さっきより強く椅子に振動が来た。
これはわざとだとすぐ分かった俺は、バッと後ろを振り返った。
「…ちょ、何…!?」
俺は驚きながらも小声で斗亜へ言った。
「やっと喋った」
「喋ったって…今授業中なんですけど…!?」
「お前真面目だな笑 さすが猫被り笑」
斗亜は俺を揶揄うように笑う。
俺はそんな斗亜に呆れながらも、自分と同じ制服を着た斗亜を間近で初めて見た。
(…やっぱカッコイイとなんでも似合うんだな…)
目にかかりそうでかからない薄い前髪、切れ長で猫のようなサラリとした目、反してクイッと可愛らしく上がった口角。
いつも当たり前のように見てきたけど、改めて近くで見てみれば、本当に整った顔だな、と思う。
「そんでさ柊、教科書見せてくんね」
「えっ、いや、隣の席の人に見せてもらった方見えるでしょ」
「は、もう断った」
「断…!?」
「こら入崎さん、ちゃんと前向きなさい」
古典の先生は授業を中断して、後ろを向いていた俺にそう言った。背筋が伸びた。
学校では真面目にやっている俺だから、まさか皆の前で注意される日が来るとは思っていなかった。
「あ先生、俺こいつに教科書見せて貰ってました」
恥ずかしさで小さくなりながら、体を教卓へ向けようとすると、斗亜が先生へそう言った。
「ああそうなの。入崎さんごめんなさいね」
「…えっ、あ、は、はい」
そうして先生は再び授業を再開した。
俺を庇うかのようにして斗亜は口実を作ってくれた。ていうか何で俺が怒られて話し始めた斗亜は怒られないんだよ!
「はい、お前のこと救ってやったからガチで教科書見して」
「…あーもう分かったよ…見えにくいとか言わないでね」
斗亜のこういうとこ…ずるいな。扱いに慣れていると言うか…
そして、斗亜は教科書を見えやすくするべく、机を俺の椅子に近付けてくる。
「つーか、普段のうるせぇお前知ってるから学校でのお前、なんか気持ちわりぃ笑」
「気持ち悪い言うなし!てか静かにして、話してんのバレる」
「お前の声の方うるせーよ。つーか教科書見えにくい」
斗亜はそう言うと教科書を持つ俺の手をグイッと引き寄せた。
「も、もう、文句言わないでよ」
「こうすれば見える」
俺と斗亜の腕と腕が触れてしまう程に近い距離に俺はついドキドキしてしまう。
「てか近いって…絶対こうしなくても見えるでしょ」
「あ?見えねーからこうしてんの」
しかも目線の先は教科書ではなくしっかり俺だ。授業する気ないなこの人…。
そうしてその後も後ろの席の斗亜に何度も振り回されながらも、三時間目まで授業を終えた。
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