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「柊、おは~」
「おはよう」
「相変わらず今日も正統派イケメンだな柊」
「ええ?そうかな笑」
ついに斗亜が転校してくる月曜日。いつもより少し早く来てしまった。
教室へ足を踏み入れると学校での正統派モードに入る。もう慣れたもんだけど。
俺は自分の席へ着いた。
(俺の学校での過ごしっぷり…斗亜に見られたら確実に笑われるな…)
斗亜が普段見ている俺と学校での俺は明らかにテンションの差が大違いだ。確実に斗亜に笑いものにされるだろう。目に見える。
朝、斗亜からは「月曜日、朝に職員室で説明聞かねえとらしいから朝は一緒に行けねえからよろしく」とだけLIMEが来ていて、他の情報は全く知らないのである。
(ていうか土日で色々問い詰めとけばよかった…。てかまずそもそも転校してくるの自体本当だよね…?やっぱ嘘でした的な展開、斗亜なら有り得るんだけど)
俺を騙すのが好きな斗亜だからまずそもそも転校してくること自体事実であるのかどうか…。時間に余裕がある俺は座りながらそんなことを考える。
(同じクラスだったら…いや、それはないか、何クラスあると思って…)
俺はありもしないことを考えるのを辞め、鞄からスマホを取りだしSNSを見て気持ちを紛らわすことにした。
「入崎ー」
「うぉっ、ビックリした。なに?」
クラスの一軍的存在の佐々木が、スマホを触っていた俺の横に立った。
「お前って一番後ろの席じゃなかったか?」
「ん?そうだよ」
「後ろ見てみろ」
確かに俺は教卓の列の一番後ろの席だ。佐々木から言われて後ろを振り返ると、そこにはたしかに席が一つ増えていた。
「え、何この席」
「お前気付かなかったのかよ笑 絶対転校生だよな!?可愛い子だったらどうしよ!」
「考え事してたから全く気付かなかった…。どうだろう、転校生なんじゃない?笑」
(待て待て待て。席増えてる、え?斗亜?いや、それは絶対にない。二学年、何クラスあると思って…)
佐々木の前では冷静さを保ちながらさらりと返答したものの、頭の中は大パニックである。
考えすぎか…?とも思ったが、こんな時期に転校してくるヤツなんて、早々いない。
キーンコーンカーンコーン…
ここで、狙ったかのようなタイミングで朝のチャイムが鳴った。
皆バタバタと自分の席へと戻って行く。
俺は表面上ではいつも通りの冷静さを保っているが、内心今にも溢れ出しそうな程にドキドキしている。
「ねえそこ席増えてるよね?転校生かな?」
「イケメンだったらどうしよう♡」
近くの席の女子も、皆この話題だ。
頼むからみんなチラチラこっち見ないでくれ…。
そんなことを考えていると、ガラガラと教室の前方のドアが開いた。
入ってきたのは担任の先生だけで、転校生の姿はまだ無かった。
「はい、皆さんおはよう。今日は皆さんもう気付いていると思いますが、転校生が新しくこの教室に加わることになったので、紹介したいと思います」
(えっ、や、やっぱ転校生…か)
先生の口からは予想通り、“転校生”という単語が出てきた。良いのか悪いのか…
「呼んでくるので、少し待ってて下さい」
そう言って先生は転校生を迎えに別室へ向かって行った。
先生が姿を消した途端、案の定教室はザワめきが戻った。
まあそれはそうだ。転校生が新しくクラスに加わるなんてワクワクする気持ちは凄く分かる。 …でも、
(斗亜だったら死ぬ、しかも後ろの席なんて…常に背後から監視されてるようなもんじゃん…)
友達が同じ学校に転校してくるなんて良い事じゃないかと周りからは言われそうだが、今の俺は何故かそうではない。
常に斗亜に会いたいと昂らせている気持ちも、今は一ミリもない。
俺はどうにか顔に出ないように必死に抑え込む。
(大丈夫、落ち着け入崎柊)
そしてついに、前方のドアが音を立てた。
「おはよう」
「相変わらず今日も正統派イケメンだな柊」
「ええ?そうかな笑」
ついに斗亜が転校してくる月曜日。いつもより少し早く来てしまった。
教室へ足を踏み入れると学校での正統派モードに入る。もう慣れたもんだけど。
俺は自分の席へ着いた。
(俺の学校での過ごしっぷり…斗亜に見られたら確実に笑われるな…)
斗亜が普段見ている俺と学校での俺は明らかにテンションの差が大違いだ。確実に斗亜に笑いものにされるだろう。目に見える。
朝、斗亜からは「月曜日、朝に職員室で説明聞かねえとらしいから朝は一緒に行けねえからよろしく」とだけLIMEが来ていて、他の情報は全く知らないのである。
(ていうか土日で色々問い詰めとけばよかった…。てかまずそもそも転校してくるの自体本当だよね…?やっぱ嘘でした的な展開、斗亜なら有り得るんだけど)
俺を騙すのが好きな斗亜だからまずそもそも転校してくること自体事実であるのかどうか…。時間に余裕がある俺は座りながらそんなことを考える。
(同じクラスだったら…いや、それはないか、何クラスあると思って…)
俺はありもしないことを考えるのを辞め、鞄からスマホを取りだしSNSを見て気持ちを紛らわすことにした。
「入崎ー」
「うぉっ、ビックリした。なに?」
クラスの一軍的存在の佐々木が、スマホを触っていた俺の横に立った。
「お前って一番後ろの席じゃなかったか?」
「ん?そうだよ」
「後ろ見てみろ」
確かに俺は教卓の列の一番後ろの席だ。佐々木から言われて後ろを振り返ると、そこにはたしかに席が一つ増えていた。
「え、何この席」
「お前気付かなかったのかよ笑 絶対転校生だよな!?可愛い子だったらどうしよ!」
「考え事してたから全く気付かなかった…。どうだろう、転校生なんじゃない?笑」
(待て待て待て。席増えてる、え?斗亜?いや、それは絶対にない。二学年、何クラスあると思って…)
佐々木の前では冷静さを保ちながらさらりと返答したものの、頭の中は大パニックである。
考えすぎか…?とも思ったが、こんな時期に転校してくるヤツなんて、早々いない。
キーンコーンカーンコーン…
ここで、狙ったかのようなタイミングで朝のチャイムが鳴った。
皆バタバタと自分の席へと戻って行く。
俺は表面上ではいつも通りの冷静さを保っているが、内心今にも溢れ出しそうな程にドキドキしている。
「ねえそこ席増えてるよね?転校生かな?」
「イケメンだったらどうしよう♡」
近くの席の女子も、皆この話題だ。
頼むからみんなチラチラこっち見ないでくれ…。
そんなことを考えていると、ガラガラと教室の前方のドアが開いた。
入ってきたのは担任の先生だけで、転校生の姿はまだ無かった。
「はい、皆さんおはよう。今日は皆さんもう気付いていると思いますが、転校生が新しくこの教室に加わることになったので、紹介したいと思います」
(えっ、や、やっぱ転校生…か)
先生の口からは予想通り、“転校生”という単語が出てきた。良いのか悪いのか…
「呼んでくるので、少し待ってて下さい」
そう言って先生は転校生を迎えに別室へ向かって行った。
先生が姿を消した途端、案の定教室はザワめきが戻った。
まあそれはそうだ。転校生が新しくクラスに加わるなんてワクワクする気持ちは凄く分かる。 …でも、
(斗亜だったら死ぬ、しかも後ろの席なんて…常に背後から監視されてるようなもんじゃん…)
友達が同じ学校に転校してくるなんて良い事じゃないかと周りからは言われそうだが、今の俺は何故かそうではない。
常に斗亜に会いたいと昂らせている気持ちも、今は一ミリもない。
俺はどうにか顔に出ないように必死に抑え込む。
(大丈夫、落ち着け入崎柊)
そしてついに、前方のドアが音を立てた。
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