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キミとふたり、ときはの恋。【第六話】
ふたりの道 −To the future, with eternity love.−【1】
しおりを挟む二日間、しんしんと降り続けた雪は、明け方になってようやくやんだ。
粉雪から牡丹雪へ、やんではまた降る、を繰り返して積もった雪は、庭一面を白く埋め尽くしてる。
「お庭はともかく、玄関と車庫前だけ雪掻きしとけばいいわよね。お母さん、終わったよー」
「涼ちゃん、お疲れ様。助かったわぁ」
雪掻きの終了を報告すると、玄関まで出てきたお母さんがマグカップを差し出してくれた。
「ぬるめにしてあるわよ」
くるんっと丸い持ち手がついたこんもりしたカップは、去年、信楽焼の陶芸体験で私が作ったもの。土っぽさが残る素朴な風合いが、とっても気に入っている。
模様違いの物を奏人にプレゼントしたから、彼とお揃いだ。
「まさか二日も降り続くとは思わなかったわぁ。大丈夫かな。駅まで、車、出せる?」
「大丈夫よ。昨日の雪はほとんど霙混じりだったし、お昼になる頃には徐々に陽射しで溶けていくだろうしね」
手袋を外して両手で包んだマグカップ越しに、お母さんが笑顔で請け負ってくれた。今日は午後一番にお出かけの予定がある。
「残雪で底冷えがすごいけど、雲ひとつない晴天に恵まれたのは良かった。こういうのを深雪晴って言うんですって。冬の季語だって習ったわ」
雪が降り積もった翌朝に、空が晴れ渡ること。
授業で教わった時にはわからなかったけど、きんっと冷えた空気が肌を刺す感覚の中、澄み切った空を見上げると、どこかホッとする。太陽ってありがたいなぁ、と思う。
深雪晴という言葉を初めて使った人も、そんな心地から、この言葉を生み出したのかもしれない。
温かく照らしてくれる存在って本当に嬉しいし、そこに在るだけで救われた気になるもの。
そう考えると、私にとっての深雪晴は、両親とおばあちゃん、奏人やチカちゃんたちを除けば、やっぱり『恩人さん』になるわ。
「おばあ様、またお会いできますね。今日もたくさんお話しさせてくださいね」
果てなく蒼く透き通った空を見上げ、そこに優しい面影を映す。
「奏人と一緒に行きますから」
——今日は、おばあ様のお墓参りに伺う日。
亡くなられて、ちょうど二年。歳月が流れるのは、あっという間だ。
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