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キミとふたり、ときはの恋。【第五話】
冬萌に沈みゆく天花 —告白—【3一3】
しおりを挟む「あの、煌せんぱ……」
「こっちだ」
ぐっと顎を上げて目線を合わせ、疑問をぶつけかけるも、ちょうど止まったエレベーターが私の出鼻をくじく。
「皆、そこに居る」
そして、質問の言葉を私が繰り出すより早く、横開きのドアを先輩が指した。ここって……。
「デイルーム?」
ドアが二箇所ある、広いオープンスペース。ここ、病棟の待合室だ。ここに入るの?
「あぁ。萌々と晶がその中に居る。親は、いったん家に戻った。で、ばあさんは、あっちの観察室だ」
「おばあ様、あそこにっ?」
煌先輩が親指で指した先。その病室に急いで視線を向ける。
「観察、室」
先輩が口にした通り、ドアの右上に小さく『観察室』と表示されてるそこは、ナースステーションのすぐ隣の病室。ここにおばあ様が、とドアをじっと見つめていると、ちょうど中からPCを乗せたカートを押した看護師さんが出てきて、たぶん電子カルテと思われるPC越しに一瞬だけ室内が見えたけど、クリーム色のカーテンしか視認できなかった。
「あの、観察室って? 集中治療室のことですか? おばあ様、そんなにお悪いんですか?」
ご家族の皆さんがデイルームで待機してるってことは、観察室は家族であっても入室不可ということで。つまり、それほどに容態が悪いってことになる。すごく怖かったけど、思い切ってお尋ねした。
「いや、ICUやHCUとは違う。そこに転棟するほどの急変じゃないが、呼吸の安定が保てていないし、熱も下がらないから、小まめな容態観察のためにナースステーションの隣に移ったんだ。今は、点滴と酸素吸入で様子を見ているところだ」
「そう、なんですか。じゃあ、容態が安定すれば、また元の病室に戻れるんですか?」
「そういうことだ」
「良かった。あ、まだお熱も下がってないし全然良くないけど……でも、ひとまず安心していい?」
「あぁ」
良かった。
真っ直ぐ目を合わせて頷いてくれたことで、やっと肩の力を抜くことが出来た。
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