花霞に降る、キミの唇。【番外編】

冴月希衣@商業BL販売中

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Lovers -side Shingo-

愛が止まらない。【6】 #3

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「俺の手でこんなに可愛く変貌したんだと実感できる、その声。艶めかしく潤む目。くねる身体。どれも堪らない。俺と同じだけの熱情がお前の中にもある証拠を、その反応でもっと見せてくれ」

 いいの? 俺、だらしなく口を開けたまんま、お前にしがみついてるだけなのに?

「その声で、その体温で確認させてくれ。俺だけがお前を求めてるわけじゃないと。お前も俺と同じ深みで溺れてくれてるんだと。何度でも」

「ん、ぁ」

 喘ぎっぱなしで渇いてる唇に、熱い吐息が湿り気を乗せる。繰り返し落とされるキスは、ものすごい効果を持っていた。俺の身体と心、両方にしっとりと潤いを与えてくれてる。

 そっかぁ。俺、このままでいいんだ。そのほうが土岐は安心するんだ。

 よく考えたら、そうだよな。俺だって、普段と違う情熱的な顔を土岐が見せてくれるから、男同士のこういう行為に抵抗が無いんだもん。

 心から恋してる土岐が相手だから感じるし、恥ずかしい声だって勝手に漏れ出ちゃう。これは、どうしようもないことなんだよ。

 あれ? 今更だけど、初心に戻って再確認した感じ?

「だから、これからも遠慮と我慢はするな。素直に、包み隠さず、ありのままのお前で赤裸々に応えてくれ」

「あっ、やぁっ! はんっ」

 勝手に漏れちゃう恥ずかしい声をようやく許容した途端、今日一番の嬌声があっさりと飛び出た。

 無防備だった両手をベッドへ縫いつけられ、また乳首への責めが再開されたんだ。

「そうだ。そのまま、良い声を聞かせろ。間違っても声を殺すことなんか考えるなよ」

「あ、土岐っ……ああぁっ」

 与えられる刺激と快感に、ふるふると下半身を揺らしながら、ただ名前を呼ぶ。

 あー、また言われちゃうかな。『名前を呼ぶことで甘えを表現してる』って。でも、どうしても名前は呼んじゃうよな。

「土岐っ……土岐ぃ」

 他に、すがる言葉を俺は知らないんだ。

「ん、良い声。腰を揺らしながらの可愛い甘え方だな」

「違っ……これは、だって仕方ない、よっ」

 笑い混じりの揶揄に、反射的に沸き立ったのは抗議の声。でも、とても弱々しい反抗だ。

「だって……だってさ」

「うん?」

 俺の身体は、恋人の思うままに開かれてる。

「こんなのっ」

「何だ?」

「んあっ、あぁっ」

 片手で性器を扱かれ、もう片方の指で内壁の奥深くを暴かれてる。どこにも逃げ場が無い。挟み撃ちの快感という攻撃に晒された下腹は、望んでいないのに高みに押し上げられていく。

「あ、やだっ。今は、やだよ……んぁっ」

 敏感な器官と粘膜を同時に擦りたてる刺激が堪らなくて、切れ切れの抗議の途中で顎が反る。

「んー? 嫌じゃないだろう?」

「ああぁ、あっ」

 執拗な摩擦がもたらす快感に大きく背をしならせ、喘ぐ。呼気が熱く乱れる。俺を追い上げる手は、一瞬も止まらない。


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