花霞に降る、キミの唇。

冴月希衣@商業BL販売中

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恋のバカンスは、予言通りにはいかない!?

Only love #12

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 ――カチッ、カチッ

 部屋の片隅で、機械音が小さく鳴った。

 直後、ベッドルームの床に置かれてたランタンの灯りが暗くなり、その光が浮かび上がらせていた俺たちの輪郭も、ぼうっと暗くなっていく。

 自動タイマーか、電池の消耗か。どっちしても、俺たちが互いを視認するには充分な明るさが残ってるから何の問題もない。

「どこ、見てる?」

「んぅっ……んんっ……ふぁ、っ」

「俺をさんざん煽って、いやらしく誘っておいて。ここにきて、よそ見か? いい度胸だな」

 仰向けのままチラッとランタンを見ただけなのに、即座に顎を捕らえてきた土岐に深く唇をむさぼられた。

「んっ、んぅ……ぁ……ふっ」

 口蓋の裏をねっとりと舐め尽くされた後。舌の根元から、ちゅうっと何度も吸い上げられて、鼻から抜けるような感じ入った声ばかりが漏れ出ていく。

「はんっ! んんっ……やっ、あぁっ」

 下唇を甘噛みしながら短く笑った相手は、次に乳首を摘み上げてきた。きつく、きつく。土岐の指の腹が、尖りの横側を擦っていく。捻り上げるように、きゅうっと。

「ん、はっ……やっ、あぁっ」

 固く立ち上がった突起をコリコリと揉まれながら、腰がひくんっと跳ね上がる。

「土岐? あ、もう?」

「なんだ、嫌なのか? お前から誘ってきたんだろ?」

「んっ」

 俺の腰が跳ね上がった理由。それは、土岐のペニスの先端が俺の孔に擦れてきたから。ゴムを装着したその感触が、窄まりの周囲をヌルッと刺激してきたからだ。乳首を揉みたてる動きは止めずに。

「今更、嫌も待ても聞かない。ここをひくつかせて可愛く煽ってきたのはお前なんだからな」

「んあっ! あっ、あぁっ」

 ぐっと腰を進めてきた土岐によって、内壁が抉られていく。

「ん……熱い、な」

「はっ、はぁっ……土岐っ……土岐っ?」

 圧迫感で、息苦しい。

 懸命に息を継いで土岐の背中に手を回し、すがるようにその名を呼ぶ。伝えたいことがあるんだ。

「なんだ? お前、こんなに熱く中を蕩けさせて、俺のをしっかりと咥え込んでるんだぞ? さっき、待て、は聞かないと言っ……」

「違っ……違う、よ? 俺、さっき『もう、来てくれるん?』って、言いたかっただけなんだ。お前にこうされたくて、お前のこれをずっと待ってたから、だよ?」

「……っ」

「あ、今、おっきくなっ……なんで?」

 俺が、お前のをずっと待ってたって言った瞬間、中に埋め込まれてた土岐の熱塊が、その質量をぐんと増した。

 え? なんで、急に?

「……っ、この馬鹿っ」

 そんで、罵られた。馬鹿って。

「ば、馬鹿じゃねぇも……ん、あっ! あっ、はぁっ!」

 言い返す言葉が、途中で喘ぎに変わる。
 
 同時に、白い火花が目の前でバチバチッと弾ける。俺の腰を抱え直した土岐が、いきなり激しい律動を開始した、その衝撃で。

「ひゃっ……あんっ……やぁ、ぁっ」

 ぐっと高く腰を掬われた体勢での、強い突き上げ。視界がチカチカするほどに、奥まで一気に穿たれていく。

「あ? 馬鹿だろ。せっかく俺が大事に抱こうとしてたのに、いきなり煽って理性も余裕も吹き飛ばしてきただろうが」

「んぁっ! んぅっ……ふ、っ」

 大きく質量を増した熱塊が最奥まで届き、みっちりとした圧迫感に喉を反らせた俺の唇に、熱い吐息がおりてくる。

「んっ……ぁ、ふぁ……んっ」

 差し込まれた舌の強引さに翻弄されながら、俺の頭ん中は疑問符でいっぱいだ。『煽って理性吹き飛ばした』って、どういう意味だろ。

 てゆうかさ、大好きな土岐にこんな風に激しくされてさ。俺のほうが、何もかも吹っ飛びまくりだってば!


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