花霞に降る、キミの唇。

冴月希衣@商業BL販売中

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恋のバカンスは、予言通りにはいかない!?

Only love #6

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 ――ドンッ、ドォン

 紅い牡丹が、盛大に花開いた。

「今の、すごく良い声だった。そんなに感じたか?」

 続けて上がった青とピンクの牡丹が夜空に弾け散る音とともに、優しい声が唇に降ってくる。

 ひっきりなしに喘ぎ続けた唇からはまともな声が出ないから、その問いかけには答えられない。

「うん」

 だから、頷いた。大好きな黒瞳を見つめながら、小さく二回。

「ふっ。そうか。なぁ、この後、どうしてほしい?」

「……んっ」

 腰が跳ねる。土岐の手が胸元をぐっと掴み、その指の間に乳首を挟んだから。

 根元から上へと立ち上げながら、指の付け根に挟んだそこを、きゅうっと刺激してきたからだ。

「次の段階に進むか? それとも、もう一度、乳首だけで感じて良い声を出すか? お前の望み通りにしてやる。言ってみろ」

 弄られまくって敏感になった粒を、くにくにと挟みながらの問いかけの内容。土岐にそうされる自分を想像しただけで、頭が痺れた。

 だって、今、加えられてるこの刺激だけでも、いっぱいいっぱいなのに。俺、そんなの……どっちも選べないよ。

「あ……どっち、も」

「ん、もうわかった」

「あっ!」

 乾ききった喉から懸命に紡いだ声は、どっちも選べないと続ける前にさえぎられた。両の膝裏に手が差し込まれ、足が大きく割り開かれてしまったんだ。

 膝から太腿へと、しなやかな指で辿りながら、身体を倒した土岐が耳元に唇を寄せてくる。

「ふぁっ」

 れろっと、耳殻が舐められて。

「上と下、同時に可愛がってほしいってことだな」

「……っぁ、んっ」

 色気たっぷりの艶声で囁かれた俺は、その『上と下』をひくひくっと震わせることで、土岐の問いをバッチリ肯定していた。

 これじゃまるで、「それ、お願いします」と声に出したのと同じ反応だ。

 けどさ、ここはバルコニー。

 冷静で超現実主義者の土岐が何にも言わないもんだから、俺ってば、うっかり忘れてたけど、バルコニー。

 てゆうか、既に上半身ガッツリ晒して思いっきり喘いじゃった後だけど、バルコニー。

 ここは、遮光フェンスがあるだけの、海辺の開放的空間。潮風と波と花火の音が静まれば、ちょっと声を張っただけで外に響いちまう場所だ。

 こんな超絶開放的空間で、アレもコレも色々おっぴろげるわけにはいかねぇよ。俺にも恥じらいっつーモンがあんだからさっ。

「あっ」

 って、決意を固めてるそばから、なにコレっ?

 土岐が、キスしながら俺の浴衣の裾をたくし上げてますけど?

「えっ、土岐? えと、そこはっ」

 ぎゅいっとたくし上げただけじゃなく、露わにした下着の上に手ぇ乗せてきてますけど?

「ん? 何か問題でもあるのか?」

 すんげぇ涼しい顔のまんま、下腹部の膨らみに沿って、するんって丸みを撫でたりしてきてますけどっ?

「あっ、あるよ、問題! だって、ここバルコニ……んぅっ、んっ」

「何もない。問題なんてな。強いて言えば、お前の下着がピンっとテントを張っていて、既に湿っている。俺の愛撫に感じまくってるとわかるから、堪らなく可愛いってことだけだ」

 問題アリアリだと伝えてる途中で、キスで強引にさえぎった土岐が言った言葉。それが、一瞬で俺の顔をカッと紅潮させた。

 なぁ? 俺、眩暈で倒れてもいいかな?(もう体勢は仰向けだけどな!)

 土岐? それさ、きっとたぶんお前じゃなく、俺にとってだけの『恥ずかし大問題』じゃね?


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