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決意の示し方 【7】

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「――レイド」

 私に熟考を促すかのように口を閉じ、再び沈黙していた黒衣の神官。その無表情に、知らず、笑みを浮かべたまま呼びかけた。

 ここでレイドに笑いかけるのもおかしいのだが、ずっと心にこごっていたおりが消え去り、一気に晴れやかな気分になったのだから仕方がない。

「その、必要だという『王族』に、私は心当たりがあるぞ」

「シュギル様! それはっ……」

「ロキ!」

 背後からかかったロキの制止の声を、その名を鋭く呼ぶことで、逆に制した。

 ずっと話を聞いていれば、私が考えたことが手に取るようにわかったのだろう。私の心中にさといというのも、時には困りものだ。

「私は今、レイドと話しているのだ。口出しは控えろ」

「しかし、シュギル様っ。今のお言葉は……」

「くどい! 二度、言わせるな」

 ロキの気持ちも充分にわかる。が、ここは譲れない。これは、私情で多頭竜を手に掛けた私への罰でもあるのだ。

 まだ何か言いたげに唇を震わせたロキだったが、私が念押しのようにめつけたことで、目を伏せて黙した。

 そうして、ロキに背中を向け、ひとつ息をついて頭上を見上げる。

 菫色すみれいろの夜空に浮かぶ、白銀の弦月げんげつ。雲の切れ間から瞬く星々へと伸びていく、淡く美しい光の中に、愛おしい姿を映した。

 最早、選択肢は二つだけ。

 ルリーシェを、再び贄として祭壇へのぼらせるのか。ふたりで神に仕える道を、選ぶのか。

「ふっ……」

 愚問だな。選ばずとも、決まっている。

「レイド。明日、ザライア宛ての書状をそなたに使わす。神殿長ザライアが奥宮から戻り次第、その書状を渡せ。これは、王太子としての命令だ」


 ――ルリーシェ。君をあの場に帰すくらいなら、私が全てを捨てよう。

 君の未来のためなら、何を失っても構わない。


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