俺の天使が世界に見つかる前に

冴月希衣@商業BL販売中

文字の大きさ
上 下
7 / 7

俺の天使が世界に見つかる前に【6】

しおりを挟む



「チカ?」

「なぁにぃ?」

「お前とする『ぎゅーっ』は、すげぇいいな」

「チカもだよ。チカも、いっしょ。いっちゃんの『ぎゅーっ』が、チカ、だいすきっ」

「だろ? なら、これから先、お前が『ぎゅーっ』をしていいのは俺だけだ。他の誰ともするんじゃねぇぞ」

「うん! だれともしない。いっちゃんだけ!」

「よし、いい返事だ。良い子だな」

 それでいい。これでいい。気性も容姿も最上級の、可愛い可愛い俺のチカ。お前は、俺以外、見なくていいんだ。

 チカを自分のテリトリーに囲い込むためになら、壱琉は何でもする。希少で貴重な愛すべき天使だけは決して手放さないと、彼は決めている。

「俺だけ、見てろ。よそ見は許さねぇぞ」

「はーいっ」

 たぶん、こんな約束に意味は無いことを壱琉は知っている。チカの持つ魅力は、無限。これから先、数多の人間を惹きつけ続けるに違いないのだから。ただ——。

「俺が、好きか?」

「うんっ、もっちろん! だーいすき! ずっとずっと、大好きだよっ!」

 たった一人、彼が溺愛する天使が全世界に見つかってしまう前に、このやり取りを繰り返していく。

 互いだけが唯一の存在。壱琉にはチカ、チカには壱琉しかいないと幾度も繰り返すことで、チカの成長を待つ期間の心の拠り所とするのだ。



 ——頑張れ、俺。折れるな、壱琉! 生殺し我慢大会、あと十年っ!







-Fin-
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!

toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」 「すいません……」 ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪ 一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。 作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

「誕生日前日に世界が始まる」

悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です) 凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^ ほっこり読んでいただけたら♡ 幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡ →書きたくなって番外編に少し続けました。

処理中です...