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第一章
chapter【1−2】
しおりを挟む祥徳学園・高等科、一年二組。バスケ部所属。美化委員の武田慎吾くん。お日さまのような明朗さと、あったかい笑顔が素敵な長身男子。勝手に命名した『図書館の王子様』に恋してから、一年。
武田くんと同じ学校を受験して、あちこちの神様に渾身の祈りを捧げた甲斐あって同級生になれた。諦めなければ夢は叶うんだって本当なんだと実感した。
でも、これがゴールじゃない。毎日、顔が見られるクラスメートになれたけど、それだけじゃ物足りない。
武田くん。大好きな君に、私はもっと近づきたいの。
「……え、マジ? 花宮ちゃん、今のマジっ?」
「はい、大マジです」
お勉強タイムが終わって黒縁眼鏡を外し、寡黙な真面目くんイメージを払拭。『いつもの武田くん』に戻った私の王子様に、にっこりと頷いてみせる。
「そのお誘いをするために、今日ここに来たんですから。だから、このあと私の家に来てください。ぜひとも!」
「ふおおおぉ、マジかぁ! いいんかな? 俺がお邪魔してもいいんかな?」
「はいはい、ぜひぜひ!」
武田くん、おめめが期待でキラキラですよ。可愛いですね。
「えー? この俺が宮さまのプライベートヘルス……違った、プライベートスペースに上がり込んでも怒られないかなっ?」
可愛く、その気になってきてますね。よーし、ここでもうひと押し!
「煌《こう》兄ちゃんは、絶対に怒ったりしませんよ。むしろ、武田くんのことを気に入ってますから、大歓迎です!」
「大歓迎っ? きゃああっ! やばっ、鼻血吹きそうっ」
両手をほっぺに当て、「きゃあ、どうしましょう! 手土産、何にしようかしらっ」と身悶えてる乙女バージョン100%の相手を前に、口元がくっと引き上がる。いわゆる、『わっるい笑み』ってヤツ。
ふふふっ。武田くん、今ので完全にオチましたね。
煌兄ちゃんのことを『宮さま』って呼ぶくらい大好きな武田くんなら、煌兄ちゃんの名前さえ出せばイチコロだと踏んでましたよ。ふふふっ。煌兄ちゃんは、最高のエサですね……腐腐腐腐腐っ。
さて、『スペシャルミッションその① 武田くんを家に呼ぶ』は、こーんなに呆気なく、完遂です。
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