33 / 48
キミとふたり、ときはの恋。【第三話】
Summer Breeze【3−8】
しおりを挟むSOL・NARANJA。スペイン語で『オレンジ色の太陽』を表すその店名は、本当に山吹さんそのものだと思う。
それに、山吹さんが照れながら教えてくれた、司波くんとの出会いのエピソードにも頬が緩む。
小一で初めて出会ったふたり。その時にオレンジ色の水着を着ていた山吹さんに、司波くんが『オレンジ姫』って呼びかけて、日が暮れるまで仲良く遊んだ。それ以来、山吹さんは毎年オレンジ色の水着を着るようになったというお話。
クールなイケメン女子の可愛い内面、ご馳走さまっ!
それにしても、なんてお似合いなのかしら。
立ち上がってテーブルから離れ、司波くんと会話を交わし合う山吹さん。立ち並ぶ男女を文字通り鑑賞する。
ウッドデッキに降り注ぐ真夏の陽射しのもと。司波くんの蜂蜜色の髪は、その陽射しを反射するかのようにキラキラと煌めいて。不思議な色合いの胡桃色の瞳は、真っ直ぐに山吹さんだけを見つめてる。
その視線を受け止めてる山吹さんは、オレンジ色のビキニが白い肌に鮮やかに映えて、とても大人っぽい。
うーん。あのデザインのビキニ、着てみたいなぁ。でも、きっと私じゃ似合わないわよねぇ。私も山吹さんみたいに背が高かったらなぁ。
いいなぁ、モデル体型。羨ましい……。
あ! 司波くんが山吹さんの肩に手を置いて顔を近づけたわ! きゃーっ、何を囁いてるのかしらっ?
「あーあ。土岐のヤツ。マジで、なんであんな無自覚凶器を放置してんだよ。涼香ちゃんを目の毒ビキニのまんまウロウロさせてっから、こんなことに……俺がこのために用意したパーカーだってのにぃ……無駄になったじゃないかあぁ」
「まだ言ってるのか。いい加減、諦めたら? というか、むしろアッチを見習うべきだろう。司波は心が狭すぎなんだ」
「アホか。俺のほうが、断然、心広いわっ。土岐がどんだけ心狭いか……アイツ、今でこそ俺が『涼香ちゃん』って呼ぶの何も言わなくなったけど、最初の頃は『お前が呼んだら涼香の何かが減るから、名前で呼ぶな』っつってたんだぞ? 『何か』ってなんだよっ」
「ふふっ。その気持ちは、わからないでもないな。司波は、たまにギラついてるところが鼻につくから。けど、ドンマイ」
「んだよ。慰めろよ。彼氏をディスッてんなよぉぉ」
「あははっ」
まぁ、どうしましょう。美形ふたりのラブラブ、すっごくドキドキするっ!
10
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
うわべに潜む零影
クスノキ茶
青春
資産家の御曹司でもある星見恭也は毎日が虚ろに感じていた
とある日、転校生朝倉陽菜と出会う。そして、そこから彼の運命は予測不可能な潮流の渦に
巻き込まれていく事に成る。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
放課後はネットで待ち合わせ
星名柚花
青春
【カクヨム×魔法のiらんどコンテスト特別賞受賞作】
高校入学を控えた前日、山科萌はいつものメンバーとオンラインゲームで遊んでいた。
何気なく「明日入学式だ」と言ったことから、ゲーム友達「ルビー」も同じ高校に通うことが判明。
翌日、萌はルビーと出会う。
女性アバターを使っていたルビーの正体は、ゲーム好きな美少年だった。
彼から女子避けのために「彼女のふりをしてほしい」と頼まれた萌。
初めはただのフリだったけれど、だんだん彼のことが気になるようになり…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる