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キミとふたり、ときはの恋。【第三話】
Summer Breeze【3−8】
しおりを挟むSOL・NARANJA。スペイン語で『オレンジ色の太陽』を表すその店名は、本当に山吹さんそのものだと思う。
それに、山吹さんが照れながら教えてくれた、司波くんとの出会いのエピソードにも頬が緩む。
小一で初めて出会ったふたり。その時にオレンジ色の水着を着ていた山吹さんに、司波くんが『オレンジ姫』って呼びかけて、日が暮れるまで仲良く遊んだ。それ以来、山吹さんは毎年オレンジ色の水着を着るようになったというお話。
クールなイケメン女子の可愛い内面、ご馳走さまっ!
それにしても、なんてお似合いなのかしら。
立ち上がってテーブルから離れ、司波くんと会話を交わし合う山吹さん。立ち並ぶ男女を文字通り鑑賞する。
ウッドデッキに降り注ぐ真夏の陽射しのもと。司波くんの蜂蜜色の髪は、その陽射しを反射するかのようにキラキラと煌めいて。不思議な色合いの胡桃色の瞳は、真っ直ぐに山吹さんだけを見つめてる。
その視線を受け止めてる山吹さんは、オレンジ色のビキニが白い肌に鮮やかに映えて、とても大人っぽい。
うーん。あのデザインのビキニ、着てみたいなぁ。でも、きっと私じゃ似合わないわよねぇ。私も山吹さんみたいに背が高かったらなぁ。
いいなぁ、モデル体型。羨ましい……。
あ! 司波くんが山吹さんの肩に手を置いて顔を近づけたわ! きゃーっ、何を囁いてるのかしらっ?
「あーあ。土岐のヤツ。マジで、なんであんな無自覚凶器を放置してんだよ。涼香ちゃんを目の毒ビキニのまんまウロウロさせてっから、こんなことに……俺がこのために用意したパーカーだってのにぃ……無駄になったじゃないかあぁ」
「まだ言ってるのか。いい加減、諦めたら? というか、むしろアッチを見習うべきだろう。司波は心が狭すぎなんだ」
「アホか。俺のほうが、断然、心広いわっ。土岐がどんだけ心狭いか……アイツ、今でこそ俺が『涼香ちゃん』って呼ぶの何も言わなくなったけど、最初の頃は『お前が呼んだら涼香の何かが減るから、名前で呼ぶな』っつってたんだぞ? 『何か』ってなんだよっ」
「ふふっ。その気持ちは、わからないでもないな。司波は、たまにギラついてるところが鼻につくから。けど、ドンマイ」
「んだよ。慰めろよ。彼氏をディスッてんなよぉぉ」
「あははっ」
まぁ、どうしましょう。美形ふたりのラブラブ、すっごくドキドキするっ!
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