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キミとふたり、ときはの恋。【第三話】

Summer Breeze【3−3】

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 えーと、どうしたら……あ、まずは、あれよね。ここは皆のビーチだから大事になる前に止めなくちゃ、よね?
 あぁ、でも、こうやって見ると、奏人ってば、ほんとに足長いわよねぇ……はっ、違う! 感心してる場合じゃなくて! とっ、止めなくちゃ、なのよ!
「かっ、かなっ……」
「はーい。そこまで、そこまでー! 金髪くんたちは、こっち来てくれるー?」
 え?
「土岐、そろそろ離してやれ。ソイツの手、色が変わってきてるぞ」
「チッ。お前ら、止めに来るのが早いぞ」
 え? え?
「白藤さん、大丈夫? 怖かったろ? 主に土岐が、だけど」
「えっ……あっ、高階くん! ねぇねぇ! どうして皆がいるの? 高階くんに、一色くん。それに司波しばくんまで!」
 びっくりした。すごくすごく、びっくりした。
 だって、奏人に声をかけながら一歩踏み出した私をサッと追い抜いて、奏人を止めたのが司波くんと一色くんで。私の横に並んで、気遣うように声をかけてくれたのが高階くんだったんだもん。
 三人とも奏人の幼なじみだけど、同じ学校の一色くん、高階くんだけじゃなくて、他校の司波くんまでが急に現れて、ほんとにものすごく驚いたのよ。

「あれ? 土岐から聞いてないの? 俺と基矢は昨日からここに遊びに来てて、司波はこのビーチでバイトしてるんだよ。白藤さんも荷物預けたでしょ? この海の家が司波のバイト先だよ」
「えぇっ? 知らなかった! 私、何にも聞いてないよ?」
 え、何、それ。初耳なんだけど。奏人、何にも言ってくれてなかっ……。
「涼香、お待たせ」
「ぎゃっ! かかかかっ、奏人っ?」
「ふはっ! ひと言め、ひどいな。俺、彼氏だよね?」
「だ、だってっ……これっ! あの、離れ……離れてっ?」
「駄ぁ目。というか、無理」
 違う、違う! 『無理』は、私のセリフぅぅー!
 だって、高階くんとお話ししてたら、いきなり正面からすっぽりと奏人に抱きすくめられて! 高階くんのお顔は見えなくなるし、素肌同士の密着具合がすごすぎて!
「私が無理! 苦しくて、無理ぃぃ!」

「ふふっ。土岐さぁ、気持ちはわかるけど、一応、ここは公共の場だからさ。やめたげなよ、白藤さんのためにも」
 高階くん、ナイスフォロー! そうよ、もっと奏人に言ったげ……。
「まぁ、隠したい気持ちもわかるけど。白藤さん、着痩せするタイプだったんだね。全然気づかなかったよ」
 えっ?
「ていうか土岐。そうやって隠すくらいなら、ラッシュガードか何か着てもらえばいいじゃん。なんで、こんなに目の毒なの、放置してんの?」
「何回も言った。去年もな。けど、彼女には通じないんだ。『水着姿は隠すものじゃない』という刷り込みがあるらしい。だから、これが最善策だ」
 んん? 途中から奏人と話し始めちゃった高階くんの言葉の意味が、ちょっとわかんない。
 けど、奏人が少しだけ腕を緩めてくれたから、顔を上げて言った。
「え? だって、おばあちゃんが言ってたもん。ビーチの正装はビキニだって。だから離してくれて大丈夫よ? 日焼け対策は万全だしっ」
「あははっ! そうか。土岐が心配してるのは、日焼けだと思われてるんだ」
「うるさい。笑うな」
 え? あれ? なんで、このタイミングで高階くんが吹き出したの?


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