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第60話 四人でお祝い会 1
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「では僭越ながら重原さんの上位入りをお祝いして……」
「それを貴方が言うと嫌味にしか聞こえませんが」
「確かにそうかもだけど。……な、ならどんな風に言ったらいいの?! 」
「こういうのは宇治原さんに頼むと良いでしょう」
遠藤さんがトモをバッサリ切って俺に向いた。
おれか?! と驚き瞳を開け少し考える。
こんな時どう言うのが正解なんだ?
トモや遠藤さんと飲み食いしていた時はこんなことなかったからわからない。
音頭を振られるとわかっていたのなら調べていたのにっ!
少し唇を噛み更に考える。
いやまてよ。むしろ何も言わないのが正解じゃないのか?
別に形式ばった会ではないし幸い全員友達だ。
ならばここはひとつ普通にいこう。
「……乾杯」
「普通だね。乾杯」
「普通でいいのですよ。乾杯」
「ボクは嬉しいよ。乾杯」
同情されながら持っているコップをかち合わせた。
かち合わせたといっても強くではない。
コップからはカンと小さな音がするだけで、中身のジュースがこぼれるという程ではない。
しかし一回音頭で区切ったおかげか微妙に残っていた緊張感のようなものが無くなった。
トモがグビっと一杯飲むとすかさず愛莉に話しかけた。
「で重原さんはレン君のどこが好きなの? 」
言葉に俺と愛莉は「ゴホゴホ」とせき込んだ。
き、気道にジュースが入った!
「そ、そ、そ、そ、そ、そんなことないよ? 」
「えええ~~~。そうなの? 」
トモは首を傾げながらチラリと遠藤さんを見る。
トモの目線を受けて遠藤さんは愛莉に顔を向けた。
愛莉も飲んでいる時にせき込んだせいか顔は赤い。
若干顔をプルプルと横に振っている気もする。
「……少なくとも友情以上の何かは感じているでしょう」
遠藤さんの言葉にたじろぐ愛莉。しかし遠藤さんの言葉を否定しない。
……否定されなかっただけマシか。
もしこれで否定されたら俺は涙ものだ。
「一般常識で考えて一人暮らしの男性の部屋に一人でいく……むぐ?! 」
愛莉が素早い動きで遠藤さんの口を抑えた。
芸術のような流れる動きだったが少し遠藤さんが苦しそう。
少し足をばたつかせる彼女の耳に口を当て何やら話している。
遠藤さんが大きく頷くと愛莉は元いた場所に戻って来た。
「特に……、何でもないからね? 」
ニコリと笑顔で見上げて来る彼女に「お、おう」とだけ返して再度コップに口をつけた。
何でもないはずがない!
しかしこうも強調されると聞くことは出来ない。
気になる。本当に気になる。
俺に関すること……だよな。話の流れから好意云々だろう。
ならば……いてっ!!!
考えていると太ももに痛みが走った。
痛みの原因を探ると愛莉が笑顔で太ももをつねっている。
「何でもないから、ね? 」
「わ、わかりました」
邪推をするなと言うことか。
彼女の笑顔に顔を引き攣らせながら机の上にあるポテチを齧った。
「それを貴方が言うと嫌味にしか聞こえませんが」
「確かにそうかもだけど。……な、ならどんな風に言ったらいいの?! 」
「こういうのは宇治原さんに頼むと良いでしょう」
遠藤さんがトモをバッサリ切って俺に向いた。
おれか?! と驚き瞳を開け少し考える。
こんな時どう言うのが正解なんだ?
トモや遠藤さんと飲み食いしていた時はこんなことなかったからわからない。
音頭を振られるとわかっていたのなら調べていたのにっ!
少し唇を噛み更に考える。
いやまてよ。むしろ何も言わないのが正解じゃないのか?
別に形式ばった会ではないし幸い全員友達だ。
ならばここはひとつ普通にいこう。
「……乾杯」
「普通だね。乾杯」
「普通でいいのですよ。乾杯」
「ボクは嬉しいよ。乾杯」
同情されながら持っているコップをかち合わせた。
かち合わせたといっても強くではない。
コップからはカンと小さな音がするだけで、中身のジュースがこぼれるという程ではない。
しかし一回音頭で区切ったおかげか微妙に残っていた緊張感のようなものが無くなった。
トモがグビっと一杯飲むとすかさず愛莉に話しかけた。
「で重原さんはレン君のどこが好きなの? 」
言葉に俺と愛莉は「ゴホゴホ」とせき込んだ。
き、気道にジュースが入った!
「そ、そ、そ、そ、そ、そんなことないよ? 」
「えええ~~~。そうなの? 」
トモは首を傾げながらチラリと遠藤さんを見る。
トモの目線を受けて遠藤さんは愛莉に顔を向けた。
愛莉も飲んでいる時にせき込んだせいか顔は赤い。
若干顔をプルプルと横に振っている気もする。
「……少なくとも友情以上の何かは感じているでしょう」
遠藤さんの言葉にたじろぐ愛莉。しかし遠藤さんの言葉を否定しない。
……否定されなかっただけマシか。
もしこれで否定されたら俺は涙ものだ。
「一般常識で考えて一人暮らしの男性の部屋に一人でいく……むぐ?! 」
愛莉が素早い動きで遠藤さんの口を抑えた。
芸術のような流れる動きだったが少し遠藤さんが苦しそう。
少し足をばたつかせる彼女の耳に口を当て何やら話している。
遠藤さんが大きく頷くと愛莉は元いた場所に戻って来た。
「特に……、何でもないからね? 」
ニコリと笑顔で見上げて来る彼女に「お、おう」とだけ返して再度コップに口をつけた。
何でもないはずがない!
しかしこうも強調されると聞くことは出来ない。
気になる。本当に気になる。
俺に関すること……だよな。話の流れから好意云々だろう。
ならば……いてっ!!!
考えていると太ももに痛みが走った。
痛みの原因を探ると愛莉が笑顔で太ももをつねっている。
「何でもないから、ね? 」
「わ、わかりました」
邪推をするなと言うことか。
彼女の笑顔に顔を引き攣らせながら机の上にあるポテチを齧った。
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