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第59話 コレクター魂 vs 嫁
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「レン君僕ポテチ」
「自分で買え」
「え? レン君の奢りじゃないの?! 」
「愛莉以外は自腹だ」
「そ、そんな……。さやえもぉん~」
「情けない声を出さないでと~も君。君のお小遣いから引いておくから買っておいで」
「うま?! 」
遠藤さんの声真似が予想以上にうまかった。
そして遠藤さんが「このノリについて来るのか」と驚いた。彼女のキャラじゃないと思うが、人は見かけによらないということか。
しかし考えればこういったノリについていけないとトモとの同棲生活は無理だろう。
トモはというと遠藤さんの言葉を受けてお菓子売り場に向かっている。
走らなくてもいいのにと心の中で呆れながら、トモが余計なものを買ってくると予想した。
俺の部屋でお祝いをすることが決定した後の放課後。俺達四人はいつものスーパーに来ていた。
思えばトモや遠藤さんとここに来るのも久しぶり。
少し懐かしく思いながらも青いもの売り場をカートを押して先に進む。
「遠藤さんも声真似とかするんだね」
「俺も吃驚だ」
「知らなかったの? 」
「初披露です」
遠藤さんが当然の如くそう言った。
表情変化の薄い彼女だが軽くドヤっているのがわかるのが面白い。
きっとトモに合わせたんだろうなと思うとほんわかしてくる。
「ボクもやった方が良いのかな……」
「いや必要ないと思うが」
「でも遠藤さんもしてるし……」
「しなくても大丈夫だ」
苦笑いをしながら愛莉に言う。
きっとこのグループの中での立ち振る舞いでも考えているのかもしれないがそれは必要ない。
何せそれぞれが個性の塊のようなもの。
合わせようとして合わせることが出来るものではない。
「それよりも愛莉。俺のカートに籠を置くか? 」
「いいの? 」
「持ってても疲れるだけだろう? 」
じゃぁ遠慮なく、と言い俺のカートの下段に籠を置いた。
愛莉も何か買うのか買い物籠を手にしていた。
籠の中には長ネギとベーコンが入っている。
本当に何を作るのかわからないが、親に頼まれたのかもしれないと思うとこの統一性のない組み合わせにも納得がいく。
「こんなにも食玩を入れないでください」
「……このシリーズはコンプリートを目指しているんだ。幾ら冴香ちゃんと言えど邪魔はさせない! 」
「返してきますね。お二人は先に行っていてください」
「ノー――!!! 」
無慈悲な言葉がトモを切り裂いた。
そして二人はお菓子コーナーへと消えていった。
「さ、佐々木君ってあんな感じだったんだね」
「いつもオーバーな気もするが、まぁあんな感じだ」
「意外だなぁ。それに遠藤さんも。二人共もっとクールなイメージがあったんだけど」
「人は見かけによらない、を体現するような二人だからな。これから何があっても気にしない方が良いと思う」
そっか、と言う言葉が隣から聞こえる。
愛莉と隣り合ったまま角を曲がり、ふとお菓子コーナーが棚の隙間から見えた。
そこには遠藤さんを掴み必死に戻されるのを妨害しようとするトモがいる。
「……まだお菓子コーナーに行かない方が良さそうだ」
「? 」
「一先ず後は飲みものときらしていたものと……」
冷蔵庫の中身を思い出しながら買い物を進める。
愛莉に欲しい物を俺の籠に入れるように言うが遠慮して入れない。
こういう時だけだから、と押しに押してやっと二つプリンを入れた。
何故一つじゃないのかと思ったがもしかしたら二つ食べたいのかもしれないと思いツッコまずカートを押す。
一周し「流石に終わっているだろ」と思いお菓子コーナーへと向かう。
そこにいたのは涙目のトモと呆れている遠藤さんだった。
「集めたいのは分かりますが、食べきれないほど買わないでください」
「だって……」
「全くもう」
はぁ、と大きく息を吐いて遠藤さんは新しく食玩を一個籠に入れる。
それを見てトモは「ぱぁ」っと笑顔を咲かせて喜んだ。
「夫婦というより親子だな」
「どっちでもないと思うけど」
「例えだ例え」
愛莉と共に夫婦漫才のようなことをしている未成年二人に声をかける。
少し恥ずかしそうな顔をする遠藤さんに同情しながら俺達は会計へ向かう。
商品を通して持ってきたエコバックに詰め込み、そして俺の部屋へと向かった。
「自分で買え」
「え? レン君の奢りじゃないの?! 」
「愛莉以外は自腹だ」
「そ、そんな……。さやえもぉん~」
「情けない声を出さないでと~も君。君のお小遣いから引いておくから買っておいで」
「うま?! 」
遠藤さんの声真似が予想以上にうまかった。
そして遠藤さんが「このノリについて来るのか」と驚いた。彼女のキャラじゃないと思うが、人は見かけによらないということか。
しかし考えればこういったノリについていけないとトモとの同棲生活は無理だろう。
トモはというと遠藤さんの言葉を受けてお菓子売り場に向かっている。
走らなくてもいいのにと心の中で呆れながら、トモが余計なものを買ってくると予想した。
俺の部屋でお祝いをすることが決定した後の放課後。俺達四人はいつものスーパーに来ていた。
思えばトモや遠藤さんとここに来るのも久しぶり。
少し懐かしく思いながらも青いもの売り場をカートを押して先に進む。
「遠藤さんも声真似とかするんだね」
「俺も吃驚だ」
「知らなかったの? 」
「初披露です」
遠藤さんが当然の如くそう言った。
表情変化の薄い彼女だが軽くドヤっているのがわかるのが面白い。
きっとトモに合わせたんだろうなと思うとほんわかしてくる。
「ボクもやった方が良いのかな……」
「いや必要ないと思うが」
「でも遠藤さんもしてるし……」
「しなくても大丈夫だ」
苦笑いをしながら愛莉に言う。
きっとこのグループの中での立ち振る舞いでも考えているのかもしれないがそれは必要ない。
何せそれぞれが個性の塊のようなもの。
合わせようとして合わせることが出来るものではない。
「それよりも愛莉。俺のカートに籠を置くか? 」
「いいの? 」
「持ってても疲れるだけだろう? 」
じゃぁ遠慮なく、と言い俺のカートの下段に籠を置いた。
愛莉も何か買うのか買い物籠を手にしていた。
籠の中には長ネギとベーコンが入っている。
本当に何を作るのかわからないが、親に頼まれたのかもしれないと思うとこの統一性のない組み合わせにも納得がいく。
「こんなにも食玩を入れないでください」
「……このシリーズはコンプリートを目指しているんだ。幾ら冴香ちゃんと言えど邪魔はさせない! 」
「返してきますね。お二人は先に行っていてください」
「ノー――!!! 」
無慈悲な言葉がトモを切り裂いた。
そして二人はお菓子コーナーへと消えていった。
「さ、佐々木君ってあんな感じだったんだね」
「いつもオーバーな気もするが、まぁあんな感じだ」
「意外だなぁ。それに遠藤さんも。二人共もっとクールなイメージがあったんだけど」
「人は見かけによらない、を体現するような二人だからな。これから何があっても気にしない方が良いと思う」
そっか、と言う言葉が隣から聞こえる。
愛莉と隣り合ったまま角を曲がり、ふとお菓子コーナーが棚の隙間から見えた。
そこには遠藤さんを掴み必死に戻されるのを妨害しようとするトモがいる。
「……まだお菓子コーナーに行かない方が良さそうだ」
「? 」
「一先ず後は飲みものときらしていたものと……」
冷蔵庫の中身を思い出しながら買い物を進める。
愛莉に欲しい物を俺の籠に入れるように言うが遠慮して入れない。
こういう時だけだから、と押しに押してやっと二つプリンを入れた。
何故一つじゃないのかと思ったがもしかしたら二つ食べたいのかもしれないと思いツッコまずカートを押す。
一周し「流石に終わっているだろ」と思いお菓子コーナーへと向かう。
そこにいたのは涙目のトモと呆れている遠藤さんだった。
「集めたいのは分かりますが、食べきれないほど買わないでください」
「だって……」
「全くもう」
はぁ、と大きく息を吐いて遠藤さんは新しく食玩を一個籠に入れる。
それを見てトモは「ぱぁ」っと笑顔を咲かせて喜んだ。
「夫婦というより親子だな」
「どっちでもないと思うけど」
「例えだ例え」
愛莉と共に夫婦漫才のようなことをしている未成年二人に声をかける。
少し恥ずかしそうな顔をする遠藤さんに同情しながら俺達は会計へ向かう。
商品を通して持ってきたエコバックに詰め込み、そして俺の部屋へと向かった。
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