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第57話 結果発表!!!
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十二月に入り寒さが深まる中俺達は一枚の掲示板の前に立っていた。
「寒いね」
「本当にな」
トモが隣で震えている。
俺の服に潜り込み暖を取ろうとしているのだが、それを剥がして睨みつける。
「そう言うのは遠藤さんとやれ」
「学校でそんなことしたら風紀委員にしょっ引かれるよ」
「と言うことはマンションではやっていると? 」
「さて皆集まってきたね」
どんどんと集まってくる学生達にトモが言う。
本当に寒いのか体を寄せてきて執拗に暖を取りに来るのだが全力回避。
トモも周りの学生にぶつかりそうになったので、諦めて俺の隣に立った。
「そんなことをやっているから私の彼氏に彼氏がいると噂になるのですよ」
何度も聞いたことのあるセリフを聞いて、振り向かず「誤解だ」と答えてポケットに手を入れる。
かじかんだ手を温めつつ声の主——遠藤さんがトモの隣に立つと俺の視界にも入って来た。
「にしても絶対三十人じゃないよね? 」
「優に百は超えているな」
「マンモス校ですから」
俺と遠藤さんの言葉に「そういう意味じゃない」とトモが反論する。
分かっているのだが現実を目にするのとそうでないのとでは違うのだ。
だからトモ。余計なことは言わないでくれ。
「絶対に野次馬だよね」
「……俺の願い届かず、か」
「願いって? 」
「トモに黙ってほしかった、ということだ」
「なにそれ酷い」
くすっと笑いながらそう言うトモ。
テストの結果発表と言うのは学校の一大イベントでもある。
誰が上位三十人に入っているのかを確認しはしゃぐためにこうして百人以上の人が集まっている。
逆を言うのならば誰が落ちたのかを確認する機会でもあり、女子の中では裏切り者が出たりするとか。
友達付き合いにも損得は存在する。
けれど学力でグループ内・間の力関係が変わるのはどうかと思う。
が人の価値観にまで口を出せるほど俺が偉い訳でもない。
精々「そんなことするくらいなら勉強しろよ」と思うのが限界だ。
「先生が来たね」
「張っていきますね」
「愛莉の名前はあるか……」
「自分の名前は確認しないんだね」
「宇治原さんは……やっぱり首席ですか。しかし……」
愛莉の名前を探していると遠藤さんの言葉が詰まった。
何事? と思い俺も自分の名前を探す。
一番上に名前を発見した所でトモが俺に言った。
「……レン君。海外の大学にでも進学するつもり? 」
「何ですか、この点数。化学で百点をオーバーしているのですが」
それを聞き科目別点数を確認する。
すると百二十点だった。
……加算されたのだろうか。
「なにをしたの? 白状したらどうかね? あ、かつ丼食う? 」
「かつ丼は欲しいが、化学。あ~~~」
「思い当たる節があるのですね」
「回答を全部埋めた後で、問題に対する疑問と専門書に書いてあった理論を元に自分なりの回答を裏面に書き込んだ」
「「つまり? 」」
「この問題、本当に問題としてあっているのかとぶつけてやった」
トモと遠藤さんが一気に離れた感じを受ける。
物理的な距離は同じなのだが心の距離が離れた気がする。
「な、なんて迷惑な生徒なんだ」
「教師泣かせなやり方ですね」
「因みに書いてあった専門書の名前も書きこんだ」
「「いやらし」」
「そのおかげで追加点を貰えたんだからいいだろ? 」
化学は理論問題を重視する傾向がある。
他の科目が百点をオーバーしていないことからもこの手が通用するのは化学か、科学系統だけだろう。
ドン引きする二人を一先ず置いて、トモと遠藤さんの名前を確認する。
やはりと言うべきか俺の下に二人の名前を発見した。
トモが二位、遠藤さんが三位である。
「これで三連敗か」
「最初の中間は負けたんだがな」
「今度こそ勝てるんじゃないかと思ったんだけど。まさか百点を超えてくるとは」
「予想外が過ぎますね」
呆れ口調で言われるも視線を戻して愛莉の名前を探す。
探していると一気に周りが騒がしくなった。
「重原さんが二十七位?! 」
「すごっ! 」
「重原さん勉強も出来たんだ! 」
声の方向を見ると丁度愛莉がやって来て掲示板を覗いている所だった。
彼女が名前を見つける前にクラスメイトらしき生徒達が見つけたようで彼女をもみくちゃにしている。
愛莉は周りに断りを入れながら掲示板に進むと、自分でも確認したのか安堵の顔をした。
「行く? 」
トモが愛莉の方を指していった。
「まさか」
「確かにあの中に行くのはきついですね」
「ならどうする? 」
「連絡は後で入れればいいだろう。一旦人混みから離れるか」
こうして俺達はこの場を離れた。
「寒いね」
「本当にな」
トモが隣で震えている。
俺の服に潜り込み暖を取ろうとしているのだが、それを剥がして睨みつける。
「そう言うのは遠藤さんとやれ」
「学校でそんなことしたら風紀委員にしょっ引かれるよ」
「と言うことはマンションではやっていると? 」
「さて皆集まってきたね」
どんどんと集まってくる学生達にトモが言う。
本当に寒いのか体を寄せてきて執拗に暖を取りに来るのだが全力回避。
トモも周りの学生にぶつかりそうになったので、諦めて俺の隣に立った。
「そんなことをやっているから私の彼氏に彼氏がいると噂になるのですよ」
何度も聞いたことのあるセリフを聞いて、振り向かず「誤解だ」と答えてポケットに手を入れる。
かじかんだ手を温めつつ声の主——遠藤さんがトモの隣に立つと俺の視界にも入って来た。
「にしても絶対三十人じゃないよね? 」
「優に百は超えているな」
「マンモス校ですから」
俺と遠藤さんの言葉に「そういう意味じゃない」とトモが反論する。
分かっているのだが現実を目にするのとそうでないのとでは違うのだ。
だからトモ。余計なことは言わないでくれ。
「絶対に野次馬だよね」
「……俺の願い届かず、か」
「願いって? 」
「トモに黙ってほしかった、ということだ」
「なにそれ酷い」
くすっと笑いながらそう言うトモ。
テストの結果発表と言うのは学校の一大イベントでもある。
誰が上位三十人に入っているのかを確認しはしゃぐためにこうして百人以上の人が集まっている。
逆を言うのならば誰が落ちたのかを確認する機会でもあり、女子の中では裏切り者が出たりするとか。
友達付き合いにも損得は存在する。
けれど学力でグループ内・間の力関係が変わるのはどうかと思う。
が人の価値観にまで口を出せるほど俺が偉い訳でもない。
精々「そんなことするくらいなら勉強しろよ」と思うのが限界だ。
「先生が来たね」
「張っていきますね」
「愛莉の名前はあるか……」
「自分の名前は確認しないんだね」
「宇治原さんは……やっぱり首席ですか。しかし……」
愛莉の名前を探していると遠藤さんの言葉が詰まった。
何事? と思い俺も自分の名前を探す。
一番上に名前を発見した所でトモが俺に言った。
「……レン君。海外の大学にでも進学するつもり? 」
「何ですか、この点数。化学で百点をオーバーしているのですが」
それを聞き科目別点数を確認する。
すると百二十点だった。
……加算されたのだろうか。
「なにをしたの? 白状したらどうかね? あ、かつ丼食う? 」
「かつ丼は欲しいが、化学。あ~~~」
「思い当たる節があるのですね」
「回答を全部埋めた後で、問題に対する疑問と専門書に書いてあった理論を元に自分なりの回答を裏面に書き込んだ」
「「つまり? 」」
「この問題、本当に問題としてあっているのかとぶつけてやった」
トモと遠藤さんが一気に離れた感じを受ける。
物理的な距離は同じなのだが心の距離が離れた気がする。
「な、なんて迷惑な生徒なんだ」
「教師泣かせなやり方ですね」
「因みに書いてあった専門書の名前も書きこんだ」
「「いやらし」」
「そのおかげで追加点を貰えたんだからいいだろ? 」
化学は理論問題を重視する傾向がある。
他の科目が百点をオーバーしていないことからもこの手が通用するのは化学か、科学系統だけだろう。
ドン引きする二人を一先ず置いて、トモと遠藤さんの名前を確認する。
やはりと言うべきか俺の下に二人の名前を発見した。
トモが二位、遠藤さんが三位である。
「これで三連敗か」
「最初の中間は負けたんだがな」
「今度こそ勝てるんじゃないかと思ったんだけど。まさか百点を超えてくるとは」
「予想外が過ぎますね」
呆れ口調で言われるも視線を戻して愛莉の名前を探す。
探していると一気に周りが騒がしくなった。
「重原さんが二十七位?! 」
「すごっ! 」
「重原さん勉強も出来たんだ! 」
声の方向を見ると丁度愛莉がやって来て掲示板を覗いている所だった。
彼女が名前を見つける前にクラスメイトらしき生徒達が見つけたようで彼女をもみくちゃにしている。
愛莉は周りに断りを入れながら掲示板に進むと、自分でも確認したのか安堵の顔をした。
「行く? 」
トモが愛莉の方を指していった。
「まさか」
「確かにあの中に行くのはきついですね」
「ならどうする? 」
「連絡は後で入れればいいだろう。一旦人混みから離れるか」
こうして俺達はこの場を離れた。
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