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第50話 俺は俺に出来ることをやるだけだ
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恋心を自覚したからと言って何かするわけでは無い。
むしろそれを隠すように俺は猛勉強していた。
俺がきちんと感情をコントロールして節度を持って接すればいいだけの話。
「レン。次の問題」
「次は、これだ」
丸い机の下に置いてある問題用紙を愛莉に渡す。
愛莉が受け取り問題に向かうのを確認しスマホで時間を測り始める。
カリカリカリ、と音が鳴る。
愛莉がピリつくような集中力を発揮してくれているおかげで変な気にならず俺も頑張れている。
俺の部屋での勉強会。
彼女への気持ちを認識した時どうすべきか迷った。
好きな人と二人っきり。
俺からすればこれ以上ない程に嬉しい事なのだが、第三者的観点に立った時、これほどに危ない環境はないだろうと考えた。
俺という存在は、要は檻の中の獣そのもの。
その中にうら若き乙女こと愛莉を入れるのはどうかと俺の中の天使が訴えた。
悪魔は入れろと囁くも必死に天使が抵抗する。
しかし愛莉の『今から行くね』という連絡で白い城壁は簡単に崩れさったのであった。
だがタダでは負けない天使。
何とか悪魔を道連れにして俺に感情コントローラーを残していった。
流石天使とお礼を言いたいところだが、彼か彼女かわからない羽の生えたエンジェルはもうここにはいない。
「よし。解き終わった」
「……徐々に問題を解くペースが遅くなってる? 」
「そんなことは無いよ。ただ教えてもらった見直し方を実践しているだけ」
なるほど、と思い彼女の成長を素直に喜びながら解答用紙を受け取った。
ここ最近の愛莉の成長が目まぐるしい。
それは単に回答率が高くなっただけではない。
今まで見落としていた問題を拾えるようになったり、自分の回答を何度も見直すようになったりと。
――心に余裕が出来たのだろうか。
この前の骨休めが良い息抜きになったのなら嬉しいな、と思いながらも丸を付けていく。
こうして勉強会を開いているわけだが、俺が作った問題から出るわけでは無い。
ある程度絞ってはいるが百パーセントではない。むしろ外している方が多いだろう。
しかしながらこれもやる意味はある。
それは自信をつけることだ。
これが正解率が低い場合だとすぐに打ち切り教科書の復習をしていた方が良いと思う。
だが愛莉は正解率が九割を後半に差し掛かろうとしている。
作った俺も涙目な正解率だが徐々に上がる成績というのはモチベーションを上げるのに丁度良い。
よって継続しているという訳だ。
最後の問題にまるっとつけて愛莉に渡す。
にこにこしながら受け取る様に心が温かくなりながらも勉強を再開。
そして今日の勉強会を終えた。
★
愛莉がいなくなって俺は自分の部屋へ向かう。
ここからが俺の戦い。
俺は意気込み椅子に座り道具を広げた。
愛莉に教えるため相当な量勉強している。
裏を返せば今までそれほどまでに、本質的に理解できていなかったことを示しているのでこの勉強会は本当に有意義と言えよう。
けれどそれはそれとして別個に勉強する必要がある。
愛莉の勉強にかまかけて自分の点数を落としたら元も子もないし、好きな子に良い所を見せたいという邪念も無きにしも非ずで。
――ちょっとした意地のようなもの。
正直このペースだと学年末までに追いつかれそうで怖い。
どれだけポテンシャルが高いんだよ、神に不平等を訴えるもどうにかなるわけではない。
俺ができるのは精々努力のみ。
質を担保するための物量作戦に入り込み大量の参考書を机いっぱいに広げた。
「よし」
教科書を開き、専門書で範囲をカバーする。単語一つに込められた理論を頭に埋め込み次へ向かう。
俺の目が教科書と専門書を行き来する。
専門書で新しく知った所は教科書に書き込み素早く復習できるようにする。
どんどんと解いていく内にアラームが鳴り就寝時間を告げた。
どうやら時間を忘れるほどに没頭していたようだ。
むしろそれを隠すように俺は猛勉強していた。
俺がきちんと感情をコントロールして節度を持って接すればいいだけの話。
「レン。次の問題」
「次は、これだ」
丸い机の下に置いてある問題用紙を愛莉に渡す。
愛莉が受け取り問題に向かうのを確認しスマホで時間を測り始める。
カリカリカリ、と音が鳴る。
愛莉がピリつくような集中力を発揮してくれているおかげで変な気にならず俺も頑張れている。
俺の部屋での勉強会。
彼女への気持ちを認識した時どうすべきか迷った。
好きな人と二人っきり。
俺からすればこれ以上ない程に嬉しい事なのだが、第三者的観点に立った時、これほどに危ない環境はないだろうと考えた。
俺という存在は、要は檻の中の獣そのもの。
その中にうら若き乙女こと愛莉を入れるのはどうかと俺の中の天使が訴えた。
悪魔は入れろと囁くも必死に天使が抵抗する。
しかし愛莉の『今から行くね』という連絡で白い城壁は簡単に崩れさったのであった。
だがタダでは負けない天使。
何とか悪魔を道連れにして俺に感情コントローラーを残していった。
流石天使とお礼を言いたいところだが、彼か彼女かわからない羽の生えたエンジェルはもうここにはいない。
「よし。解き終わった」
「……徐々に問題を解くペースが遅くなってる? 」
「そんなことは無いよ。ただ教えてもらった見直し方を実践しているだけ」
なるほど、と思い彼女の成長を素直に喜びながら解答用紙を受け取った。
ここ最近の愛莉の成長が目まぐるしい。
それは単に回答率が高くなっただけではない。
今まで見落としていた問題を拾えるようになったり、自分の回答を何度も見直すようになったりと。
――心に余裕が出来たのだろうか。
この前の骨休めが良い息抜きになったのなら嬉しいな、と思いながらも丸を付けていく。
こうして勉強会を開いているわけだが、俺が作った問題から出るわけでは無い。
ある程度絞ってはいるが百パーセントではない。むしろ外している方が多いだろう。
しかしながらこれもやる意味はある。
それは自信をつけることだ。
これが正解率が低い場合だとすぐに打ち切り教科書の復習をしていた方が良いと思う。
だが愛莉は正解率が九割を後半に差し掛かろうとしている。
作った俺も涙目な正解率だが徐々に上がる成績というのはモチベーションを上げるのに丁度良い。
よって継続しているという訳だ。
最後の問題にまるっとつけて愛莉に渡す。
にこにこしながら受け取る様に心が温かくなりながらも勉強を再開。
そして今日の勉強会を終えた。
★
愛莉がいなくなって俺は自分の部屋へ向かう。
ここからが俺の戦い。
俺は意気込み椅子に座り道具を広げた。
愛莉に教えるため相当な量勉強している。
裏を返せば今までそれほどまでに、本質的に理解できていなかったことを示しているのでこの勉強会は本当に有意義と言えよう。
けれどそれはそれとして別個に勉強する必要がある。
愛莉の勉強にかまかけて自分の点数を落としたら元も子もないし、好きな子に良い所を見せたいという邪念も無きにしも非ずで。
――ちょっとした意地のようなもの。
正直このペースだと学年末までに追いつかれそうで怖い。
どれだけポテンシャルが高いんだよ、神に不平等を訴えるもどうにかなるわけではない。
俺ができるのは精々努力のみ。
質を担保するための物量作戦に入り込み大量の参考書を机いっぱいに広げた。
「よし」
教科書を開き、専門書で範囲をカバーする。単語一つに込められた理論を頭に埋め込み次へ向かう。
俺の目が教科書と専門書を行き来する。
専門書で新しく知った所は教科書に書き込み素早く復習できるようにする。
どんどんと解いていく内にアラームが鳴り就寝時間を告げた。
どうやら時間を忘れるほどに没頭していたようだ。
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