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第47話 宇治原くんの初デート 7 宇治原くんは自覚する
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「んんん~~~! 楽しかった! 」
「それは良かった」
両手に多くの荷物を持ち、俺と愛莉は家路に就いていた。
俺の手にあるのは愛莉に選んでもらった服と記念写真。
愛莉が、と思うと心の奥から特別感が湧き上がってきて不思議だ。
もしこれがトモならば単なる友人としての感想になっただろう。
しかし今まで殆ど交流の無かったクラスの人気者に選んでもらったとなると見え方が違う訳で。
結局の所愛莉の為と言いつつ自分もかなり楽しんだ。
俺から愛莉に遊びに行かないかと誘っておいてこのざまとはエスコートする者としてどうなのだろうかと、疑問を呈さざる終えない。
「どうしたの? にやにやして」
「特に何もないよ」
「変なレン」
俺の前を行く愛莉が小回りが利く小さな体をくるりと回し疑いの声を上げてくる。
けれど彼女の顔は笑っており本気でない事がよくわかる。
良い笑顔だ。
それを見ていると心のどこかが温かくなる。
――愛莉の笑顔は俺を元気づける。
――愛莉の声は俺を落ち着かせる。
――愛莉の小さな体躯は欲情をそそる。
愛莉は俺にとって天使か悪魔か。
少なくとも薔薇のような毒のような存在かもしれない。
それでも良いと思わせる魅力があるのも確かで、やはりどちらかというと悪魔よりなのかも。
「やっぱりどうしたの? 」
「何もないよ」
「はっ! ボクのこの美貌に見惚れていたね! 」
笑顔で「この~」と拳をお腹にぐりぐりとしてくる愛莉。
痛くはないが最近多めのボディタッチにドキリとさせられる訳で、出来れば自重して欲しい。
「むぅ~。効いてないな。このぉ~」
「力を入れてないからじゃないか? 」
「そりゃぁ力を入れる訳にはいけないよ。何せ——」
「? 」
「ボクにとって大事な人だからね。怪我をさせる訳にはいかない」
愛莉は顔を上げて恥ずかしげもなくストレートに言って俺の瞳を覗いてきた。
またこの目だ。
俺を魅了するこの目。
俺はこの目に見られると動けなくなる。その代わりに頭を動かす。
愛莉の「大事」とはどんな意味だろうか。
恋人か、それとも家庭教師的な意味か。それとも他の意味か。
――気になる。
だが聞かない方が良いのかもしれない。
少なくとも彼女にとって俺が特別扱いされている状況下で余計なことを突っ込むのは下策。
しかしこの感情はなんだろうか。愛莉を想うと心臓が飛び跳ねようとするのだが。
一般で言う所の「恋心」というものだろうか。
そう呼んでも良いのだろうか。
いやもしかしたら偶然交流を持てた女子だからそう勘違いしているのかもしれない。
――わからない。
分からない事が多すぎる。
「ねぇレン。何か難しい事考えてない? 」
「……そんなことないが」
「嘘ばっかり。顔に出てるよ」
「……マジか」
「やっぱり考えてたんだね」
「! ひっかけたな! 」
やられた、と声を上げると愛莉は口に手を当てくすくすと笑う。
小動物のような可愛らしい動きに衝動的に近寄りそうになるが、動こうとする体をぐっとこらえる。
軽く背筋を伸ばし顎を引き締めゆっくりと前に進む。
「難しい事は明日からでいいよね。今日楽しかったから」
「そうだな。……楽しかった、そう言ってもらえると遊びに連れ出した甲斐があったよ」
「なら何回も何十回も楽しかったって言おうか? 」
「それはそれで「楽しい」の価値が下がるからやめておけ」
そうかな、と隣から愛莉の声が聞こえてくる。
「けど本当に楽しかった。まだまだボクの知らない事ばかりだったよ」
「なら一つ新しい事を知れてよかったな」
「うん。だからこれからもっと楽しい事を教えてよ! 」
足が、止まる。
愛莉が俺を追い越した。
気付いたのかクルリと回って不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの? 」
「いいや。なんでもない。明日からハードになるから頑張ろう」
「おー!! 」
愛莉が子供の様に拳を上げて道を行く。
俺も彼女と共に家に向かうが愛莉に顔をまともに見ることが出来なかった。
前言撤回。
俺は愛莉の事が好きだ。
「それは良かった」
両手に多くの荷物を持ち、俺と愛莉は家路に就いていた。
俺の手にあるのは愛莉に選んでもらった服と記念写真。
愛莉が、と思うと心の奥から特別感が湧き上がってきて不思議だ。
もしこれがトモならば単なる友人としての感想になっただろう。
しかし今まで殆ど交流の無かったクラスの人気者に選んでもらったとなると見え方が違う訳で。
結局の所愛莉の為と言いつつ自分もかなり楽しんだ。
俺から愛莉に遊びに行かないかと誘っておいてこのざまとはエスコートする者としてどうなのだろうかと、疑問を呈さざる終えない。
「どうしたの? にやにやして」
「特に何もないよ」
「変なレン」
俺の前を行く愛莉が小回りが利く小さな体をくるりと回し疑いの声を上げてくる。
けれど彼女の顔は笑っており本気でない事がよくわかる。
良い笑顔だ。
それを見ていると心のどこかが温かくなる。
――愛莉の笑顔は俺を元気づける。
――愛莉の声は俺を落ち着かせる。
――愛莉の小さな体躯は欲情をそそる。
愛莉は俺にとって天使か悪魔か。
少なくとも薔薇のような毒のような存在かもしれない。
それでも良いと思わせる魅力があるのも確かで、やはりどちらかというと悪魔よりなのかも。
「やっぱりどうしたの? 」
「何もないよ」
「はっ! ボクのこの美貌に見惚れていたね! 」
笑顔で「この~」と拳をお腹にぐりぐりとしてくる愛莉。
痛くはないが最近多めのボディタッチにドキリとさせられる訳で、出来れば自重して欲しい。
「むぅ~。効いてないな。このぉ~」
「力を入れてないからじゃないか? 」
「そりゃぁ力を入れる訳にはいけないよ。何せ——」
「? 」
「ボクにとって大事な人だからね。怪我をさせる訳にはいかない」
愛莉は顔を上げて恥ずかしげもなくストレートに言って俺の瞳を覗いてきた。
またこの目だ。
俺を魅了するこの目。
俺はこの目に見られると動けなくなる。その代わりに頭を動かす。
愛莉の「大事」とはどんな意味だろうか。
恋人か、それとも家庭教師的な意味か。それとも他の意味か。
――気になる。
だが聞かない方が良いのかもしれない。
少なくとも彼女にとって俺が特別扱いされている状況下で余計なことを突っ込むのは下策。
しかしこの感情はなんだろうか。愛莉を想うと心臓が飛び跳ねようとするのだが。
一般で言う所の「恋心」というものだろうか。
そう呼んでも良いのだろうか。
いやもしかしたら偶然交流を持てた女子だからそう勘違いしているのかもしれない。
――わからない。
分からない事が多すぎる。
「ねぇレン。何か難しい事考えてない? 」
「……そんなことないが」
「嘘ばっかり。顔に出てるよ」
「……マジか」
「やっぱり考えてたんだね」
「! ひっかけたな! 」
やられた、と声を上げると愛莉は口に手を当てくすくすと笑う。
小動物のような可愛らしい動きに衝動的に近寄りそうになるが、動こうとする体をぐっとこらえる。
軽く背筋を伸ばし顎を引き締めゆっくりと前に進む。
「難しい事は明日からでいいよね。今日楽しかったから」
「そうだな。……楽しかった、そう言ってもらえると遊びに連れ出した甲斐があったよ」
「なら何回も何十回も楽しかったって言おうか? 」
「それはそれで「楽しい」の価値が下がるからやめておけ」
そうかな、と隣から愛莉の声が聞こえてくる。
「けど本当に楽しかった。まだまだボクの知らない事ばかりだったよ」
「なら一つ新しい事を知れてよかったな」
「うん。だからこれからもっと楽しい事を教えてよ! 」
足が、止まる。
愛莉が俺を追い越した。
気付いたのかクルリと回って不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの? 」
「いいや。なんでもない。明日からハードになるから頑張ろう」
「おー!! 」
愛莉が子供の様に拳を上げて道を行く。
俺も彼女と共に家に向かうが愛莉に顔をまともに見ることが出来なかった。
前言撤回。
俺は愛莉の事が好きだ。
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