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第45話 宇治原くんの初デート 5 ランチ
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景品を袋に詰めてもらい俺達はボーリング場を出た。
手に茶色い小袋を手に持ちボーリング場とはまた違う騒がしさの中、二階を歩く。
隣をみると、どこか機嫌の良さそうな愛莉が。
俺の結果は散々だったけど、愛莉が楽しんでくれて何よりだ。
「そろそろお昼だな」
「もうそんな時間? 」
「三ゲームもしたからな」
時間をスマホで確認するとお昼を告げていた。
俺の腹時計もお昼を告げている。
「何か食べたいものあるか? 」
「どこに行きたいとかじゃなくて? 」
「それでも良いが行きたい場所でもあるのか? 」
俺が聞くと言い淀む愛莉を見て苦笑しつつ昼食をとる場所を考える。
このバッフルの中に飲食店が幾つかある。
しかしそれは限定的でうどん屋やラーメン店など軽く食べることができるような店である。
一日通して遊べることをモットーにしているこのアミューズメント施設ならではだが、がっつり食べれる店を出している飲食店は少ない。
逆にクレープ屋やアイス店など簡単に食べることができる店は多い。
それらを手にして広い休憩所で食べる、ということだ。
無駄に広いこの施設の面積を贅沢に使った手法といえよう。
「……外で食べようか」
「外で? 」
「ダメかな? 」
「いいよ」
答えるとお礼をいう愛莉。
何で外で食べたいのかはわからないが、この施設の中には彼女の好きなものはなかったようだ。
★
「久しぶりに来たよ。ファミレス」
「……本当にファミレスでよかったのか? 」
「うん。それにもう席についてしまっているからね。ここで食べる以外選択肢はないよ、レン」
座ったまま腰に手を当て胸を張る愛莉。
何故に胸を張るのか、と不思議に思いつつも納得しているのなら良いかと思い特に追及せずメニューを開く。
彼女にメニューを向けるとそれを興味深そうに「どれにしようかな」と覗いていた。
俺達が来たのは大手チェーンのファミレスだ。
お高い所ではなく、学生の懐に優しい方の。
選択肢としては無難。
味よりもバリエーションを求めたといった感じだろうか。
「一先ずハンバーグは必須だよね」
「なら俺もハンバーグにしようか」
「どれにする? ボクはデミグラスソースのやつを頼もうかと思ってるんだけど」
「そうだな。デミグラスソースもいいな。けど敢えて何もかけていない普通のやつも美味しそうだし、チーズインハンバーグも捨てがたい」
考えながら美味しそうに写された色彩豊かなメニューを見る。
どれも美味しそうだ。
「あとはポテトと――」
メニュー表から少し顔を上げて彼女を見るとページを捲っている。
愛莉は他にも何か頼むようだ。
「やっぱ食後のプリンも必要だよね」
「あ、それは思う」
「だよね。レンも頼む? 」
「俺も頼む」
どうやら気が合うようだ。
食後のプリンほど至高なものはないだろう。
無論他の甘いものも素晴らしい。
しかし口の中を蹂躙するほんのりとした苦みを伴ったカラメルソースと甘いプリンの調和。
食後、一度水で口の中を流し込んだ後の締めとしては最高だろう。
「あとは……、ボクは大丈夫かな。レンは決まった? 」
「俺はハンバーグとプリンかな」
そう言い俺がボタンを押そうとすると、高速で俺の手の下を愛莉の手が通り過ぎた。
早押しか、と思っていると愛莉の手に触れてしまった。
ピンポン、ピンポン。
「「あ」」
愛莉が押した後に勢い余った俺の手が愛莉手ごとボタンを押してベルを鳴らした。
気まずい雰囲気が流れる中、ゆっくりと顔を上げると、愛莉が顔を赤らめている。
頬に熱を感じながら固まり愛莉と向かい合っていると、素早く店員さんがやって来た。
「ご注文をお伺いします」
「「す、すみません」」
謝り注文内容を言う。
よくある事なので、と受け流されながらも俺は心の中で「そんなことないだろう」とツッコミを入れた。
手に茶色い小袋を手に持ちボーリング場とはまた違う騒がしさの中、二階を歩く。
隣をみると、どこか機嫌の良さそうな愛莉が。
俺の結果は散々だったけど、愛莉が楽しんでくれて何よりだ。
「そろそろお昼だな」
「もうそんな時間? 」
「三ゲームもしたからな」
時間をスマホで確認するとお昼を告げていた。
俺の腹時計もお昼を告げている。
「何か食べたいものあるか? 」
「どこに行きたいとかじゃなくて? 」
「それでも良いが行きたい場所でもあるのか? 」
俺が聞くと言い淀む愛莉を見て苦笑しつつ昼食をとる場所を考える。
このバッフルの中に飲食店が幾つかある。
しかしそれは限定的でうどん屋やラーメン店など軽く食べることができるような店である。
一日通して遊べることをモットーにしているこのアミューズメント施設ならではだが、がっつり食べれる店を出している飲食店は少ない。
逆にクレープ屋やアイス店など簡単に食べることができる店は多い。
それらを手にして広い休憩所で食べる、ということだ。
無駄に広いこの施設の面積を贅沢に使った手法といえよう。
「……外で食べようか」
「外で? 」
「ダメかな? 」
「いいよ」
答えるとお礼をいう愛莉。
何で外で食べたいのかはわからないが、この施設の中には彼女の好きなものはなかったようだ。
★
「久しぶりに来たよ。ファミレス」
「……本当にファミレスでよかったのか? 」
「うん。それにもう席についてしまっているからね。ここで食べる以外選択肢はないよ、レン」
座ったまま腰に手を当て胸を張る愛莉。
何故に胸を張るのか、と不思議に思いつつも納得しているのなら良いかと思い特に追及せずメニューを開く。
彼女にメニューを向けるとそれを興味深そうに「どれにしようかな」と覗いていた。
俺達が来たのは大手チェーンのファミレスだ。
お高い所ではなく、学生の懐に優しい方の。
選択肢としては無難。
味よりもバリエーションを求めたといった感じだろうか。
「一先ずハンバーグは必須だよね」
「なら俺もハンバーグにしようか」
「どれにする? ボクはデミグラスソースのやつを頼もうかと思ってるんだけど」
「そうだな。デミグラスソースもいいな。けど敢えて何もかけていない普通のやつも美味しそうだし、チーズインハンバーグも捨てがたい」
考えながら美味しそうに写された色彩豊かなメニューを見る。
どれも美味しそうだ。
「あとはポテトと――」
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愛莉は他にも何か頼むようだ。
「やっぱ食後のプリンも必要だよね」
「あ、それは思う」
「だよね。レンも頼む? 」
「俺も頼む」
どうやら気が合うようだ。
食後のプリンほど至高なものはないだろう。
無論他の甘いものも素晴らしい。
しかし口の中を蹂躙するほんのりとした苦みを伴ったカラメルソースと甘いプリンの調和。
食後、一度水で口の中を流し込んだ後の締めとしては最高だろう。
「あとは……、ボクは大丈夫かな。レンは決まった? 」
「俺はハンバーグとプリンかな」
そう言い俺がボタンを押そうとすると、高速で俺の手の下を愛莉の手が通り過ぎた。
早押しか、と思っていると愛莉の手に触れてしまった。
ピンポン、ピンポン。
「「あ」」
愛莉が押した後に勢い余った俺の手が愛莉手ごとボタンを押してベルを鳴らした。
気まずい雰囲気が流れる中、ゆっくりと顔を上げると、愛莉が顔を赤らめている。
頬に熱を感じながら固まり愛莉と向かい合っていると、素早く店員さんがやって来た。
「ご注文をお伺いします」
「「す、すみません」」
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