可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田

文字の大きさ
上 下
38 / 62

第38話 重原さん、テンパる

しおりを挟む
 れんが一人悶絶もんぜつ友和ともかずにヘルプを出している時、迷える子羊が一人顔を真っ赤にしてベッドの上でゴロンゴロンと悶絶していた。

「ボ、ボ、ボ、ボクなんて大胆なことをぉぉぉぉぉぉ~」

 頭をでてもらったことである。
 あまりの気持ちよさにその時は気にならなかったが帰った今その反動がやってきていた。

 愛莉あいりは一先ずの目標点数八十点を達成した。
 彼女は百点狙いで八十点だったことに不満を覚えたが、同時に約束の事を思い出した。

 具体的に何をしてもらうかは決めていなかった。
 物や金銭的なものを要求する気は最初からなかったので何が良いか考えた。
 その結果が「頭を撫でてもらう」ということであった。

 簾と出会うまであまり人に頼るということをしてこなかった愛莉。
 人付き合いは良いが、彼女は基本的に「する側」。
 頼られることがあっても頼るということはあまりしなかった。

 頭の中でぐるぐると考え付いたのがこれである。
 このように後から悶絶することになるのだが、その時は「物やお金をもらうわけではないご褒美」として彼女の口から漏れ出た。
 追加要求をしたことを考えるとこの要求は彼女の欲求から来ているのかもしれない。
 普段甘えることのない愛莉が心許せる人物として簾を頼った瞬間でもあった。

「………………ふぅふぅふぅ。このボクをここまで苦しめるとは流石レンだね」

 自爆である。
 しかし彼女は一人漫才を続ける。

「でも負けていられない。死んだじいちゃんの名に懸けて! 」

 健在けんざいである。
 彼女の祖父は今日も元気溌剌はつらつハッスルしまくっている。そして祖母にしかられている。

「……でもどうしよう。勢いで頷いてしまったけど、どんな服を着て行けば……、ってこれってまさかデート?! 」

 今更である。
 事実に驚き目を見開いて再度顔を真っ赤にする愛莉。
 簾自身はその気で誘ったわけでは無い。
 あくまで息抜きになれば、という良心から彼女を遊びに誘った。
 結果的に簾もそのことに気が付くのだが後の祭り。

「え、あれってデートのお誘いだったの?! いやデートのお誘いだったよね! 」

 急激にテンションが上がった愛莉は一人大声で確認している。
 その声の大きさに下にいる両親にまで聞こえているのだが彼女は知らない。
 明日の朝ニヤニヤした両親に出迎えられるのだがそれはまた別の話。

「ほ、本当にどうしたら」

 ベッドから起き上がりあわあわと慌てだす愛莉。
 ぎこちない動きでベッドから立つと彼女の目にスマホが映った。

 (そうだ! 冴香さやかに聞こう!)

 そう決めるとすぐにスマホを手に取って電話帳を開ける。
 『遠藤冴香』をタップすると通知音が鳴る。
 それに合わせてか心臓も早くなる。

「さ、冴香。助けて! 」
『……貴方もですか。重原さん』
「え? ボク? 」
『いえなんでもありません。で用事は何でしょうか? 』
「じ、実は……」

 聞きかけた所で愛莉は止まる。

 (あれ? 何を聞くんだっけ? )

 テンパりどうしたらいいのかわからなくなっていた愛莉だが、聞くことを決めずに遠藤に電話をかけてしまった。
 まずい、と思い聞くことを考えている間にも時間は流れる。

『どうしましたか? 』

 少し不穏な雰囲気を感じたのか遠藤がスマホ越しに聞く。
 しかし愛莉は考える。

「じ、実はね――」

 考えても何を聞いたらいいのかわからないと判断した愛莉は、今日あったことを話すことにした。
 遠藤はそれを頭の中でかみ砕きながら考える。

 (大胆なことを頼みましたね)

 遠藤は思った。
 普通かなり広く心を許さない限り頭を撫でさせるようなことはさせない。
 遠藤は無意識下で愛莉がそれほどまでに簾にれ込んでいることを微笑ましく思いながらも、どう答えるか考える。

 彼女にとって初めてのデート。
 失敗したら彼女も簾も傷つくだろう。
 下手な答えは出せないと思いつつ回答を導き出す。

「服のイメージをがらっと変え、あとは……」
「あとは? 」
宇治原うじはらさんに任せると良いのではないでしょうか? 」

 まさかの丸投げであった。
 それに愕然がくぜんとした愛莉は「自分でもなにか出来ないか」と聞くが、遠藤は「任せると良い」とだけ答える。

 遠藤は友和が簾に行った助言内容を知っている。
 故に簾のデートプランは大体予想がつくわけで。

 二人の初デート成功を祈りながらもスマホを切り、彼氏と共に打ち合わせをするのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!

佐々木雄太
青春
四月—— 新たに高校生になった有村敦也。 二つ隣町の高校に通う事になったのだが、 そこでは、予想外の出来事が起こった。 本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。 長女・唯【ゆい】 次女・里菜【りな】 三女・咲弥【さや】 この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、 高校デビューするはずだった、初日。 敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。 カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

処理中です...