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第38話 重原さん、テンパる
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簾が一人悶絶し友和にヘルプを出している時、迷える子羊が一人顔を真っ赤にしてベッドの上でゴロンゴロンと悶絶していた。
「ボ、ボ、ボ、ボクなんて大胆なことをぉぉぉぉぉぉ~」
頭を撫でてもらったことである。
あまりの気持ちよさにその時は気にならなかったが帰った今その反動がやってきていた。
愛莉は一先ずの目標点数八十点を達成した。
彼女は百点狙いで八十点だったことに不満を覚えたが、同時に約束の事を思い出した。
具体的に何をしてもらうかは決めていなかった。
物や金銭的なものを要求する気は最初からなかったので何が良いか考えた。
その結果が「頭を撫でてもらう」ということであった。
簾と出会うまであまり人に頼るということをしてこなかった愛莉。
人付き合いは良いが、彼女は基本的に「する側」。
頼られることがあっても頼るということはあまりしなかった。
頭の中でぐるぐると考え付いたのがこれである。
このように後から悶絶することになるのだが、その時は「物やお金をもらうわけではないご褒美」として彼女の口から漏れ出た。
追加要求をしたことを考えるとこの要求は彼女の欲求から来ているのかもしれない。
普段甘えることのない愛莉が心許せる人物として簾を頼った瞬間でもあった。
「………………ふぅふぅふぅ。このボクをここまで苦しめるとは流石レンだね」
自爆である。
しかし彼女は一人漫才を続ける。
「でも負けていられない。死んだじいちゃんの名に懸けて! 」
健在である。
彼女の祖父は今日も元気溌剌ハッスルしまくっている。そして祖母に叱られている。
「……でもどうしよう。勢いで頷いてしまったけど、どんな服を着て行けば……、ってこれってまさかデート?! 」
今更である。
事実に驚き目を見開いて再度顔を真っ赤にする愛莉。
簾自身はその気で誘ったわけでは無い。
あくまで息抜きになれば、という良心から彼女を遊びに誘った。
結果的に簾もそのことに気が付くのだが後の祭り。
「え、あれってデートのお誘いだったの?! いやデートのお誘いだったよね! 」
急激にテンションが上がった愛莉は一人大声で確認している。
その声の大きさに下にいる両親にまで聞こえているのだが彼女は知らない。
明日の朝ニヤニヤした両親に出迎えられるのだがそれはまた別の話。
「ほ、本当にどうしたら」
ベッドから起き上がりあわあわと慌てだす愛莉。
ぎこちない動きでベッドから立つと彼女の目にスマホが映った。
(そうだ! 冴香に聞こう!)
そう決めるとすぐにスマホを手に取って電話帳を開ける。
『遠藤冴香』をタップすると通知音が鳴る。
それに合わせてか心臓も早くなる。
「さ、冴香。助けて! 」
『……貴方もですか。重原さん』
「え? ボクも? 」
『いえなんでもありません。で用事は何でしょうか? 』
「じ、実は……」
聞きかけた所で愛莉は止まる。
(あれ? 何を聞くんだっけ? )
テンパりどうしたらいいのかわからなくなっていた愛莉だが、聞くことを決めずに遠藤に電話をかけてしまった。
まずい、と思い聞くことを考えている間にも時間は流れる。
『どうしましたか? 』
少し不穏な雰囲気を感じたのか遠藤がスマホ越しに聞く。
しかし愛莉は考える。
「じ、実はね――」
考えても何を聞いたらいいのかわからないと判断した愛莉は、今日あったことを話すことにした。
遠藤はそれを頭の中でかみ砕きながら考える。
(大胆なことを頼みましたね)
遠藤は思った。
普通かなり広く心を許さない限り頭を撫でさせるようなことはさせない。
遠藤は無意識下で愛莉がそれほどまでに簾に惚れ込んでいることを微笑ましく思いながらも、どう答えるか考える。
彼女にとって初めてのデート。
失敗したら彼女も簾も傷つくだろう。
下手な答えは出せないと思いつつ回答を導き出す。
「服のイメージをがらっと変え、あとは……」
「あとは? 」
「宇治原さんに任せると良いのではないでしょうか? 」
まさかの丸投げであった。
それに愕然とした愛莉は「自分でもなにか出来ないか」と聞くが、遠藤は「任せると良い」とだけ答える。
遠藤は友和が簾に行った助言内容を知っている。
故に簾のデートプランは大体予想がつくわけで。
二人の初デート成功を祈りながらもスマホを切り、彼氏と共に打ち合わせをするのであった。
「ボ、ボ、ボ、ボクなんて大胆なことをぉぉぉぉぉぉ~」
頭を撫でてもらったことである。
あまりの気持ちよさにその時は気にならなかったが帰った今その反動がやってきていた。
愛莉は一先ずの目標点数八十点を達成した。
彼女は百点狙いで八十点だったことに不満を覚えたが、同時に約束の事を思い出した。
具体的に何をしてもらうかは決めていなかった。
物や金銭的なものを要求する気は最初からなかったので何が良いか考えた。
その結果が「頭を撫でてもらう」ということであった。
簾と出会うまであまり人に頼るということをしてこなかった愛莉。
人付き合いは良いが、彼女は基本的に「する側」。
頼られることがあっても頼るということはあまりしなかった。
頭の中でぐるぐると考え付いたのがこれである。
このように後から悶絶することになるのだが、その時は「物やお金をもらうわけではないご褒美」として彼女の口から漏れ出た。
追加要求をしたことを考えるとこの要求は彼女の欲求から来ているのかもしれない。
普段甘えることのない愛莉が心許せる人物として簾を頼った瞬間でもあった。
「………………ふぅふぅふぅ。このボクをここまで苦しめるとは流石レンだね」
自爆である。
しかし彼女は一人漫才を続ける。
「でも負けていられない。死んだじいちゃんの名に懸けて! 」
健在である。
彼女の祖父は今日も元気溌剌ハッスルしまくっている。そして祖母に叱られている。
「……でもどうしよう。勢いで頷いてしまったけど、どんな服を着て行けば……、ってこれってまさかデート?! 」
今更である。
事実に驚き目を見開いて再度顔を真っ赤にする愛莉。
簾自身はその気で誘ったわけでは無い。
あくまで息抜きになれば、という良心から彼女を遊びに誘った。
結果的に簾もそのことに気が付くのだが後の祭り。
「え、あれってデートのお誘いだったの?! いやデートのお誘いだったよね! 」
急激にテンションが上がった愛莉は一人大声で確認している。
その声の大きさに下にいる両親にまで聞こえているのだが彼女は知らない。
明日の朝ニヤニヤした両親に出迎えられるのだがそれはまた別の話。
「ほ、本当にどうしたら」
ベッドから起き上がりあわあわと慌てだす愛莉。
ぎこちない動きでベッドから立つと彼女の目にスマホが映った。
(そうだ! 冴香に聞こう!)
そう決めるとすぐにスマホを手に取って電話帳を開ける。
『遠藤冴香』をタップすると通知音が鳴る。
それに合わせてか心臓も早くなる。
「さ、冴香。助けて! 」
『……貴方もですか。重原さん』
「え? ボクも? 」
『いえなんでもありません。で用事は何でしょうか? 』
「じ、実は……」
聞きかけた所で愛莉は止まる。
(あれ? 何を聞くんだっけ? )
テンパりどうしたらいいのかわからなくなっていた愛莉だが、聞くことを決めずに遠藤に電話をかけてしまった。
まずい、と思い聞くことを考えている間にも時間は流れる。
『どうしましたか? 』
少し不穏な雰囲気を感じたのか遠藤がスマホ越しに聞く。
しかし愛莉は考える。
「じ、実はね――」
考えても何を聞いたらいいのかわからないと判断した愛莉は、今日あったことを話すことにした。
遠藤はそれを頭の中でかみ砕きながら考える。
(大胆なことを頼みましたね)
遠藤は思った。
普通かなり広く心を許さない限り頭を撫でさせるようなことはさせない。
遠藤は無意識下で愛莉がそれほどまでに簾に惚れ込んでいることを微笑ましく思いながらも、どう答えるか考える。
彼女にとって初めてのデート。
失敗したら彼女も簾も傷つくだろう。
下手な答えは出せないと思いつつ回答を導き出す。
「服のイメージをがらっと変え、あとは……」
「あとは? 」
「宇治原さんに任せると良いのではないでしょうか? 」
まさかの丸投げであった。
それに愕然とした愛莉は「自分でもなにか出来ないか」と聞くが、遠藤は「任せると良い」とだけ答える。
遠藤は友和が簾に行った助言内容を知っている。
故に簾のデートプランは大体予想がつくわけで。
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