37 / 62
第37話 宇治原くん、デート蔵人に相談する
しおりを挟む
「うぉぉぉぉぉ!!! どうしたらぁぁぁぁぁ!!! 」
愛莉が帰った後俺は一人部屋で悶絶していた。
疲れてそうだったから「遊びに行かないか? 」と聞いたけど、外でやるとナンパそのものっ!
完全に軽い男じゃないか!
てかこれデートの誘いじゃないか!!!
「……どうしたら。そうだ! こういう時こそトモに聞くべきだ! 」
ベッドの上に転がっているスマホを発見。
すぐさま手に取り電話帳を開けて佐々木友和をタップする。
待機音が鳴る。
ドキドキしているせいかスマホが微弱に震えている。
心臓の鼓動がスマホに伝わるようになったのか、と馬鹿なことを考えているとスマホ越しにトモの声が聞こえて来た。
『やぁ。こんな時間にレン君から連絡が来るなんて珍しいね』
「助けて、トモえもん!!! 」
『なぁんだい、レン君』
全身真っ青の国民的AIロボットの真似事をするトモの声を聞き、一瞬で冷静になった。
「その声に違和感が感じられないのがすごい」
会話が途切れた。
一拍置いてまた聞こえて来た。
『こういう時どう返したらいいのかわからないわ』
『笑っているじゃありませんか』
『あ、冴香』
『お二人とも。夜も遅いので電話もほどほどにしてくださいね』
「『了』」
スマホの向こう側から聞こえてくる遠藤さんの言葉に俺は了解の敬礼をした。
電話越しに学校では聞かない遠藤さんの柔らかい声が聞こえてくる。
全く夫婦仲がよろしい事で。
思いながらもスマホに視線を落として、トモに再度声かけた。
「で相談事なんだが」
『ネタじゃなかったんだね』
「……トモは俺の事をどう見ているんだ? 」
『時にボケる影が薄い系成績優秀者』
椅子に座っているのかギィと椅子がきしむ音がスマホから聞こえてくる。
大変不本意な見られ方だが否定できないのが痛い。
『で重原と何かあった? 』
「……時々トモが怖い」
『レン君が困る事なんて生活の事かそれとも免疫のない女性関係だろうから、誰でも想像がつくよ。でレン君の周りに女子といったら遠藤さんくらいしかいない訳で、おのずと答えがわかってくる』
「……誰でも想像つくほど俺はわかりやすくない」
『確かにレン君を認識するところから始めないといけないから、確かにわかりにくいかもね』
そう言う意味で言ったわけじゃないが、確かにそうである。
空気な俺は認識されないのでまずそこから。
しかしこのままだと堂々巡りになりそうなので本題に入る。
今日あったことを話すと僅かな沈黙が流れた。
『……レン君が肉食だったなんて』
「違うわい! 」
『僕の知っているレン君じゃないっ! 返して! 僕のレン君をっ! 』
『そう言うことをやるから誤解されるのですよ。相手は不詳ですが』
『……ごめん』
トモはスマホの向こうで遠藤さんに叱られたようだ。
だが……、はてトモは一体なんのアニメを見たんだろうか。
恐らく何かのセリフだとは思うのだが。
彼がこんなおちょくり方をしている時は、必ずと言って良い程アニメに影響されている時。
『レン君の話を聞く限りだとアドバイスが出来ることはないかな』
「そこをなんとかっ! 」
『精々デートプランを考えるくらいだけど、それはレン君がやった方が良いだろうし』
「そんな無慈悲な」
そういわれても、とスマホ越しから聞こえてくる。
『大体レン君。服を見繕うにも時間ないでしょう? 』
「うぐっ……」
『それにデートプランといっても重原さんがどんな趣味があるかわからないし』
「確かにそうだが」
『典型的な答えは出来るよ? でも当たりはずれの無い無難で普通な思い出にも残らない初めてのデートになってしまうからおすすめしない』
「無難で良いんだが……」
『ネットで探さず僕に聞いたところからそれは本心じゃないよね』
核心を突かれて言葉が出なかった。
ネットを検索すればデートプランのテンプレなんて幾らでも出てくる。
ここがいい、あそこがいいとか。
でも俺は如何せんデート初心者。
可能な限り失敗は避けたい。
無難な所に行くのは簡単だ。しかしその情報が正解とは限らない。ならば信頼のおける蔵人に聞いた方が良いと考えてトモに聞いた。
『ま、ボクと一緒に行くような所でいいんじゃないかな? 』
「……信じていいんだな? 」
『くすっ……。疑う気がないくせに』
ぐうの音も出ない言葉に俺は押し黙る。
『じゃぁね。健闘を祈るよ』
「……ありがとな」
『こっちこそ』
ピロン、と音を鳴らしてスマホが切れた。
「助かってるのは俺の方だと主張したい」
こうしてデート初日を迎えた。
愛莉が帰った後俺は一人部屋で悶絶していた。
疲れてそうだったから「遊びに行かないか? 」と聞いたけど、外でやるとナンパそのものっ!
完全に軽い男じゃないか!
てかこれデートの誘いじゃないか!!!
「……どうしたら。そうだ! こういう時こそトモに聞くべきだ! 」
ベッドの上に転がっているスマホを発見。
すぐさま手に取り電話帳を開けて佐々木友和をタップする。
待機音が鳴る。
ドキドキしているせいかスマホが微弱に震えている。
心臓の鼓動がスマホに伝わるようになったのか、と馬鹿なことを考えているとスマホ越しにトモの声が聞こえて来た。
『やぁ。こんな時間にレン君から連絡が来るなんて珍しいね』
「助けて、トモえもん!!! 」
『なぁんだい、レン君』
全身真っ青の国民的AIロボットの真似事をするトモの声を聞き、一瞬で冷静になった。
「その声に違和感が感じられないのがすごい」
会話が途切れた。
一拍置いてまた聞こえて来た。
『こういう時どう返したらいいのかわからないわ』
『笑っているじゃありませんか』
『あ、冴香』
『お二人とも。夜も遅いので電話もほどほどにしてくださいね』
「『了』」
スマホの向こう側から聞こえてくる遠藤さんの言葉に俺は了解の敬礼をした。
電話越しに学校では聞かない遠藤さんの柔らかい声が聞こえてくる。
全く夫婦仲がよろしい事で。
思いながらもスマホに視線を落として、トモに再度声かけた。
「で相談事なんだが」
『ネタじゃなかったんだね』
「……トモは俺の事をどう見ているんだ? 」
『時にボケる影が薄い系成績優秀者』
椅子に座っているのかギィと椅子がきしむ音がスマホから聞こえてくる。
大変不本意な見られ方だが否定できないのが痛い。
『で重原と何かあった? 』
「……時々トモが怖い」
『レン君が困る事なんて生活の事かそれとも免疫のない女性関係だろうから、誰でも想像がつくよ。でレン君の周りに女子といったら遠藤さんくらいしかいない訳で、おのずと答えがわかってくる』
「……誰でも想像つくほど俺はわかりやすくない」
『確かにレン君を認識するところから始めないといけないから、確かにわかりにくいかもね』
そう言う意味で言ったわけじゃないが、確かにそうである。
空気な俺は認識されないのでまずそこから。
しかしこのままだと堂々巡りになりそうなので本題に入る。
今日あったことを話すと僅かな沈黙が流れた。
『……レン君が肉食だったなんて』
「違うわい! 」
『僕の知っているレン君じゃないっ! 返して! 僕のレン君をっ! 』
『そう言うことをやるから誤解されるのですよ。相手は不詳ですが』
『……ごめん』
トモはスマホの向こうで遠藤さんに叱られたようだ。
だが……、はてトモは一体なんのアニメを見たんだろうか。
恐らく何かのセリフだとは思うのだが。
彼がこんなおちょくり方をしている時は、必ずと言って良い程アニメに影響されている時。
『レン君の話を聞く限りだとアドバイスが出来ることはないかな』
「そこをなんとかっ! 」
『精々デートプランを考えるくらいだけど、それはレン君がやった方が良いだろうし』
「そんな無慈悲な」
そういわれても、とスマホ越しから聞こえてくる。
『大体レン君。服を見繕うにも時間ないでしょう? 』
「うぐっ……」
『それにデートプランといっても重原さんがどんな趣味があるかわからないし』
「確かにそうだが」
『典型的な答えは出来るよ? でも当たりはずれの無い無難で普通な思い出にも残らない初めてのデートになってしまうからおすすめしない』
「無難で良いんだが……」
『ネットで探さず僕に聞いたところからそれは本心じゃないよね』
核心を突かれて言葉が出なかった。
ネットを検索すればデートプランのテンプレなんて幾らでも出てくる。
ここがいい、あそこがいいとか。
でも俺は如何せんデート初心者。
可能な限り失敗は避けたい。
無難な所に行くのは簡単だ。しかしその情報が正解とは限らない。ならば信頼のおける蔵人に聞いた方が良いと考えてトモに聞いた。
『ま、ボクと一緒に行くような所でいいんじゃないかな? 』
「……信じていいんだな? 」
『くすっ……。疑う気がないくせに』
ぐうの音も出ない言葉に俺は押し黙る。
『じゃぁね。健闘を祈るよ』
「……ありがとな」
『こっちこそ』
ピロン、と音を鳴らしてスマホが切れた。
「助かってるのは俺の方だと主張したい」
こうしてデート初日を迎えた。
21
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。

三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※続編がスタートしました!(2025.2.8)
※1日1話ずつ公開していく予定です。
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?

モブが公園で泣いていた少女にハンカチを渡したら、なぜか友達になりました~彼女の可愛いところを知っている男子はこの世で俺だけ~
くまたに
青春
冷姫と呼ばれる美少女と友達になった。
初めての異性の友達と、新しいことに沢山挑戦してみることに。
そんな中彼女が見せる幸せそうに笑う表情を知っている男子は、恐らくモブ一人。
冷姫とモブによる砂糖のように甘い日々は誰にもバレることなく隠し通すことができるのか!
カクヨム・小説家になろうでも記載しています!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる