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第28話 絶対領域が美しいっ!!!
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家に帰り食事を終えシャワーを軽く浴び机に向かう。
机の上に置いてある参考書を眺めて考える。
人に教えるのに自分が知らない、分からない状態は避けたい。
いつも予習復習をしているがそれ以上に勉強しなければ彼女に教えるということは出来ないだろう。
――これは維持するよりも難しそうだ。
人に教えるというのは成績の維持とは全く異なるスキルを使う。
理解はしているが実際にやってみないとわからない。
加えて愛莉の理解力は未知数だ。
苦手科目は教えてもらったが本当に苦手なのかわからない。
実は勉強をしていなかったせいで苦手と思い込んでいる可能性も十分にある。
逆もあり得る。
点数が取れているから得意というわけでは無い。
聞いた範囲で想像するしかないが、客観的に見て彼女の成績はどれも誤差の範囲だ。
――ものは考えよう。
伸びしろが十分にあると考えた方が建設的だろう。
さてと、と化学の参考書に手を伸ばす。
机に置いて開こうとしたらスマホが鳴った。
『今から行っても良い? 』
愛莉も準備が終わったようだ。それに「大丈夫」とだけ打って画面を落とした。
★
ピンポン、とチャイムが鳴る。
早いな、と思いながらも家が正面にあるから当たり前かと納得し椅子を引いた。
再度呼び鈴が鳴る中少し声を張り上げて「はい」と答え扉の方へ。
静かになった部屋を歩きサンダルを履く。
一応覗き窓で確認すると、やはりというべきかそこには黒い瞳がこちらを覗き込んでいた。
なんでそんなことしてんのっ!
今回は心して覗いたから尻餅をつくことは無かったが、それでもドキリとする。
――ガラス一枚。
これを隔てた向こう側に愛莉の顔があると思うと、違う意味で心臓が飛び跳ねそうだ。
暑さが残っているとはいえ秋の夜。
愛莉を待たせてはいけないと思いノブに手をやり扉を開ける。
「来たよ♪ 」
「お、おう」
ボーイッシュ美少女愛莉がそこにいた。
けれど学校で見るような肌を覆い隠したような服ではない。
愛莉は黒いレディースのタンクトップにデニムのショートパンツ、そして黒いニーハイを履いている。
ショートパンツとニーハイが作る絶対領域が美しい。
少しその姿に見惚れていると愛莉が「レン? 」と声を上げた。
はっとし、目線を上げると愛莉の健康そうな肩が丸見えだった。
本当に、美しいっ!
ではなく――。
「寒くないか? 」
「特に? 陸上をしていた方が寒いし」
「……そっか」
彼女にとってこの程度は寒さを感じるほどではないらしい。
自分を何とか律しながら彼女の手にある袋をみる。
「テスト用紙、だけじゃないのか? 」
「お、お母さんが「お世話になるんだから」って言って……、その……。一緒に買ってきた」
そう言い少し顔を背けながら袋を二つ差し出した。
恥ずかしがる所はそこかい、と心の中でツッコんで苦笑しながら「ありがとう」と言いながら受け取った。
紙の重さを感じつつ落とさないようにしっかりと持つ。
他方軽めの紙袋からは甘い香りが漂ってきていることから、お菓子の類だとわかる。
「……もしかして甘い物苦手だった? 」
愛莉は顔を少し下に向け、チラチラとこちらを見つつ申し訳なさそうに聞いてくる。
ちょくちょく可愛いんだよな、と思うもそれを封じて「好きだよ」と答えた。
「そ、そっか。男の子によっては嫌いな人もいるみたいだから……」
「一人暮らしの俺からすれば甘い物なんてスーパーのプリンが限界だ。こんな贅沢いつ以来か」
「そうなんだ。ならよかったよ」
そう言いながら愛莉は笑顔を浮かべて安堵すると、一歩後ろに下がり黒い瞳で俺を真っすぐ見つめてくる。
「じゃぁボクはこれで」
「おう」
「ボクも頑張るからさ。頑張って、将来あるスポーツ選手を救ってみせるから」
愛莉は決意に満ちた表情で宣言し、俺は頷いて答える。
「じゃっ! 」
俺の方に手を振って愛莉は階段を下りていく。
「俺も頑張るか」
彼女の凛々しい表情に、俺も焚きつけられたのか久々に燃えた。
……愛莉の点数は散々だったが。
机の上に置いてある参考書を眺めて考える。
人に教えるのに自分が知らない、分からない状態は避けたい。
いつも予習復習をしているがそれ以上に勉強しなければ彼女に教えるということは出来ないだろう。
――これは維持するよりも難しそうだ。
人に教えるというのは成績の維持とは全く異なるスキルを使う。
理解はしているが実際にやってみないとわからない。
加えて愛莉の理解力は未知数だ。
苦手科目は教えてもらったが本当に苦手なのかわからない。
実は勉強をしていなかったせいで苦手と思い込んでいる可能性も十分にある。
逆もあり得る。
点数が取れているから得意というわけでは無い。
聞いた範囲で想像するしかないが、客観的に見て彼女の成績はどれも誤差の範囲だ。
――ものは考えよう。
伸びしろが十分にあると考えた方が建設的だろう。
さてと、と化学の参考書に手を伸ばす。
机に置いて開こうとしたらスマホが鳴った。
『今から行っても良い? 』
愛莉も準備が終わったようだ。それに「大丈夫」とだけ打って画面を落とした。
★
ピンポン、とチャイムが鳴る。
早いな、と思いながらも家が正面にあるから当たり前かと納得し椅子を引いた。
再度呼び鈴が鳴る中少し声を張り上げて「はい」と答え扉の方へ。
静かになった部屋を歩きサンダルを履く。
一応覗き窓で確認すると、やはりというべきかそこには黒い瞳がこちらを覗き込んでいた。
なんでそんなことしてんのっ!
今回は心して覗いたから尻餅をつくことは無かったが、それでもドキリとする。
――ガラス一枚。
これを隔てた向こう側に愛莉の顔があると思うと、違う意味で心臓が飛び跳ねそうだ。
暑さが残っているとはいえ秋の夜。
愛莉を待たせてはいけないと思いノブに手をやり扉を開ける。
「来たよ♪ 」
「お、おう」
ボーイッシュ美少女愛莉がそこにいた。
けれど学校で見るような肌を覆い隠したような服ではない。
愛莉は黒いレディースのタンクトップにデニムのショートパンツ、そして黒いニーハイを履いている。
ショートパンツとニーハイが作る絶対領域が美しい。
少しその姿に見惚れていると愛莉が「レン? 」と声を上げた。
はっとし、目線を上げると愛莉の健康そうな肩が丸見えだった。
本当に、美しいっ!
ではなく――。
「寒くないか? 」
「特に? 陸上をしていた方が寒いし」
「……そっか」
彼女にとってこの程度は寒さを感じるほどではないらしい。
自分を何とか律しながら彼女の手にある袋をみる。
「テスト用紙、だけじゃないのか? 」
「お、お母さんが「お世話になるんだから」って言って……、その……。一緒に買ってきた」
そう言い少し顔を背けながら袋を二つ差し出した。
恥ずかしがる所はそこかい、と心の中でツッコんで苦笑しながら「ありがとう」と言いながら受け取った。
紙の重さを感じつつ落とさないようにしっかりと持つ。
他方軽めの紙袋からは甘い香りが漂ってきていることから、お菓子の類だとわかる。
「……もしかして甘い物苦手だった? 」
愛莉は顔を少し下に向け、チラチラとこちらを見つつ申し訳なさそうに聞いてくる。
ちょくちょく可愛いんだよな、と思うもそれを封じて「好きだよ」と答えた。
「そ、そっか。男の子によっては嫌いな人もいるみたいだから……」
「一人暮らしの俺からすれば甘い物なんてスーパーのプリンが限界だ。こんな贅沢いつ以来か」
「そうなんだ。ならよかったよ」
そう言いながら愛莉は笑顔を浮かべて安堵すると、一歩後ろに下がり黒い瞳で俺を真っすぐ見つめてくる。
「じゃぁボクはこれで」
「おう」
「ボクも頑張るからさ。頑張って、将来あるスポーツ選手を救ってみせるから」
愛莉は決意に満ちた表情で宣言し、俺は頷いて答える。
「じゃっ! 」
俺の方に手を振って愛莉は階段を下りていく。
「俺も頑張るか」
彼女の凛々しい表情に、俺も焚きつけられたのか久々に燃えた。
……愛莉の点数は散々だったが。
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