可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田

文字の大きさ
上 下
13 / 62

第13話 宇治原くん、風邪をひく 2 看病イベントは突然に 2

しおりを挟む
「連絡あった」

 愛莉の元へ戻り彼女に言う。
 彼女は体をひねって俺を見上げ「やっぱり」とはにかんだ。
 小さく可愛らしい笑顔にドキリとするも顔に出さずに丸机まで向かう。
 カーペットに腰を降ろして、今度は逆に俺が彼女を見上げるような形となった。

 顔を上げたおかげで黒いものに覆われた脚が見えてドキリとする。視線をずらしながらも短めなスカート姿に「無防備すぎ」と心の中でツッコんだ。

 目のやりどころに困り一人気まずくなる中、ソファーの上で足をぶらぶらさせている愛莉が「どうしたの? 」と聞いてくる。
 羞恥心がないのか、と思いながらも「なんでもない」とだけ答える。
 俺の言葉に小首を傾げる愛莉だがこれ以上特に追及することは無かった。
 
 ふぅ、と軽く息を吐きおみ足を直視しないよう勢いよく頭を上げる。
 すると短く切られた髪が輝いているように見えた。

 ……もしかして俺は髪フェチなのだろうか?

「いやそんな事実はない! 」
「うわっ! いきなりどうしたの?! 」
「……気にしないでくれ。男性特有の発作のようなものだ」
「そ、そっか。男性特有の発作なら仕方ないよね」

 全国の男性諸君しょくん。本当に申し訳ない。
 心の中で謝りつつも気まずくなり席を立つ。

「何か飲む? 」
「だ、大丈夫だよ。というよりもレンは休んでいた方が良いんじゃないのかな? 」
「朝薬を飲んだおかげか体調は良いんだ。だから飲み物を出すくらいなんともない」
「それでも油断ゆだん禁物きんもつ! 」

 ピシっと言い、愛莉は持ってきたエコバックを探る。
 バックの中から一本のスポーツドリンクを取り出し、滑るようにソファーから降りカーペットに座り、それを机の上に置いた。

「風邪をひいた時は感じている以上に水分を失っているからね。そんな時の為のスポーツドリンク! 」
「よく知ってるな」
「お母さんの受け売り」

 そっか、と少し微笑ましくなりながらもそれを受け取る。

「じゃぁ早速で悪いけど」

 と言いながらキャップに手をかける。
 少しの抵抗感を感じながら回しふたを取る。

「……しみわたる」

 ゴクリと飲むと思わずぽつりと呟いてしまった。
 冷たいそれが体中に水分が行き渡るようで気持ちがいい。

 ふと愛莉を見るとニヤニヤしている。
 少し恥ずかしくなりながらももう一杯飲んで蓋をめた。

「晩御飯は作れる? 」
「ん~、パンで済まそうかと」
「ならこれ! 」

 次に出してきたのは正方形に近い、よくCMでやっている栄養補給剤。
 ゼリー状のグビっと飲めるやつだ。
 いや飲んだことはないのだけれど。

「栄養補給にはこれだよね! 」
「確かに」

 愛莉は胸を張り堂々と言う。
 それを笑顔で受け取りつつも内心「料理を作ってきてくれたのでは? 」と思った俺の浅はかさっ!

「……本当なら料理を作ってあげたいんだけどね」

 え? 作ってくれる予定だったのか?!

「今は修業中だよ」
「その言葉だけで十分」
「実行に移さないとやらないと同じだから。いつかは手料理を馳走ちそうしてあげるから心して待っててよね! 」
気長きながに待っておくよ」
「そこは早く食べたいという所じゃないのかな? 」
かしてもいいことはないしな」

 特に変な方向に走って危ない物を作られたら困るし。

「レンがそういうのならじっくりと頑張るよ」
「俺としては愛莉の手料理が食べれるだけ嬉しいから、無理せずにな」
「………………うん」

 愛莉はうつむき顔をずらして小さく頷いた。
 ちらりとしか見えないその顔はどこか赤く見える。
 手料理を食べることが嬉しいと聞いて嬉しく思ってくれている、と勘違いしそうになるのは俺がアニメの見過ぎなせいだろう。
 ちょっとした言葉使いで相手に好きになってもらえるなんて非現実的なことはない。

 しかし、どうやら愛莉は料理に慣れていないようだ。
 修業中、ということから恐らく彼女は母にでも習っているのだろう。

 だがそれもそうか。
 今まで陸上一筋ひとすじだったんだ。料理をしている時間が無かったのも当然。

 彼女の手料理を期待しつつ俺はちゅーっと栄養補給剤を飲んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

モブが公園で泣いていた少女にハンカチを渡したら、なぜか友達になりました~彼女の可愛いところを知っている男子はこの世で俺だけ~

くまたに
青春
冷姫と呼ばれる美少女と友達になった。 初めての異性の友達と、新しいことに沢山挑戦してみることに。 そんな中彼女が見せる幸せそうに笑う表情を知っている男子は、恐らくモブ一人。 冷姫とモブによる砂糖のように甘い日々は誰にもバレることなく隠し通すことができるのか! カクヨム・小説家になろうでも記載しています!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※続編がスタートしました!(2025.2.8)  ※1日1話ずつ公開していく予定です。  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について

塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。 好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。 それはもうモテなかった。 何をどうやってもモテなかった。 呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。 そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて―― モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!? 最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。 これはラブコメじゃない!――と <追記> 本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。

三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!

佐々木雄太
青春
四月—— 新たに高校生になった有村敦也。 二つ隣町の高校に通う事になったのだが、 そこでは、予想外の出来事が起こった。 本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。 長女・唯【ゆい】 次女・里菜【りな】 三女・咲弥【さや】 この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、 高校デビューするはずだった、初日。 敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。 カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

俺の家には学校一の美少女がいる!

ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。 今年、入学したばかりの4月。 両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。 そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。 その美少女は学校一のモテる女の子。 この先、どうなってしまうのか!?

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...