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第6話 なんだかんだで心配性な宇治原くん
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「また明日」
「じゃぁな」
「ではごきげんよう」
授業も終わり人が少なくなった教室で俺と熟年夫婦は別れた。
あの二人はいつも一緒に帰っている。
なんだかんだで中学からその夫婦っぷりを見せつけられている俺からすればよく続くよなと思ったりもする。
しかし仲良きことは良い事だ。
彼らの姿が見えなくなると俺は俺で帰る支度をする。
晩御飯は何にしようか。
というよりも冷蔵庫になにか残っていたか?
……、覚えがない。これは帰りにスーパーにでもよらないといけないな。
「レン。まだ残っていたんだ」
俺を呼ぶ声が聞こえて教室の入り口を見る。
「重原さん」
「呼び捨てで「愛莉」で良いよ。ボクもレンって呼んでるし」
ニシシ、と笑みを浮かべながら軽い足取りで愛莉が教室を歩く。
自分の机まで行き椅子を引き、机の中を探っている。
昨日の愛莉とは別人のようで、俺が知っている明るい愛莉その人だ。
「レンはこれから帰るところ? 」
「そんなところ」
「じゃぁ一緒に帰る? 」
机の中から教科書とタブレットを引き出した愛莉が体を俺の方に向けて聞いてきた。
お、女の子と一緒に帰るだと?!
そのようなことがあって良いのか?! あの熟年夫婦じゃあるまいし。
「どうしたの? 変な顔して」
「い、いやなんでも」
「面白いレン」
口に手を当て小さくクスクスと笑う愛莉。
どう返事をしたものか、と考えていると「あ」と何かに気が付いたように愛莉が口を開いた。
「もしかしてこの後なにか用事あった? 」
鞄を手に取り体に寄せて少し近付きながら聞いてきた。
用事。
確かに、この後スーパーに寄ろうと考えていた。これを用事と言えば用事だろう。
しかし「女の子と一緒に帰る」というイベントを差し置いてまでやる用事だろうか。
チラリと教室に備えられた時計を見る。
……もうすぐ安売りが始まる時間だ。
早く行かないと競争に負けてしまう。そうなれば今晩の御飯は寂しい物になるだろう。
スーパーはこの学校とマンションの間にある。
愛莉と一緒に帰ることができるというイベントと晩御飯を天秤にかけたら、大きくイベントに傾いた。
帰る途中に寄ろうと考えていたのだがスーパーは諦めるか。
マンションに帰った後また戻ってスーパーに行き、適当なものを見繕えばいい。
「……いや。ないよ」
「………………本当? 無理してない? 」
疑わしそうな目線で聞いてくる。
昨日あれだけダークオーラを放っていた愛莉には聞かれたくない言葉だ。
しかしどうやら見抜かれているみたい。
徐々に近づいて来る彼女の目がすべてを見透かしているように俺を射貫いていて、少し怖い。
だが一つ訂正させてもらうのならば無理はしていない。
仕送りは多くないが、一日安売りを見逃したくらいで傾くような甘い家計の管理の仕方はしていない。
それよりかは愛莉と一緒に帰った方が良いだろうというもの。
加えるのならば、今彼女は元気だが帰り道が心配だったりもする。
普通に登校してきたのだから大丈夫だとは思うが、一人にするのが心配だ。
お節介なのかもしれない。
余計な心配なのかもしれない。
だけどここで彼女を一人にして事故をされては目覚めが悪い。
これは彼女の為でもあるし、ある意味自分の精神保護のためでもある訳で。
決して彼女の為だけではない。
「もしボクが手伝える用事なら手伝うよ」
愛莉は俺の隣まで来てそう言った。
体が小さいせいか彼女を見下ろす形となっているが、どこか彼女から威圧のようなものを感じる。
これが運動部の威圧というものか、とふざけたことを考えつつ彼女に助けてもらうのもなとも思うわけで。
しかし有無を言わせようとしないその威圧に少したじろぎながらゴクリと息を飲む。
そして顔に熱を感じながら口を開く。
「……スーパーの安売りについて来てください」
悩んだ末、愛莉にスーパーの安売りへの参加を申し込んだ。
「じゃぁな」
「ではごきげんよう」
授業も終わり人が少なくなった教室で俺と熟年夫婦は別れた。
あの二人はいつも一緒に帰っている。
なんだかんだで中学からその夫婦っぷりを見せつけられている俺からすればよく続くよなと思ったりもする。
しかし仲良きことは良い事だ。
彼らの姿が見えなくなると俺は俺で帰る支度をする。
晩御飯は何にしようか。
というよりも冷蔵庫になにか残っていたか?
……、覚えがない。これは帰りにスーパーにでもよらないといけないな。
「レン。まだ残っていたんだ」
俺を呼ぶ声が聞こえて教室の入り口を見る。
「重原さん」
「呼び捨てで「愛莉」で良いよ。ボクもレンって呼んでるし」
ニシシ、と笑みを浮かべながら軽い足取りで愛莉が教室を歩く。
自分の机まで行き椅子を引き、机の中を探っている。
昨日の愛莉とは別人のようで、俺が知っている明るい愛莉その人だ。
「レンはこれから帰るところ? 」
「そんなところ」
「じゃぁ一緒に帰る? 」
机の中から教科書とタブレットを引き出した愛莉が体を俺の方に向けて聞いてきた。
お、女の子と一緒に帰るだと?!
そのようなことがあって良いのか?! あの熟年夫婦じゃあるまいし。
「どうしたの? 変な顔して」
「い、いやなんでも」
「面白いレン」
口に手を当て小さくクスクスと笑う愛莉。
どう返事をしたものか、と考えていると「あ」と何かに気が付いたように愛莉が口を開いた。
「もしかしてこの後なにか用事あった? 」
鞄を手に取り体に寄せて少し近付きながら聞いてきた。
用事。
確かに、この後スーパーに寄ろうと考えていた。これを用事と言えば用事だろう。
しかし「女の子と一緒に帰る」というイベントを差し置いてまでやる用事だろうか。
チラリと教室に備えられた時計を見る。
……もうすぐ安売りが始まる時間だ。
早く行かないと競争に負けてしまう。そうなれば今晩の御飯は寂しい物になるだろう。
スーパーはこの学校とマンションの間にある。
愛莉と一緒に帰ることができるというイベントと晩御飯を天秤にかけたら、大きくイベントに傾いた。
帰る途中に寄ろうと考えていたのだがスーパーは諦めるか。
マンションに帰った後また戻ってスーパーに行き、適当なものを見繕えばいい。
「……いや。ないよ」
「………………本当? 無理してない? 」
疑わしそうな目線で聞いてくる。
昨日あれだけダークオーラを放っていた愛莉には聞かれたくない言葉だ。
しかしどうやら見抜かれているみたい。
徐々に近づいて来る彼女の目がすべてを見透かしているように俺を射貫いていて、少し怖い。
だが一つ訂正させてもらうのならば無理はしていない。
仕送りは多くないが、一日安売りを見逃したくらいで傾くような甘い家計の管理の仕方はしていない。
それよりかは愛莉と一緒に帰った方が良いだろうというもの。
加えるのならば、今彼女は元気だが帰り道が心配だったりもする。
普通に登校してきたのだから大丈夫だとは思うが、一人にするのが心配だ。
お節介なのかもしれない。
余計な心配なのかもしれない。
だけどここで彼女を一人にして事故をされては目覚めが悪い。
これは彼女の為でもあるし、ある意味自分の精神保護のためでもある訳で。
決して彼女の為だけではない。
「もしボクが手伝える用事なら手伝うよ」
愛莉は俺の隣まで来てそう言った。
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これが運動部の威圧というものか、とふざけたことを考えつつ彼女に助けてもらうのもなとも思うわけで。
しかし有無を言わせようとしないその威圧に少したじろぎながらゴクリと息を飲む。
そして顔に熱を感じながら口を開く。
「……スーパーの安売りについて来てください」
悩んだ末、愛莉にスーパーの安売りへの参加を申し込んだ。
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