星の輝く異世界アイドル配信記

緑知由

文字の大きさ
上 下
8 / 13
初仕事はヤマタノオロチ退治!?

初仕事はヤマタノオロチ退治!?

しおりを挟む
「これで精霊オーディション合格ってことだよね! 晴れてわたしもみうちゃんもアイドルだーーっ! やったぁ!!」

「マイコは今はF級だけど、もとはS級の凄腕精霊わら!」

 へぇ、この精霊さんはマイコって名前なのか。

「スカウトするに値する人間がいなかったから契約しなかったどすえ。ちなみにツクヨミはんとは100年来の友達どす」

 精霊って長生きなんだな。

「ねぇねぇ、それでさ、初仕事はなんなの? ドラマ? CM? 読者モデル?」

「この世界の娯楽は人間が物怪と戦う姿を見ることどすえ。テレビもYouTubeもその話題ばかりどす」

「なんだか、古代ローマのコロッセオみたいですね」

「なにそれ?」

「剣闘士という戦士が猛獣などと戦うことがエンターテインメントだったらしいです」

 みうちゃんは物知りで頼もしいな。

「そういえばさ、物怪ってなんなの? 倒すと消えちゃうし、生き物じゃないみたい」

「アイドルになったからには教えてあげるどす。物怪は地球という世界の人が見た悪夢どすえ。物怪を倒すことで、地球の人たちの病気を治したり、気持ちを落ち着かせたりできるどす。最近は特に物怪が増えているみたいどすえ」

「そうなんだね。ここで頑張れば、みんなを元気にできるし、地球でも人気アイドルになれるなんて最高じゃない! わたし戦うよ!」

「あたしも頑張ります!」

 みうちゃんもやる気に燃えている。

「では、初仕事はヤマタノオロチ退治を命じるどす」

「えええっ!? それはHIBIKIのメンバーでも手こずるわらよ?」

「つかみが大事どすえ。いきなり100万再生を狙うどす」

 ひ、100万再生。わたしがクマに化けたツクヨミをぶっとばした動画でも100再生だったのに。

「精霊オーディションに合格したみたいだな」

 ヒカルくんが森の中に入ってきた。

「友達のマイコわら。仲良くしてわら」

「そうなんだね。おめでとう、ふたりとも」

「それがね、次の仕事はヤマタノオロチ退治みたいなの」

 わたしの言葉にヒカルくんが目を丸くした。

「おい! ふたりを殺す気かよ?」

「このふたりならできると思っただけどすえ」

「じゃあ、こういうのはどうだい。コラボ動画。みんなでヤマタノオロチを退治しようじゃないか」

「うーん……」

 マイコちゃんは考えているみたい。わたしとしてはタケルくんと一緒に戦えるほうが嬉しいけれど。

「コラボ動画は人気アップのチャンスどすえ! わかったどす。認めるどすえ。じゃあ、ふたりに契約の剣を与えるどす」

 光の粒は剣の形になって、次第に光が収まると巨大な剣になった。

「わたしの武器はずいぶんと大きいんだね。でも、すごく軽い。片手で振り回せるよ」

 わたしはその場で剣を振るってみた。すごい力があるとは思えないが、アイドルの力があればどうなるのか見てみたい。

「あたしの武器はレイピアっていう細身の剣ですね! がんばります!」

「じゃあ、契約もできたし、ドラゴンでまた戻ろうか」

 タケルくんが首飾りを握りしめるとまたドラゴンが飛んで来た。ものすごく便利だけれど、わたしって飛行機とかジェットコースターが実は苦手なんだよね。ひとりでは操縦できないかな。

「空の旅は楽しいですよね!」

 みうちゃんは空の旅が得意みたいだ。意外に勇敢なのかもしれない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

こちら御神楽学園心霊部!

緒方あきら
児童書・童話
取りつかれ体質の主人公、月城灯里が霊に憑かれた事を切っ掛けに心霊部に入部する。そこに数々の心霊体験が舞い込んでくる。事件を解決するごとに部員との絆は深まっていく。けれど、彼らにやってくる心霊事件は身の毛がよだつ恐ろしいものばかりで――。 灯里は取りつかれ体質で、事あるごとに幽霊に取りつかれる。 それがきっかけで学校の心霊部に入部する事になったが、いくつもの事件がやってきて――。 。 部屋に異音がなり、主人公を怯えさせる【トッテさん】。 前世から続く呪いにより死に導かれる生徒を救うが、彼にあげたお札は一週間でボロボロになってしまう【前世の名前】。 通ってはいけない道を通り、自分の影を失い、荒れた祠を修復し祈りを捧げて解決を試みる【竹林の道】。 どこまでもついて来る影が、家まで辿り着いたと安心した主人公の耳元に突然囁きかけてさっていく【楽しかった?】。 封印されていたものを解き放つと、それは江戸時代に封じられた幽霊。彼は門吉と名乗り主人公たちは土地神にするべく扱う【首無し地蔵】。 決して話してはいけない怪談を話してしまい、クラスメイトの背中に危険な影が現れ、咄嗟にこの話は嘘だったと弁明し霊を払う【嘘つき先生】。 事故死してさ迷う亡霊と出くわしてしまう。気付かぬふりをしてやり過ごすがすれ違い様に「見えてるくせに」と囁かれ襲われる【交差点】。 ひたすら振返らせようとする霊、駅まで着いたがトンネルを走る窓が鏡のようになり憑りついた霊の禍々しい姿を見る事になる【うしろ】。 都市伝説の噂を元に、エレベーターで消えてしまった生徒。記憶からさえもその存在を消す神隠し。心霊部は総出で生徒の救出を行った【異世界エレベーター】。 延々と名前を問う不気味な声【名前】。 10の怪異譚からなる心霊ホラー。心霊部の活躍は続いていく。 

スコウキャッタ・ターミナル

nono
児童書・童話
「みんなと違う」妹がチームの優勝杯に吐いた日、ついにそのテディベアをエレンは捨てる。すると妹は猫に変身し、謎の二人組に追われることにーー 空飛ぶトラムで不思議な世界にやってきたエレンは、弱虫王子とワガママ王女を仲間に加え、妹を人間に戻そうとするが・・・

飛べ、ミラクル!

矢野 零時
児童書・童話
おもちゃのロボット、ミラクルは、本当のロボットになることを夢みていたのです。お兄ちゃんはそんなことを知らずに、他のロボットに目をうつし、ないがしろにし始めていました。そんなミラクルをカナは助け出そうとしましたが、遠足につれていき、山の中に落としてしまいました。それでも、ミラクルは……。

【完結】お試しダンジョンの管理人~イケメンたちとお仕事がんばってます!~

みなづきよつば
児童書・童話
異世界ファンタジーやモンスター、バトルが好きな人必見!  イケメンとのお仕事や、甘酸っぱい青春のやりとりが好きな方、集まれ〜! 十三歳の女の子が主人公です。 第1回きずな児童書大賞へのエントリー作品です。 投票よろしくお願いします! 《あらすじ》 とある事情により、寝泊まりできて、働ける場所を探していた十三歳の少女、エート。 エートは、路地裏の掲示板で「ダンジョン・マンション 住み込み管理人募集中 面接アリ」というあやしげなチラシを発見する。 建物の管理人の募集だと思い、面接へと向かうエート。 しかし、管理とは実は「お試しダンジョン」の管理のことで……!? 冒険者がホンモノのダンジョンへ行く前に、練習でおとずれる「お試しダンジョン」。 そこでの管理人としてのお仕事は、モンスターとのつきあいや、ダンジョン内のお掃除、はては、ゴーレムづくりまで!? おれ様イケメン管理人、ヴァンと一緒に、エートがダンジョンを駆けまわる! アナタも、ダンジョン・マンションの管理人になってみませんか? *** ご意見・ご感想お待ちしてます! 2023/05/24 野いちごさんへも投稿し始めました。 2023/07/31 第2部を削除し、第1回きずな児童書大賞にエントリーしました。 詳しくは近況ボードをご覧ください。

盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。

桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。 山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。 そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。 するとその人は優しい声で言いました。 「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」 その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。 (この作品はほぼ毎日更新です)

鎌倉西小学校ミステリー倶楽部

澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】 https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230 【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】 市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。 学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。 案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。 ……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。 ※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。 ※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。 ※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。 ※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)

マサオの三輪車

よん
児童書・童話
Angel meets Boy. ゾゾとマサオと……もう一人の物語。

宝石店の魔法使い~吸血鬼と赤い石~

橘花やよい
児童書・童話
宝石店の娘・ルリは、赤い瞳の少年が持っていた赤い宝石を、間違えてお客様に売ってしまった。 しかも、その少年は吸血鬼。石がないと人を襲う「吸血衝動」を抑えられないらしく、「石を返せ」と迫られる。お仕事史上、最大の大ピンチ! だけどレオは、なにかを隠しているようで……? そのうえ、宝石が盗まれたり、襲われたりと、騒動に巻き込まれていく。 魔法ファンタジー×ときめき×お仕事小説! 「第1回きずな児童書大賞」特別賞をいただきました。

処理中です...