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家に取り憑いた妖怪
家に取り憑いた妖怪(4)
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剣士くんが右手の指を鳴らすと刀がいくつも現れて、いっせいに貧乏神に切りかかった。しかし、貧乏神が猫の可愛らしい肉球で首輪の鈴を鳴らすと、バリアのような光に包まれて刀が消滅してしまった。
「いっひっひっ、妖怪王の妖術敗れたりですな」
貧乏神は手を舐めながら毛づくろいを優雅にしている。余裕がみてとれた。
「な、なんだとっ! 僕の術が5級妖怪ごときに!?」
「なんでか、教えてさしあげましょうか。それはね、妖怪王より強いモノが異国からやってきたからなんですよ。たしか、ばんぱいあ? とか言ったかな。異国の妖術は日本の妖術のはるか先を行っていたんだ。あんたが寝ている間に、世界はかわったのさ。妖怪王ではなく、洋怪王の支配する世の中にね!」
「ねえ、雪姫ちゃん、きっとあの妖怪には雪姫ちゃんの術が効くよ! 雪女なんでしょ!?」
「わかったでありんす。まったく、寝ぼすけな兄を持つと苦労しんす。吹雪の術!」
雪姫は人をやせさせたり、太らせるだけじゃない。雪女なんだから、雪を扱う術にも長けているはずだ。
雪姫ちゃんが手から吹雪を発生させると、あっという間に部屋ごと貧乏神は氷ついた。
「な、なぜだ。僕の術は効かないのに、雪姫の術が効くなんて……」
剣士くんにとっては屈辱的なことだったみたいだ。妖怪の王様だとか言っていたし、プライドだってあるのだろう。それが弱い妖怪に負けたら悔しいに決まっている。
「たぶん、術の相性だから気にしないで平気だよ」
わたしはとっさにゲームの知識を喋っていた。貧乏神は猫の妖怪だったから寒さに弱かったのだろうと思ったからだ。
剣士くんは首をかしげて考え事をしている。
「わかった。いおりの知識が必要なのかもしれない。異国について教えてくれないか」
い、異国って、わたし、自慢じゃないけれどあまり勉強は得意じゃないんだよなぁ。それでも、300年以上寝ていた剣士くんよりは詳しいか。
「いっひっひっ、妖怪王の妖術敗れたりですな」
貧乏神は手を舐めながら毛づくろいを優雅にしている。余裕がみてとれた。
「な、なんだとっ! 僕の術が5級妖怪ごときに!?」
「なんでか、教えてさしあげましょうか。それはね、妖怪王より強いモノが異国からやってきたからなんですよ。たしか、ばんぱいあ? とか言ったかな。異国の妖術は日本の妖術のはるか先を行っていたんだ。あんたが寝ている間に、世界はかわったのさ。妖怪王ではなく、洋怪王の支配する世の中にね!」
「ねえ、雪姫ちゃん、きっとあの妖怪には雪姫ちゃんの術が効くよ! 雪女なんでしょ!?」
「わかったでありんす。まったく、寝ぼすけな兄を持つと苦労しんす。吹雪の術!」
雪姫は人をやせさせたり、太らせるだけじゃない。雪女なんだから、雪を扱う術にも長けているはずだ。
雪姫ちゃんが手から吹雪を発生させると、あっという間に部屋ごと貧乏神は氷ついた。
「な、なぜだ。僕の術は効かないのに、雪姫の術が効くなんて……」
剣士くんにとっては屈辱的なことだったみたいだ。妖怪の王様だとか言っていたし、プライドだってあるのだろう。それが弱い妖怪に負けたら悔しいに決まっている。
「たぶん、術の相性だから気にしないで平気だよ」
わたしはとっさにゲームの知識を喋っていた。貧乏神は猫の妖怪だったから寒さに弱かったのだろうと思ったからだ。
剣士くんは首をかしげて考え事をしている。
「わかった。いおりの知識が必要なのかもしれない。異国について教えてくれないか」
い、異国って、わたし、自慢じゃないけれどあまり勉強は得意じゃないんだよなぁ。それでも、300年以上寝ていた剣士くんよりは詳しいか。
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