50 / 53
氷塞城市
4
しおりを挟む
時々、夜の歩道の光景が浮かぶ。
帰るよ、と誰かに言ってきた。
その人はなんていうんだっけ。
自分は何と呼ばれていたんだっけ。
そこまで考えて、藍は飛び起きた。
「危ない! 思い出さなきゃ」
すると誰かが「御用は」と聞いてくる。
「ありません。ごめんなさい」
藍は早口でそう答えた。
「藍。私の名前。藍」
自分の名前を忘れそうって、末期だろう。
今日は思い出せることがほとんどない。
自分はずっとこのまちで暮らしているのではなかったか。
今はケガした吏王の世話をしている。
それが与えられた仕事。
吏王はこの楼閣の主人だが、不在にしていることも多い。
姐さんがその間は住人をまとめるのだ。
藍は吏王が訪れるこの家を守っていて。
「本当か」
問う声。
藍はああ、と呟いた。
「私は、海の近くで姐さんの船に乗ったんだっけ……」
では、ここで暮らしていると思ったのは間違い。
「蜃気楼から出るには」
誰かが教えてくれる。
「藍、忘れないでほしい」
帰るよ。
藍は着替えを探した。
この部屋には荷物をしまうようなものがない。
では誰かが持っている。
「最初に来ていた服を返してください」
最初。
なぜ自分はここに来た。
いつ来た。
誰と?
「藍。帰るのはここだ」
砂浜の光景と共に声がする。
寝ぼけている?
ぱさりと音がして、枕元に藍の服が現れた。
スマホが上に乗っている。
冷たい水に濡れたのだと思い出した。
姐さんと。
ここに来た。
急いで着替えて泉殿に向かう。
吏王はクッションに寄りかかったまま眠っていた。
テレビはついている。
画面はタイトルで静止していた。
手元に何枚か映画のディスクが散らばっている。
起こしたくなくて、そばにそっと座った。
ケガは治ったのかな。
もう痛くはない?
見えるところに傷跡はない。
この人は、……何だ?
「蛟龍だ」
誰かがきっぱりと教えてくれた。
「蛟龍という生き物だ」
目を開けて、吏王は一度、画面の方を見た。
ゆっくり視線を巡らせて、藍のところで止める。
「起きるまで、待ってた……?」
そんなことされたことがなかった。
理由がわからずに不思議そうな面持ちになる。
藍の用件が何か服装で察した。
静かに身を起こす。
促すように見つめた。
「吏王さん、私、帰りますよ」
藍はそう告げる。
「どこへ帰るんですか?」
そう聞いた時、空気が変わった。
「スタジアム近くの橋の上。
砂浜の近く。
そこからここに来た」
藍は答える。
「ここはどこだか知っているんですか?」
「蛟龍の蜃気楼の中です。
吏王さんの楼閣のまち。
あなたは蛟龍という生き物」
人間の姿の吏王は笑った。
藍には記憶がほとんど残っていないことが分かる。
何を捨てても覚えていなければいけないこと。
それを手放さなかった。
結んでおいたのは、おそらく。
「ここの出入り口はどこですか?」
もやが部屋の中に入ってくる。
「楼閣の傍に桟橋があります。
石の飾りのついた桟橋。
姐さんと手を繋いでいなければ現れない。
それが出入り口です」
吏王はため息を吐いた。
「もうちょっと難しい出入り口にしよう」
「簡単じゃないですよ」
藍は吹き出す。
もやはどんどん濃くなってきていた。
「龍の姿を見せてください」
お願いすると、白龍が姿を現す。
古傷が多く刻まれた肢体。
「きれいでかっこいいです。龍の姿」
厳しい環境を戦って生き抜いた。
それはほんとうのこと。
「もう帰るんですね」
吏王の声は静かに沈む。
「よく眠れたのに。残念です」
「静かに過ごしたいなら姐さんはこの家にずっと出禁です」
白龍はちょっと牙を見せる。
これは笑っている顔だと分かった。
誰かはもっとはっきり笑う。
かぱっと口を開けて。
大きな声で笑う。
誰だっけ。
「藍さん」
その声と、元気な声が重なった。
「藍」
「邪魔しません。行って」
静かな声が続く。
「自分がここを出た時は、昊とやり合う時です。
どちらに転ぼうともう会えませんね」
「盗まない将来だって選べますよ」
藍は言ったが、吏王はそうは思わなかった。
「この楼閣がある限り自分は盗賊です」
生き物はままならない。
「もうすぐ時期が来ると分かるんです。
自分にそれを果たす力が残っていないことも分かるんです。
でもね、天にのぼらなきゃ、いけない」
どうしようもなく絡まった人のために。
てめえがいちばんの大間違いだったって、つきつけないために。
吏王は龍になると決めた。
「盗ってでも」
独白のような呟きは最後藍に向く。
「逆らえないんですよ」
のぼりたいと切望する。
叶えるために何でもする。
倒れて落ちるまで。夢中で。
吏王の目は哀れっぽくも弱くもなかった。
もうその道に決めてしまった。
だから突き通す。
「さようなら」
藍は一言言い置いて家を出た。
もやの中、楼閣の足元まで来て姐さんを呼びつける。
上からひょいと顔を出してきた。
「姐さん、下りてきて」
「駄賃次第」
くっそ。
「これは?」
藍は胸元の石を取り出して首から外した。
姐さんはすぐに降りてくる。
「くれんのかい?」
「見せるだけ」
藍は彼女にそれを渡すと周りを見回した。
冷たい風が顔に当たる。
不自然な枯れ草の塊があった。
そちらに歩き出すと、草むらの手前で手を掴まれる。
「そっちには何もないよ」
姐さんだった。
「ここは蛟龍の楼閣」
藍は姐さんの手を掴みかえす。
「私はスタジアム近くの橋の上で蜃気楼に入った。
そこに帰る」
ぐいっと引いて姐さんごと草むらに突っ込んだ。
「あんたとここが出入り口でしょ」
「うぉ……っ」
姐さんが驚いて叫ぶ。
思い切って飛ぶと、背中から船に落ちた。
痛い、と悲鳴をあげたが、船が動き出したのに気づいて慌てて起きる。
「っし!」
思わず拳を突き上げた。
「お嬢さん……」
悔しそうな姐さんの頭の上から、また笑い声がする。
今は分かった。
これは吏王。
負けだ。
藍は自力で帰る。
姐さんは舌打ちした。
誰か待っている。
行く手を見た。
ここにいる。
そう言って待ってくれている。
「昊」
それが何なのかは思い出せなかった。
なぜ帰るのかも忘れている。
船底が擦るような音がし始めた。
そこに手が伸びてきて、船を引く。
「藍、帰ってきた」
大きな声が聞こえた。
片腕で藍を受け取り、片手は姐さんから石を取り返す。
「お前になんかやらない。
鱗一枚だって嫌だ」
幼い子のように言った。
そして蜃気楼の境目から飛び出した。
目の前に霧が濃くかかっている。
風に乗ってどんどん湾の方へと流れていった。
「昊だね」
霧が晴れるにつれて記憶が戻ってくる。
「藍はすごいな」
あははって、大きな声で笑った。
去年はこの顔が不安になったけど、今日はこの顔で嬉しい。
昊はひとしきり笑って。
すぐにへたり込んでしまった。
「どうした、昊」
藍もしゃがんで目線を合わせる。
様子がおかしかった。
顔つきが、……ぽやんと? している。
「風邪ひいた」
この蛟龍はふわふわとそう言った。
「風邪?」
「うん。商店街のおばちゃんが、風邪じゃない? って」
そんなわけあるか。
そんなことあるのか??
「初めてきっちり人間として暮らしたんだ。
いろいろと慣れなかったのかもしれない。
藍がいない間はずっとこの姿だった」
「なぜ」
藍は驚きすぎてほとんど睨むみたいになる。
「藍に店を守れって言われたから。
人間としてしないといけないと思った」
昊は。
気ままなようで、ちゃんと見ている。
「藍がいなくてこわかった。
帰ってくると信じてはいたんだ。
同じくらい、全部を忘れて帰ってこなくなるかと思って。
気が病んでいた」
「それで、風邪ひいたの?」
「たぶん」
藍はきょろきょろと辺りを見回した。
図鑑(小法師)はいない。
「帰ろう」
そう言って、スマホが生きているか確認した。
昊から毎日写真が届いている。
ここに通って、藍を待っていた。
「風邪かもね」
毎日日が暮れてから海風にさらされていたから。
藍はぼーっとして緩んでいるような昊をひっぱった。
帰るよ、と誰かに言ってきた。
その人はなんていうんだっけ。
自分は何と呼ばれていたんだっけ。
そこまで考えて、藍は飛び起きた。
「危ない! 思い出さなきゃ」
すると誰かが「御用は」と聞いてくる。
「ありません。ごめんなさい」
藍は早口でそう答えた。
「藍。私の名前。藍」
自分の名前を忘れそうって、末期だろう。
今日は思い出せることがほとんどない。
自分はずっとこのまちで暮らしているのではなかったか。
今はケガした吏王の世話をしている。
それが与えられた仕事。
吏王はこの楼閣の主人だが、不在にしていることも多い。
姐さんがその間は住人をまとめるのだ。
藍は吏王が訪れるこの家を守っていて。
「本当か」
問う声。
藍はああ、と呟いた。
「私は、海の近くで姐さんの船に乗ったんだっけ……」
では、ここで暮らしていると思ったのは間違い。
「蜃気楼から出るには」
誰かが教えてくれる。
「藍、忘れないでほしい」
帰るよ。
藍は着替えを探した。
この部屋には荷物をしまうようなものがない。
では誰かが持っている。
「最初に来ていた服を返してください」
最初。
なぜ自分はここに来た。
いつ来た。
誰と?
「藍。帰るのはここだ」
砂浜の光景と共に声がする。
寝ぼけている?
ぱさりと音がして、枕元に藍の服が現れた。
スマホが上に乗っている。
冷たい水に濡れたのだと思い出した。
姐さんと。
ここに来た。
急いで着替えて泉殿に向かう。
吏王はクッションに寄りかかったまま眠っていた。
テレビはついている。
画面はタイトルで静止していた。
手元に何枚か映画のディスクが散らばっている。
起こしたくなくて、そばにそっと座った。
ケガは治ったのかな。
もう痛くはない?
見えるところに傷跡はない。
この人は、……何だ?
「蛟龍だ」
誰かがきっぱりと教えてくれた。
「蛟龍という生き物だ」
目を開けて、吏王は一度、画面の方を見た。
ゆっくり視線を巡らせて、藍のところで止める。
「起きるまで、待ってた……?」
そんなことされたことがなかった。
理由がわからずに不思議そうな面持ちになる。
藍の用件が何か服装で察した。
静かに身を起こす。
促すように見つめた。
「吏王さん、私、帰りますよ」
藍はそう告げる。
「どこへ帰るんですか?」
そう聞いた時、空気が変わった。
「スタジアム近くの橋の上。
砂浜の近く。
そこからここに来た」
藍は答える。
「ここはどこだか知っているんですか?」
「蛟龍の蜃気楼の中です。
吏王さんの楼閣のまち。
あなたは蛟龍という生き物」
人間の姿の吏王は笑った。
藍には記憶がほとんど残っていないことが分かる。
何を捨てても覚えていなければいけないこと。
それを手放さなかった。
結んでおいたのは、おそらく。
「ここの出入り口はどこですか?」
もやが部屋の中に入ってくる。
「楼閣の傍に桟橋があります。
石の飾りのついた桟橋。
姐さんと手を繋いでいなければ現れない。
それが出入り口です」
吏王はため息を吐いた。
「もうちょっと難しい出入り口にしよう」
「簡単じゃないですよ」
藍は吹き出す。
もやはどんどん濃くなってきていた。
「龍の姿を見せてください」
お願いすると、白龍が姿を現す。
古傷が多く刻まれた肢体。
「きれいでかっこいいです。龍の姿」
厳しい環境を戦って生き抜いた。
それはほんとうのこと。
「もう帰るんですね」
吏王の声は静かに沈む。
「よく眠れたのに。残念です」
「静かに過ごしたいなら姐さんはこの家にずっと出禁です」
白龍はちょっと牙を見せる。
これは笑っている顔だと分かった。
誰かはもっとはっきり笑う。
かぱっと口を開けて。
大きな声で笑う。
誰だっけ。
「藍さん」
その声と、元気な声が重なった。
「藍」
「邪魔しません。行って」
静かな声が続く。
「自分がここを出た時は、昊とやり合う時です。
どちらに転ぼうともう会えませんね」
「盗まない将来だって選べますよ」
藍は言ったが、吏王はそうは思わなかった。
「この楼閣がある限り自分は盗賊です」
生き物はままならない。
「もうすぐ時期が来ると分かるんです。
自分にそれを果たす力が残っていないことも分かるんです。
でもね、天にのぼらなきゃ、いけない」
どうしようもなく絡まった人のために。
てめえがいちばんの大間違いだったって、つきつけないために。
吏王は龍になると決めた。
「盗ってでも」
独白のような呟きは最後藍に向く。
「逆らえないんですよ」
のぼりたいと切望する。
叶えるために何でもする。
倒れて落ちるまで。夢中で。
吏王の目は哀れっぽくも弱くもなかった。
もうその道に決めてしまった。
だから突き通す。
「さようなら」
藍は一言言い置いて家を出た。
もやの中、楼閣の足元まで来て姐さんを呼びつける。
上からひょいと顔を出してきた。
「姐さん、下りてきて」
「駄賃次第」
くっそ。
「これは?」
藍は胸元の石を取り出して首から外した。
姐さんはすぐに降りてくる。
「くれんのかい?」
「見せるだけ」
藍は彼女にそれを渡すと周りを見回した。
冷たい風が顔に当たる。
不自然な枯れ草の塊があった。
そちらに歩き出すと、草むらの手前で手を掴まれる。
「そっちには何もないよ」
姐さんだった。
「ここは蛟龍の楼閣」
藍は姐さんの手を掴みかえす。
「私はスタジアム近くの橋の上で蜃気楼に入った。
そこに帰る」
ぐいっと引いて姐さんごと草むらに突っ込んだ。
「あんたとここが出入り口でしょ」
「うぉ……っ」
姐さんが驚いて叫ぶ。
思い切って飛ぶと、背中から船に落ちた。
痛い、と悲鳴をあげたが、船が動き出したのに気づいて慌てて起きる。
「っし!」
思わず拳を突き上げた。
「お嬢さん……」
悔しそうな姐さんの頭の上から、また笑い声がする。
今は分かった。
これは吏王。
負けだ。
藍は自力で帰る。
姐さんは舌打ちした。
誰か待っている。
行く手を見た。
ここにいる。
そう言って待ってくれている。
「昊」
それが何なのかは思い出せなかった。
なぜ帰るのかも忘れている。
船底が擦るような音がし始めた。
そこに手が伸びてきて、船を引く。
「藍、帰ってきた」
大きな声が聞こえた。
片腕で藍を受け取り、片手は姐さんから石を取り返す。
「お前になんかやらない。
鱗一枚だって嫌だ」
幼い子のように言った。
そして蜃気楼の境目から飛び出した。
目の前に霧が濃くかかっている。
風に乗ってどんどん湾の方へと流れていった。
「昊だね」
霧が晴れるにつれて記憶が戻ってくる。
「藍はすごいな」
あははって、大きな声で笑った。
去年はこの顔が不安になったけど、今日はこの顔で嬉しい。
昊はひとしきり笑って。
すぐにへたり込んでしまった。
「どうした、昊」
藍もしゃがんで目線を合わせる。
様子がおかしかった。
顔つきが、……ぽやんと? している。
「風邪ひいた」
この蛟龍はふわふわとそう言った。
「風邪?」
「うん。商店街のおばちゃんが、風邪じゃない? って」
そんなわけあるか。
そんなことあるのか??
「初めてきっちり人間として暮らしたんだ。
いろいろと慣れなかったのかもしれない。
藍がいない間はずっとこの姿だった」
「なぜ」
藍は驚きすぎてほとんど睨むみたいになる。
「藍に店を守れって言われたから。
人間としてしないといけないと思った」
昊は。
気ままなようで、ちゃんと見ている。
「藍がいなくてこわかった。
帰ってくると信じてはいたんだ。
同じくらい、全部を忘れて帰ってこなくなるかと思って。
気が病んでいた」
「それで、風邪ひいたの?」
「たぶん」
藍はきょろきょろと辺りを見回した。
図鑑(小法師)はいない。
「帰ろう」
そう言って、スマホが生きているか確認した。
昊から毎日写真が届いている。
ここに通って、藍を待っていた。
「風邪かもね」
毎日日が暮れてから海風にさらされていたから。
藍はぼーっとして緩んでいるような昊をひっぱった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
神の娘は上機嫌 ~ ヘタレ預言者は静かに暮らしたい - 付き合わされるこちらの身にもなって下さい ~
広野香盃
ファンタジー
聖なる山の神を信仰する宗教国家カルロ教国。その下町に住む自他ともに認めるヘタレのシロムは家業の食堂を継いで静かに暮らすことを夢見ていたが、運命の悪戯から誰もが羨むエリートコースの神官候補生になってしまう。将来は国のエリートである神官になることが約束されたシロムだが、その胸中は穏やかでない。あがり症で小心者のシロムには神官として人々の前で話をすることなど恐怖でしかないのだ。家族の期待に縛られて神官候補生を辞めることが出来ないシロムだが、突然町を訪れた聖なる山の神の娘アーシャに預言者と宣言されたことから、運命の歯車は彼の望みとは真逆の方向に回り出す。
赤き獅子の王 ~銀月綺譚黎明篇~
篁千夏
ファンタジー
砂漠の城塞都市ウルクルに、東方の大国アル・シャルクの軍勢が迫る。
ウルクル太守の娘ファラシャトは、敵軍偵察のためにでかけた先で、謎の傭兵隊長と邂逅する。
アサド・アハマルと名乗る隻眼の傭兵隊長は、ウルクル軍に加わると、圧倒的な武力と知力でアル・シャルク軍の猛攻を退け、劣勢を跳ね返す。
だがアサドには、何か得体のしれない部分を感じたファラシャトは、彼の近辺を探る。どうやら彼と彼の傭兵部隊は、別の目的を持ってこの戦に参加したらしい。
その背景を探るファラシャトだったが、やがて……。
田辺真由美原作の異世界ファンタジーシリーズを新規ノベライズ!
慟哭の螺旋(「悪役令嬢の慟哭」加筆修正版)
浜柔
ファンタジー
前世で遊んだ乙女ゲームと瓜二つの世界に転生していたエカテリーナ・ハイデルフトが前世の記憶を取り戻した時にはもう遅かった。
運命のまま彼女は命を落とす。
だが、それが終わりではない。彼女は怨霊と化した。
クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~
琴葉悠
ファンタジー
異形──
別名邪神とも呼ばれるその者達は、ほとんどが人を害なす者である。
だが、稀に人との間の子を残す。
それは異形の子と呼ばれ、中でも女子が特別な力を持っている。
それ故その子等は異形少女と呼ばれる──
異形の子等は番いを持ち、その番いと死ぬまで暮らすのだが──
別枠の存在がいる。
それは「異形の花嫁」たる人間である。
異形の花嫁として生まれた人間は異形から狙われる。
異形の子等は花嫁を求める。
故に両者は対立する、そして異形の子等によって捕食ないしは撃退される。
それは何故か、異形の子に創造の邪神を食らい、創造の邪神となった者がいるからだ──
※「クトゥルフ系の異形少女は番いと花嫁に夢中~浮気? いいえ本能ですので違います‼~」からタイトルを変更しました。2023/10/30
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
助けたキツネが恩返しにきました。もふもふはいるだけで幸せです。
三園 七詩
ファンタジー
いじめられていたキツネの子供を助けると人の姿で恩返しにきた。
キツネの子との生活に心を癒されるジャック。
幸せな二人の生活だったが……幸せを邪魔する影が…
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる