48 / 66
第一章
四十七話
しおりを挟む
私とミランダさんはリンナの武勇伝を聞き続ける。
それはこの部屋に入る直前に二人で決めた取り決めの一つだった。
それを言い出したのはミランダさんの方だ。
彼女は私に自分の掌に指で文字を書くようにと頭の中に直接命じてきた。
彼女は念話、私はミランダさんの真っ白な掌に言われた通り文字を書くという方法で会話をした。
絶対にリンナに意図を気づかれないようにする為にだ。
墓場と、私やライルの家、そして今いるリンナの自宅。
少なくともこの三か所に植物の魔物が関与している。
そしてリンナの家の地下で土の中に隠れていた大量の根を発見した。
この魔植物は村全体に根を伸ばしている可能性がある。
その駆除や根絶な役立つ情報を少しでも得てから退治したい。
だからリンナ側がコミュニケーションを取ろうとしてきたなら適度に構って情報を引き出す。
不審がられない程度に敵意と嫌悪感を見せながら。
しかし会話が長引くことで墓場にいるメンバーは命の危険に晒されないだろうか。
私はそう心配したがミランダさんは大丈夫だと答えた。
もし本当に危険が迫った時は墓場にいるエミリアが大声で叫ぶだろうと。
今の彼女は消音魔法を解かれている。全力の声を出せば強力な攻撃魔法の代わりになる。
倒せはせずとも時間稼ぎはできるだろうと告げるミランダさんにエミリアさんは一体何者なんですかと聞きたくて堪らなかったが耐えた。
寧ろ魔法を解除されたことで彼女もこちらが合流したことに気付いている筈だ。
それを理解した行動をとるに違いない。元冒険者仲間だけあってミランダさんはエミリアさんをとても信用している。
ただライルについては一切言及がないのは彼が少し哀れだとおもった。
しかし今のライルを戦力換算すべきではないというのは私も理解している。
レン兄さんも難しいだろう。というか彼にこれ以上無理はさせたくない。
ミランダさんの提案に了承の意を伝えて私たちの無音会話は終わった。
しかし何故レン兄さんとライルは二人で墓場にいたのだろう。
リンナの話に耳をそばだてながらも私は考える。だがこれは後で本人に聞けばいい。
その為には全員が無事生き残る必要がある。
全員の中に彼女(リンナ)は含まれていないけれど。
これが最期の会話になると知ってか知らずかリンナはおぞましい自慢話を楽しそうに話し続けていた。
それはこの部屋に入る直前に二人で決めた取り決めの一つだった。
それを言い出したのはミランダさんの方だ。
彼女は私に自分の掌に指で文字を書くようにと頭の中に直接命じてきた。
彼女は念話、私はミランダさんの真っ白な掌に言われた通り文字を書くという方法で会話をした。
絶対にリンナに意図を気づかれないようにする為にだ。
墓場と、私やライルの家、そして今いるリンナの自宅。
少なくともこの三か所に植物の魔物が関与している。
そしてリンナの家の地下で土の中に隠れていた大量の根を発見した。
この魔植物は村全体に根を伸ばしている可能性がある。
その駆除や根絶な役立つ情報を少しでも得てから退治したい。
だからリンナ側がコミュニケーションを取ろうとしてきたなら適度に構って情報を引き出す。
不審がられない程度に敵意と嫌悪感を見せながら。
しかし会話が長引くことで墓場にいるメンバーは命の危険に晒されないだろうか。
私はそう心配したがミランダさんは大丈夫だと答えた。
もし本当に危険が迫った時は墓場にいるエミリアが大声で叫ぶだろうと。
今の彼女は消音魔法を解かれている。全力の声を出せば強力な攻撃魔法の代わりになる。
倒せはせずとも時間稼ぎはできるだろうと告げるミランダさんにエミリアさんは一体何者なんですかと聞きたくて堪らなかったが耐えた。
寧ろ魔法を解除されたことで彼女もこちらが合流したことに気付いている筈だ。
それを理解した行動をとるに違いない。元冒険者仲間だけあってミランダさんはエミリアさんをとても信用している。
ただライルについては一切言及がないのは彼が少し哀れだとおもった。
しかし今のライルを戦力換算すべきではないというのは私も理解している。
レン兄さんも難しいだろう。というか彼にこれ以上無理はさせたくない。
ミランダさんの提案に了承の意を伝えて私たちの無音会話は終わった。
しかし何故レン兄さんとライルは二人で墓場にいたのだろう。
リンナの話に耳をそばだてながらも私は考える。だがこれは後で本人に聞けばいい。
その為には全員が無事生き残る必要がある。
全員の中に彼女(リンナ)は含まれていないけれど。
これが最期の会話になると知ってか知らずかリンナはおぞましい自慢話を楽しそうに話し続けていた。
1
お気に入りに追加
6,090
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
叶えられた前世の願い
レクフル
ファンタジー
「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
召喚をされて期待したのだけど、聖女ではありませんでした。ただの巻き込まれって……
にのまえ
ファンタジー
別名で書いていたものを手直ししたものです。
召喚されて、聖女だと期待したのだけど……だだの巻き込まれでした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ドアマット扱いを黙って受け入れろ?絶対嫌ですけど。
よもぎ
ファンタジー
モニカは思い出した。わたし、ネットで読んだドアマットヒロインが登場する作品のヒロインになってる。このままいくと壮絶な経験することになる…?絶対嫌だ。というわけで、回避するためにも行動することにしたのである。
【完結】婚約者も求愛者もお断り!欲しいのは貴方の音色だけ
一茅苑呼
ファンタジー
【音楽✕身分違い✕現代風ファンタジー】
── 主な登場人物 ──
*猫山 未優
「あたしが“歌姫”としてやっていくなら、
あなた以外の“奏者”は考えられない」
主人公。『山猫族』の“純血種”。
よく言えば素直、悪く言うと単純。
*犬飼 留加
「君のために弾こう。これから先何度でも。
……弾かせてくれ」
『犬族』の“混血種”でヴァイオリニスト。
生真面目で融通がきかない。
*猫山 慧一
「緊張するなとは言わんが、人前で
不細工なツラをさらすのは、やめろ」
『山猫族』の“純血種”。
未優の婚約者でお目付け役のような存在。
*虎坂 薫
「異なる“種族”の恋愛は、タブーだって?
誰が決めたの? 世間一般の常識ってヤツ?」
『虎族』の“純血種”。物腰は柔らかだが
強引なところがあり、未優を困らせる存在。
*虎坂 響子
「ハッキリ言うよ。あんたはまともなやり方じゃ
“歌姫”になれないんだ」
『虎族』の“混血種”。
強かで誰に対しても容赦なし。
*シェリー
「可愛いって言ってもらえて嬉しいわ。私もこの耳、
自分のチャームポイントだと思ってるから」
“異種族間子”の女性。
『王女』の“地位”にある“歌姫”。
※他サイトでも掲載中。原題『山猫は歌姫をめざす』。
アルファポリスさんのみタイトル変更しました。
※※※表紙画像はAIイラストです※※※
転生少女、運の良さだけで生き抜きます!
足助右禄
ファンタジー
【9月10日を持ちまして完結致しました。特別編執筆中です】
ある日、災害に巻き込まれて命を落とした少女ミナは異世界の女神に出会い、転生をさせてもらう事になった。
女神はミナの体を創造して問う。
「要望はありますか?」
ミナは「運だけ良くしてほしい」と望んだ。
迂闊で残念な少女ミナが剣と魔法のファンタジー世界で様々な人に出会い、成長していく物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる