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第一章
四十七話
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私とミランダさんはリンナの武勇伝を聞き続ける。
それはこの部屋に入る直前に二人で決めた取り決めの一つだった。
それを言い出したのはミランダさんの方だ。
彼女は私に自分の掌に指で文字を書くようにと頭の中に直接命じてきた。
彼女は念話、私はミランダさんの真っ白な掌に言われた通り文字を書くという方法で会話をした。
絶対にリンナに意図を気づかれないようにする為にだ。
墓場と、私やライルの家、そして今いるリンナの自宅。
少なくともこの三か所に植物の魔物が関与している。
そしてリンナの家の地下で土の中に隠れていた大量の根を発見した。
この魔植物は村全体に根を伸ばしている可能性がある。
その駆除や根絶な役立つ情報を少しでも得てから退治したい。
だからリンナ側がコミュニケーションを取ろうとしてきたなら適度に構って情報を引き出す。
不審がられない程度に敵意と嫌悪感を見せながら。
しかし会話が長引くことで墓場にいるメンバーは命の危険に晒されないだろうか。
私はそう心配したがミランダさんは大丈夫だと答えた。
もし本当に危険が迫った時は墓場にいるエミリアが大声で叫ぶだろうと。
今の彼女は消音魔法を解かれている。全力の声を出せば強力な攻撃魔法の代わりになる。
倒せはせずとも時間稼ぎはできるだろうと告げるミランダさんにエミリアさんは一体何者なんですかと聞きたくて堪らなかったが耐えた。
寧ろ魔法を解除されたことで彼女もこちらが合流したことに気付いている筈だ。
それを理解した行動をとるに違いない。元冒険者仲間だけあってミランダさんはエミリアさんをとても信用している。
ただライルについては一切言及がないのは彼が少し哀れだとおもった。
しかし今のライルを戦力換算すべきではないというのは私も理解している。
レン兄さんも難しいだろう。というか彼にこれ以上無理はさせたくない。
ミランダさんの提案に了承の意を伝えて私たちの無音会話は終わった。
しかし何故レン兄さんとライルは二人で墓場にいたのだろう。
リンナの話に耳をそばだてながらも私は考える。だがこれは後で本人に聞けばいい。
その為には全員が無事生き残る必要がある。
全員の中に彼女(リンナ)は含まれていないけれど。
これが最期の会話になると知ってか知らずかリンナはおぞましい自慢話を楽しそうに話し続けていた。
それはこの部屋に入る直前に二人で決めた取り決めの一つだった。
それを言い出したのはミランダさんの方だ。
彼女は私に自分の掌に指で文字を書くようにと頭の中に直接命じてきた。
彼女は念話、私はミランダさんの真っ白な掌に言われた通り文字を書くという方法で会話をした。
絶対にリンナに意図を気づかれないようにする為にだ。
墓場と、私やライルの家、そして今いるリンナの自宅。
少なくともこの三か所に植物の魔物が関与している。
そしてリンナの家の地下で土の中に隠れていた大量の根を発見した。
この魔植物は村全体に根を伸ばしている可能性がある。
その駆除や根絶な役立つ情報を少しでも得てから退治したい。
だからリンナ側がコミュニケーションを取ろうとしてきたなら適度に構って情報を引き出す。
不審がられない程度に敵意と嫌悪感を見せながら。
しかし会話が長引くことで墓場にいるメンバーは命の危険に晒されないだろうか。
私はそう心配したがミランダさんは大丈夫だと答えた。
もし本当に危険が迫った時は墓場にいるエミリアが大声で叫ぶだろうと。
今の彼女は消音魔法を解かれている。全力の声を出せば強力な攻撃魔法の代わりになる。
倒せはせずとも時間稼ぎはできるだろうと告げるミランダさんにエミリアさんは一体何者なんですかと聞きたくて堪らなかったが耐えた。
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ただライルについては一切言及がないのは彼が少し哀れだとおもった。
しかし今のライルを戦力換算すべきではないというのは私も理解している。
レン兄さんも難しいだろう。というか彼にこれ以上無理はさせたくない。
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しかし何故レン兄さんとライルは二人で墓場にいたのだろう。
リンナの話に耳をそばだてながらも私は考える。だがこれは後で本人に聞けばいい。
その為には全員が無事生き残る必要がある。
全員の中に彼女(リンナ)は含まれていないけれど。
これが最期の会話になると知ってか知らずかリンナはおぞましい自慢話を楽しそうに話し続けていた。
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