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悪女と呼ばれた男爵令嬢の章
8.完結
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レオナルドは自殺という形で彼らの望み通り破滅させることにする。
ぐちゃぐちゃになった男性死体を用意して、シャンデリアに細工する。
そうすることで逃亡したレオナルドと自分たちの追跡を防ぐ目的があった。
アレクサンドラたちの粗末な計画の暴露はフィリアが提案した。
そうしないとレオナルドが自死を選ぶ程絶望したと周囲に納得されないからだ。
両親と弟と婚約者、彼らに邪魔者として陥れられた王子として死を選ぶ。
それがレオナルドの第一王子としての最後の仕事だ。
残された者たちが自認通り優秀ならその惨事を自らの功績で消すことぐらい容易いだろう。
フィリアは汚れ仕事は慣れっこだった。
死体は自分が捨てられていたスラム街に落ちていたのを回収して利用させて貰った。
自分の身代わり用も用意できた。
相変わらず酷い有様の街を見て、王家に対する忠誠は完全に消滅した。
その後はレオナルドを連れて全力で隣国アウルまで逃げた。
暫く駆け落ちした恋人として農村で暮らしていたらある日国王がやってきた。
元勤め先ではなく、アウルの国王だ。
彼は亡き姉によく似たレオナルドを見て涙を流した。
そして国籍と住んでいた家より立派な屋敷を提供してくれた。
上手く行き過ぎて胡散臭い程だったが、国の為利用する様子はなかった。
「姉の分まで幸せになって欲しい。それ以外は望まない」
そう告げる中年男性の言葉が本心かはわからない。
だが言葉だけでも叔父としてレオナルドに優しくしてくれたことにフィリアは感謝した。
穏やかな暮らしの中で、捨てた国の王家が破滅していく報せを他人事のように聞く。
子供はつくらないと二人で相談して決めた。
争いの種を生み出さないこと、それがアウル王家に対する誠意だとレオナルドが言ったのだ。
フィリアもそれに同意した。
「私はレオナルドがいてくれればそれでいいし」
「私もフィリアがいてくれたらそれだけで幸せだよ。だから、学校でも中々言い出せなかったんだ」
少しでも長く君と一緒に居たくて。
アレクサンドラの狙い通り篭絡されてしまったね、
照れながら言う夫にフィリアは抱き着く。
「それはお互い様よ、私だって標的だったあなたを愛しちゃったんだから。罪な人ね」
愚かな第一王子と言われた青年と彼を誘惑した悪女と呼ばれた架空の男爵令嬢。
二人はそっと寄り添いお互いを大切に抱きしめながら接吻を交わした。
【完】
ぐちゃぐちゃになった男性死体を用意して、シャンデリアに細工する。
そうすることで逃亡したレオナルドと自分たちの追跡を防ぐ目的があった。
アレクサンドラたちの粗末な計画の暴露はフィリアが提案した。
そうしないとレオナルドが自死を選ぶ程絶望したと周囲に納得されないからだ。
両親と弟と婚約者、彼らに邪魔者として陥れられた王子として死を選ぶ。
それがレオナルドの第一王子としての最後の仕事だ。
残された者たちが自認通り優秀ならその惨事を自らの功績で消すことぐらい容易いだろう。
フィリアは汚れ仕事は慣れっこだった。
死体は自分が捨てられていたスラム街に落ちていたのを回収して利用させて貰った。
自分の身代わり用も用意できた。
相変わらず酷い有様の街を見て、王家に対する忠誠は完全に消滅した。
その後はレオナルドを連れて全力で隣国アウルまで逃げた。
暫く駆け落ちした恋人として農村で暮らしていたらある日国王がやってきた。
元勤め先ではなく、アウルの国王だ。
彼は亡き姉によく似たレオナルドを見て涙を流した。
そして国籍と住んでいた家より立派な屋敷を提供してくれた。
上手く行き過ぎて胡散臭い程だったが、国の為利用する様子はなかった。
「姉の分まで幸せになって欲しい。それ以外は望まない」
そう告げる中年男性の言葉が本心かはわからない。
だが言葉だけでも叔父としてレオナルドに優しくしてくれたことにフィリアは感謝した。
穏やかな暮らしの中で、捨てた国の王家が破滅していく報せを他人事のように聞く。
子供はつくらないと二人で相談して決めた。
争いの種を生み出さないこと、それがアウル王家に対する誠意だとレオナルドが言ったのだ。
フィリアもそれに同意した。
「私はレオナルドがいてくれればそれでいいし」
「私もフィリアがいてくれたらそれだけで幸せだよ。だから、学校でも中々言い出せなかったんだ」
少しでも長く君と一緒に居たくて。
アレクサンドラの狙い通り篭絡されてしまったね、
照れながら言う夫にフィリアは抱き着く。
「それはお互い様よ、私だって標的だったあなたを愛しちゃったんだから。罪な人ね」
愚かな第一王子と言われた青年と彼を誘惑した悪女と呼ばれた架空の男爵令嬢。
二人はそっと寄り添いお互いを大切に抱きしめながら接吻を交わした。
【完】
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