35 / 40
34.オスカーの花嫁探し
しおりを挟む
瞬く間に五日間が過ぎた。
アラベラとオスカーは隙を見つけては密着し続けた。
夜は抱き合って眠り、日中二人きりになればアラベラはオスカーの膝に座った。
当然アラベラの兄のイザークには秘密である。
最初は緊張していたアラベラだったが、オスカーを巨大なクマのぬいぐるみだと思い込むことに成功した。
まだ小さかったアラベラの部屋には彼女が座ったり乗ったりできる大きさのぬいぐるみが幾つかあった。
それは妹のディシアが欲しがったので全てあげてしまったが、思い出は消えない。
一番気に入っていて、絵本を読むときは椅子代わりにしていたクマのぬいぐるみ。
オスカーをそれと同じだと思い込むことで緊張をある程度打ち消せたのだ。
これはオスカー本人には秘密である。
淑女としてあるまじき行為を繰り返した結果、アラベラの体にはかなりの神聖力が蓄えられた。
公爵邸の敷地内で実験した結果、今ならオスカーと三時間程度離れても平気だ。
ただ神聖力はオスカーから分けて貰ったものなので、二人で一緒に居ないとどんどん減っていく。
なので三時間離れ離れになったいた場合、きっちり三時間アラベラはオスカーと密着する必要があった。
けれど初日の手を離した瞬間に魅了毒に支配されかけた状況に比べれば飛躍的な進化だ。
ディシアは手放しで喜び、イザークは表情に安堵と疑念を器用に浮かべつつ喜んだ。
そんな彼が父であるアンドリュース公爵に会いに行くと屋敷を出たのは昨日の話である。
用件はアラベラとオスカーの婚約だった。
ちなみにオスカーの母国ヴェルデンからは二人の婚約を認める旨の書状が一昨日届いている。
ナヴィスとヴェルデンは馬と船を使えば一日で往復できる距離とはいえ、決定自体がスピーディ過ぎる。
王族の、更にオスカーは現女王の実子である。顔も合わせず婚約が決まるとはアラベラは正直思っていなかった。
昼食が終わり自室に戻ったアラベラはオスカーの膝に座りながらその旨を尋ねた。
「従属国の人間である程度の地位があるなら誰でも良いと言われていたからな」
婚約者の疑問にオスカーはつまらなそうな顔をしながら答えた。
「ヴェルデンの王位は性別関係なく神聖力が一番強い子供が就くことになっている。だから次期国王は姉のフレイアだ」
「フレイア王女殿下、確か復活の奇跡を行える聖女だとか……」
「厳密にいえば死者蘇生ではなく超回復なんだが、だがその神聖力はヴェルデンでトップだ、しかし……」
「しかし?」
「一部の貴族連中が女王が二代続くのは良くないみたいないちゃもんをつけて第二王子の俺を推し始めてな」
「まあ……」
「なので女王は俺を他国人と結婚させてヴェルデン以外で生活させたいわけだ」
それはつまり継承争いを避ける為にオスカーを国外追放すると言っているようなものでは。
アラベラは何と言っていいかわからず、表情を曇らせる。
しかしオスカーは気にするなと言って笑った。
「別に一方的な命令じゃない。俺の意見もちゃんと入っている。それに条件付きとはいえ自分で結婚相手を選べるのは王族として破格じゃないか?」
言葉と共に頭を大きな手のひらで撫でられる。
オスカーは王族の責務を知っている。婚約や結婚もその一つだ。
その上でサディアスと違い、我儘を通すのではなく王家の未来の為に話し合って己で結婚相手を決める道を選んだ。
そんな彼に事情があるとはいえ選ばれたのが自分であるという事がアラベラはどこか誇らしく、そして嬉しかった。
アラベラとオスカーは隙を見つけては密着し続けた。
夜は抱き合って眠り、日中二人きりになればアラベラはオスカーの膝に座った。
当然アラベラの兄のイザークには秘密である。
最初は緊張していたアラベラだったが、オスカーを巨大なクマのぬいぐるみだと思い込むことに成功した。
まだ小さかったアラベラの部屋には彼女が座ったり乗ったりできる大きさのぬいぐるみが幾つかあった。
それは妹のディシアが欲しがったので全てあげてしまったが、思い出は消えない。
一番気に入っていて、絵本を読むときは椅子代わりにしていたクマのぬいぐるみ。
オスカーをそれと同じだと思い込むことで緊張をある程度打ち消せたのだ。
これはオスカー本人には秘密である。
淑女としてあるまじき行為を繰り返した結果、アラベラの体にはかなりの神聖力が蓄えられた。
公爵邸の敷地内で実験した結果、今ならオスカーと三時間程度離れても平気だ。
ただ神聖力はオスカーから分けて貰ったものなので、二人で一緒に居ないとどんどん減っていく。
なので三時間離れ離れになったいた場合、きっちり三時間アラベラはオスカーと密着する必要があった。
けれど初日の手を離した瞬間に魅了毒に支配されかけた状況に比べれば飛躍的な進化だ。
ディシアは手放しで喜び、イザークは表情に安堵と疑念を器用に浮かべつつ喜んだ。
そんな彼が父であるアンドリュース公爵に会いに行くと屋敷を出たのは昨日の話である。
用件はアラベラとオスカーの婚約だった。
ちなみにオスカーの母国ヴェルデンからは二人の婚約を認める旨の書状が一昨日届いている。
ナヴィスとヴェルデンは馬と船を使えば一日で往復できる距離とはいえ、決定自体がスピーディ過ぎる。
王族の、更にオスカーは現女王の実子である。顔も合わせず婚約が決まるとはアラベラは正直思っていなかった。
昼食が終わり自室に戻ったアラベラはオスカーの膝に座りながらその旨を尋ねた。
「従属国の人間である程度の地位があるなら誰でも良いと言われていたからな」
婚約者の疑問にオスカーはつまらなそうな顔をしながら答えた。
「ヴェルデンの王位は性別関係なく神聖力が一番強い子供が就くことになっている。だから次期国王は姉のフレイアだ」
「フレイア王女殿下、確か復活の奇跡を行える聖女だとか……」
「厳密にいえば死者蘇生ではなく超回復なんだが、だがその神聖力はヴェルデンでトップだ、しかし……」
「しかし?」
「一部の貴族連中が女王が二代続くのは良くないみたいないちゃもんをつけて第二王子の俺を推し始めてな」
「まあ……」
「なので女王は俺を他国人と結婚させてヴェルデン以外で生活させたいわけだ」
それはつまり継承争いを避ける為にオスカーを国外追放すると言っているようなものでは。
アラベラは何と言っていいかわからず、表情を曇らせる。
しかしオスカーは気にするなと言って笑った。
「別に一方的な命令じゃない。俺の意見もちゃんと入っている。それに条件付きとはいえ自分で結婚相手を選べるのは王族として破格じゃないか?」
言葉と共に頭を大きな手のひらで撫でられる。
オスカーは王族の責務を知っている。婚約や結婚もその一つだ。
その上でサディアスと違い、我儘を通すのではなく王家の未来の為に話し合って己で結婚相手を決める道を選んだ。
そんな彼に事情があるとはいえ選ばれたのが自分であるという事がアラベラはどこか誇らしく、そして嬉しかった。
26
お気に入りに追加
815
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
前世の記憶を取り戻したら貴男が好きじゃなくなりました
砂礫レキ
恋愛
公爵令嬢エミア・シュタイトは婚約者である第二王子アリオス・ルーンファクトを心から愛していた。
けれど幼い頃からの恋心をアリオスは手酷く否定し続ける。その度にエミアの心は傷つき自己嫌悪が深くなっていった。
そして婚約から十年経った時「お前は俺の子を産むだけの存在にしか過ぎない」とアリオスに言われエミアの自尊心は限界を迎える。
消えてしまいたいと強く願った彼女は己の人格と引き換えに前世の記憶を取り戻した。
救国の聖女「エミヤ」の記憶を。
表紙は三日月アルペジオ様からお借りしています。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
聖女であることを隠す公爵令嬢は国外で幸せになりたい
カレイ
恋愛
公爵令嬢オデットはある日、浮気というありもしない罪で国外追放を受けた。それは王太子妃として王族に嫁いだ姉が仕組んだことで。
聖女の力で虐待を受ける弟ルイスを護っていたオデットは、やっと巡ってきたチャンスだとばかりにルイスを連れ、その日のうちに国を出ることに。しかしそれも一筋縄ではいかず敵が塞がるばかり。
その度に助けてくれるのは、侍女のティアナと、何故か浮気相手と疑われた副騎士団長のサイアス。謎にスキルの高い二人と行動を共にしながら、オデットはルイスを救うため奮闘する。
※胸糞悪いシーンがいくつかあります。苦手な方はお気をつけください。
断罪された公爵令嬢に手を差し伸べたのは、私の婚約者でした
カレイ
恋愛
子爵令嬢に陥れられ第二王子から婚約破棄を告げられたアンジェリカ公爵令嬢。第二王子が断罪しようとするも、証拠を突きつけて見事彼女の冤罪を晴らす男が現れた。男は公爵令嬢に跪き……
「この機会絶対に逃しません。ずっと前から貴方をお慕いしていましたんです。私と婚約して下さい!」
ええっ!あなた私の婚約者ですよね!?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】薔薇の花をあなたに贈ります
彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。
目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。
ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。
たが、それに違和感を抱くようになる。
ロベルト殿下視点がおもになります。
前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!!
11話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる