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第四章
83話 魔法剣士見習の冒険
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話は、少し前に遡る。
『クロノちゃん、アキツ村の様子を見に行って欲しいんだ。冒険者たちや洞窟内の魔物がどんな感じか、簡単でいいからさ~』
『洞窟内の魔物、ですか?』
『そう、今暴れてるのはどんな種類の奴か知りたいんだ~』
魔物は観察だけして倒さず戻ってきていいよ。そうノアさんに言われて、小さな木彫りの人形みたいな物を手渡されたのが少し前。
もし洞窟に入るのを止められたらこれを村長に見せるようにと言われた。
『クロノちゃんはまだちょっと冒険者らしくないからね~。一人で行くと危ないから入るなって言われるかもしれない』
少し前にアキツ村へ行った時、村長に頼まれて魔物退治をしたんだ。
その時に貰ったお礼の一つだよ。これを見せて龍殺しのノアから頼まれたって言えばいい。
言葉と共に受け取った木細工は確かに龍の形をしているようだった。
でもなんだかぬるっとしたラインでトカゲと言われたらトカゲだと思うかもしれない。
『村長は足が悪いから多分いつも家にいる筈だよ~』
『わかりました!』
そう言って自分のリュックにそれをしまった。後それなりに沢山の食べ物も。
この前気づいたけれど、魔力を沢山使うと凄くお腹が減る。そしてボクは今から魔力を沢山使う予定だ。
これから自分の体に強化魔法をかけてローレルの街からアキツ村まで全力疾走する。目標は一時間以内の到着だ。
ボクは火猪の戦いで、短時間だけ肉体を凄く強化出来た。森の奥から街中まで必死に走って、人込みとかも飛び越えた。
その上でアルヴァさんを殺そうとしている火猪に魔力と腕力の全てを使って一撃を叩き込んだ。そして気絶した。
『気絶したら駄目だよ』
ノアさんにはかなり強めに注意された。強敵を一体倒したからって気を抜いて倒れたらいけないと。
敵が一体とは限らない。気を失っている間に別の魔物が現れたらどれだけ弱い相手でも簡単に殺されてしまう。
最もな意見だったので頭を項垂れるしかなかった。
『そういうのをフォローして貰えるのが集団戦闘のメリットだけど、それを当てにした戦い方をしたらその内君も仲間も死ぬよ』
いずれは君がパーティー内の主戦力になるかもしれないのだからしっかりとね。
ノアさんが言う。アルヴァさんがいるからボクがメイン戦力になるのは有り得ないと思ったが、話を混ぜっ返す形になりそうだったので反論はしなかった。
でも可能なら団内で彼の次に有力なアタッカーになれたらいいと思っている。剣士が二人いた方が戦力も安定するだろうし。
アルヴァさんと背中を合わせながら魔物たちと戦う自分の姿を想像すると胸がワクワクして頬が熱くなってきた。
ノアさんの咳払いで現実に引き戻される。
『キミには全力を使わなくてもいいことに全力を使わない訓練が必要なんだよね。それには魔力強化をしたうえでの走り込みが一番良いかな~』
きっかり必要な分だけ魔力を使うのはまだ難しそうだから、倒れない程度に本気で走っていいよ。もし倒れそうになったら休んで、そして反省して。
そう言われて街を後にした。そしてまだいけると思いながら走り続けていたら村の入り口が見えてきた。大体一時間ぐらい経過しただろうか。
ローレルからアキツまでは馬車だと片道四時間ぐらいかかるらしい。つまりボクは馬よりも早いということだ。嬉しい。
汗は少しかいているし、お腹は六時間ぐらい何も食べていない時程度に減っている。だから座って少し休んでご飯を食べたい。
でも今からもう一度ローレルまで全力で戻れと言われたら出来ると思う。その後お腹が空き過ぎて気絶するかもしれないけれど。
「……わかったぞ、ボクはお腹が空き過ぎると倒れてしまうんだ!」
つまり空腹を感じ始めたら魔力の使い方をセーブすればいい。新たな気付きを得た。大発見だ。
但し魔力を使わない以外の対処方法を思いつけない。そして自己強化には魔力を使っているという意識も実はあまりない。
先程までだってだって力尽きない程度に全力で早く走るぐらいしか考えてなかった。火猪の時は全力で叩き切ると考えてその通りにした。
今のところアルヴァさんが教えてくれた魔力封印しかまともな魔術は使えていない気がいる。
ノアさんとアルヴァさんに相談すればそういった部分もアドバイスして貰えるだろうか。
そんなことを考えているとお腹がぐうと鳴いた。そういえば空腹だったのだ。
「そうか。お腹が空いたらご飯を食べればいいんだ!」
二人に相談する前に自分で答えに辿り着けて良かった。そう思いながらアキツ村に入る。少し空気が臭うなと思った。
温泉があるからだろうか。ミアンさんが温泉に使われる水は独特な臭いがするけれど肌をすべすべにしてくれると言っていたことを思い出す。
彼女もこの村に来ている筈だが、軽く見渡した限りでは発見できなかった。温泉に浸かっているのかもしれない。
ミアンさんを捜している間にも腹の虫が抗議し続ける。ローレルの街と違い公園や座る為のベンチも見当たらなかった。
持ってきた食料が口にできない。空腹を拗らせたら魔力切れで又気絶してしまうかもしれない。ボクはおろおろと困ってしまう。
グーグーお腹を鳴らしながらでは村長にも会えない。かといって道端で持参した食べ物を立ち食いするのも行儀が悪い。
座って物が食べられる場所を必死に探していると森の入り口らしき場所が目に入った。
「そうだ、森の中でこっそりご飯を食べよう!」
村人に見つかってもハイキングだと言えば納得して貰えるに違いない。
さっと入って、さっと食べて出よう。ボクは速足で森へ向けて駆け出した。
『クロノちゃん、アキツ村の様子を見に行って欲しいんだ。冒険者たちや洞窟内の魔物がどんな感じか、簡単でいいからさ~』
『洞窟内の魔物、ですか?』
『そう、今暴れてるのはどんな種類の奴か知りたいんだ~』
魔物は観察だけして倒さず戻ってきていいよ。そうノアさんに言われて、小さな木彫りの人形みたいな物を手渡されたのが少し前。
もし洞窟に入るのを止められたらこれを村長に見せるようにと言われた。
『クロノちゃんはまだちょっと冒険者らしくないからね~。一人で行くと危ないから入るなって言われるかもしれない』
少し前にアキツ村へ行った時、村長に頼まれて魔物退治をしたんだ。
その時に貰ったお礼の一つだよ。これを見せて龍殺しのノアから頼まれたって言えばいい。
言葉と共に受け取った木細工は確かに龍の形をしているようだった。
でもなんだかぬるっとしたラインでトカゲと言われたらトカゲだと思うかもしれない。
『村長は足が悪いから多分いつも家にいる筈だよ~』
『わかりました!』
そう言って自分のリュックにそれをしまった。後それなりに沢山の食べ物も。
この前気づいたけれど、魔力を沢山使うと凄くお腹が減る。そしてボクは今から魔力を沢山使う予定だ。
これから自分の体に強化魔法をかけてローレルの街からアキツ村まで全力疾走する。目標は一時間以内の到着だ。
ボクは火猪の戦いで、短時間だけ肉体を凄く強化出来た。森の奥から街中まで必死に走って、人込みとかも飛び越えた。
その上でアルヴァさんを殺そうとしている火猪に魔力と腕力の全てを使って一撃を叩き込んだ。そして気絶した。
『気絶したら駄目だよ』
ノアさんにはかなり強めに注意された。強敵を一体倒したからって気を抜いて倒れたらいけないと。
敵が一体とは限らない。気を失っている間に別の魔物が現れたらどれだけ弱い相手でも簡単に殺されてしまう。
最もな意見だったので頭を項垂れるしかなかった。
『そういうのをフォローして貰えるのが集団戦闘のメリットだけど、それを当てにした戦い方をしたらその内君も仲間も死ぬよ』
いずれは君がパーティー内の主戦力になるかもしれないのだからしっかりとね。
ノアさんが言う。アルヴァさんがいるからボクがメイン戦力になるのは有り得ないと思ったが、話を混ぜっ返す形になりそうだったので反論はしなかった。
でも可能なら団内で彼の次に有力なアタッカーになれたらいいと思っている。剣士が二人いた方が戦力も安定するだろうし。
アルヴァさんと背中を合わせながら魔物たちと戦う自分の姿を想像すると胸がワクワクして頬が熱くなってきた。
ノアさんの咳払いで現実に引き戻される。
『キミには全力を使わなくてもいいことに全力を使わない訓練が必要なんだよね。それには魔力強化をしたうえでの走り込みが一番良いかな~』
きっかり必要な分だけ魔力を使うのはまだ難しそうだから、倒れない程度に本気で走っていいよ。もし倒れそうになったら休んで、そして反省して。
そう言われて街を後にした。そしてまだいけると思いながら走り続けていたら村の入り口が見えてきた。大体一時間ぐらい経過しただろうか。
ローレルからアキツまでは馬車だと片道四時間ぐらいかかるらしい。つまりボクは馬よりも早いということだ。嬉しい。
汗は少しかいているし、お腹は六時間ぐらい何も食べていない時程度に減っている。だから座って少し休んでご飯を食べたい。
でも今からもう一度ローレルまで全力で戻れと言われたら出来ると思う。その後お腹が空き過ぎて気絶するかもしれないけれど。
「……わかったぞ、ボクはお腹が空き過ぎると倒れてしまうんだ!」
つまり空腹を感じ始めたら魔力の使い方をセーブすればいい。新たな気付きを得た。大発見だ。
但し魔力を使わない以外の対処方法を思いつけない。そして自己強化には魔力を使っているという意識も実はあまりない。
先程までだってだって力尽きない程度に全力で早く走るぐらいしか考えてなかった。火猪の時は全力で叩き切ると考えてその通りにした。
今のところアルヴァさんが教えてくれた魔力封印しかまともな魔術は使えていない気がいる。
ノアさんとアルヴァさんに相談すればそういった部分もアドバイスして貰えるだろうか。
そんなことを考えているとお腹がぐうと鳴いた。そういえば空腹だったのだ。
「そうか。お腹が空いたらご飯を食べればいいんだ!」
二人に相談する前に自分で答えに辿り着けて良かった。そう思いながらアキツ村に入る。少し空気が臭うなと思った。
温泉があるからだろうか。ミアンさんが温泉に使われる水は独特な臭いがするけれど肌をすべすべにしてくれると言っていたことを思い出す。
彼女もこの村に来ている筈だが、軽く見渡した限りでは発見できなかった。温泉に浸かっているのかもしれない。
ミアンさんを捜している間にも腹の虫が抗議し続ける。ローレルの街と違い公園や座る為のベンチも見当たらなかった。
持ってきた食料が口にできない。空腹を拗らせたら魔力切れで又気絶してしまうかもしれない。ボクはおろおろと困ってしまう。
グーグーお腹を鳴らしながらでは村長にも会えない。かといって道端で持参した食べ物を立ち食いするのも行儀が悪い。
座って物が食べられる場所を必死に探していると森の入り口らしき場所が目に入った。
「そうだ、森の中でこっそりご飯を食べよう!」
村人に見つかってもハイキングだと言えば納得して貰えるに違いない。
さっと入って、さっと食べて出よう。ボクは速足で森へ向けて駆け出した。
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