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第一章
第10話 スライム斬り
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神龍召喚に獄炎剣、そして金剛障壁や完全回復。
本に載っていた高位スキルはどれもこれも強力で魅力的だった。
但し強力過ぎて銀級程度では扱えないことも同時に判明した。
「本来は魔王を倒したり、世界規模の災害を食い止めた勇者を想定してのラインナップですからね……」
申し訳なさそうな表情で知の女神が言う。彼女はこの結果を知っていたのかもれない。
それならスキル取得のアナウンスが流れた、少し消極的な反応をしていたのも納得できる。
確かに実力でそれらの大役を果たした人間なら戦士としてのレベルもかなりのものだろう。
最上級スキルを俺が利用するには何もかもが足りていなかった。
「でも取得自体は可能なので、頑張ってレベルを上げて行けばいつかは使えるようになりますよ!」
「そうですね。有難うございます」
エレナの励ましに礼を言う。確かに今すぐ使いこなすのは無理でも、ずっとそうな訳ではない。
寧ろ冒険者として日銭を稼ぐ生活に新たな目標が加わったと喜ぼう。
それでも、できれば比較的低レベルで利用可能でそれなりに役に立つスキルがいい。
俺はそれまで以上の熱意で本に書かれている内容を黙読した。
「でも貴方の適正は剣士なので、膨大な魔力を消費するスキルは不向きだと思います」
女神の言葉に俺は頷く。どれだけレベルを上げても最大魔力量が少なければ最上級魔法を使うことはできない。
マジックポイントが足りませんという奴だ。
魔法剣士という剣も魔法も使いこなす剣士の上位クラスは存在するが、その適性があるのは本来の主人公であるクロノだった。
今回取得できるスキルは三つ。俺は散々悩んで攻撃と防御のスキルをそれぞれ取得した。
攻撃スキルは『スライム斬り』文字通りスライムを斬ることができる。
確かにスライムは剣撃にとても強い。斬ること自体はとても難しい。
しかし攻撃力が皆無なので棒で動かなくなるまで叩けばいいだけだし、魔法が使えるなら燃やせばいい。
剣で斬れたら凄いけれど、苦労して剣で斬る必要はない魔物なのだ。
最上級スキルの中では比較的低レベルでも取得できる物だったけど、そういった理由で俺は最初スルーした。
しかしこのスライム斬り、何故かどの頁にも記載されているのだ。
最初は誤植かと思ったが、無視して頁を変える度にそこの文字だけ太文字になったり赤くなったり虹色になったりするので違うことに気づいた。
「私の仕業ではありませんよ」
俺が本から女神に視線を変えた途端、察しの良い彼女はそう回答する。
「ただ、このスキルを考案した者は貴方がそれを選べば喜ぶでしょうね」
「スライム斬りを考案した人って誰なんですか?」
「それは……呼ぶと来るので今は言いたくありません。女神の一柱であるとだけ」
エレナだけでなくこの世界には複数女神がいるらしい。
俺の書いた小説を元にしているらしいが、ここら辺はかなり設定改変をされている。
「設定改変というか、そもそも貴方の作品に神に対する詳しい描写が見当たらなかったと報告を受けています」
ですので改変というより補完です。そう言われ俺は納得した。大体俺の書いた小説自体が完全な形では残っていないのだ。
それにスライム斬りというスキルも俺が考えたものではない。女神という事はエレナの同僚みたいなものか。
誰かは知らないがここまでこのスキルを推薦するなら取ってみよう。
スライムを斬れること自体は珍しいので、もしかしたら芸として役に立つかもしれない。
そんな判断で俺はこのスキルを選ぶことにした。
しかしスライム斬りを最上級スキルとして考案した女神は少し変わり者だろう。
一度会ってみたいな。
俺が口に出さずそう願うと何故かエレナが「浮気するのが早すぎます」と頬を膨らましてこちらを睨んだ。
本に載っていた高位スキルはどれもこれも強力で魅力的だった。
但し強力過ぎて銀級程度では扱えないことも同時に判明した。
「本来は魔王を倒したり、世界規模の災害を食い止めた勇者を想定してのラインナップですからね……」
申し訳なさそうな表情で知の女神が言う。彼女はこの結果を知っていたのかもれない。
それならスキル取得のアナウンスが流れた、少し消極的な反応をしていたのも納得できる。
確かに実力でそれらの大役を果たした人間なら戦士としてのレベルもかなりのものだろう。
最上級スキルを俺が利用するには何もかもが足りていなかった。
「でも取得自体は可能なので、頑張ってレベルを上げて行けばいつかは使えるようになりますよ!」
「そうですね。有難うございます」
エレナの励ましに礼を言う。確かに今すぐ使いこなすのは無理でも、ずっとそうな訳ではない。
寧ろ冒険者として日銭を稼ぐ生活に新たな目標が加わったと喜ぼう。
それでも、できれば比較的低レベルで利用可能でそれなりに役に立つスキルがいい。
俺はそれまで以上の熱意で本に書かれている内容を黙読した。
「でも貴方の適正は剣士なので、膨大な魔力を消費するスキルは不向きだと思います」
女神の言葉に俺は頷く。どれだけレベルを上げても最大魔力量が少なければ最上級魔法を使うことはできない。
マジックポイントが足りませんという奴だ。
魔法剣士という剣も魔法も使いこなす剣士の上位クラスは存在するが、その適性があるのは本来の主人公であるクロノだった。
今回取得できるスキルは三つ。俺は散々悩んで攻撃と防御のスキルをそれぞれ取得した。
攻撃スキルは『スライム斬り』文字通りスライムを斬ることができる。
確かにスライムは剣撃にとても強い。斬ること自体はとても難しい。
しかし攻撃力が皆無なので棒で動かなくなるまで叩けばいいだけだし、魔法が使えるなら燃やせばいい。
剣で斬れたら凄いけれど、苦労して剣で斬る必要はない魔物なのだ。
最上級スキルの中では比較的低レベルでも取得できる物だったけど、そういった理由で俺は最初スルーした。
しかしこのスライム斬り、何故かどの頁にも記載されているのだ。
最初は誤植かと思ったが、無視して頁を変える度にそこの文字だけ太文字になったり赤くなったり虹色になったりするので違うことに気づいた。
「私の仕業ではありませんよ」
俺が本から女神に視線を変えた途端、察しの良い彼女はそう回答する。
「ただ、このスキルを考案した者は貴方がそれを選べば喜ぶでしょうね」
「スライム斬りを考案した人って誰なんですか?」
「それは……呼ぶと来るので今は言いたくありません。女神の一柱であるとだけ」
エレナだけでなくこの世界には複数女神がいるらしい。
俺の書いた小説を元にしているらしいが、ここら辺はかなり設定改変をされている。
「設定改変というか、そもそも貴方の作品に神に対する詳しい描写が見当たらなかったと報告を受けています」
ですので改変というより補完です。そう言われ俺は納得した。大体俺の書いた小説自体が完全な形では残っていないのだ。
それにスライム斬りというスキルも俺が考えたものではない。女神という事はエレナの同僚みたいなものか。
誰かは知らないがここまでこのスキルを推薦するなら取ってみよう。
スライムを斬れること自体は珍しいので、もしかしたら芸として役に立つかもしれない。
そんな判断で俺はこのスキルを選ぶことにした。
しかしスライム斬りを最上級スキルとして考案した女神は少し変わり者だろう。
一度会ってみたいな。
俺が口に出さずそう願うと何故かエレナが「浮気するのが早すぎます」と頬を膨らましてこちらを睨んだ。
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