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第一章
第9話 まずは翻訳能力ゲット
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俺が加護を受けることを承諾すると知の女神は花が咲いたように笑った。
それはとても美しい表情だったが、俺は彼女が何故そこまで喜ぶのかわからなかった。
エレナの姿がスーツのままなら契約締結を喜ぶ保険外交員に見えたかもしれない。
俺の戸惑いを知ってか知らずか彼女は大理石の机に変化した教卓へ俺を手招きした。
「まずこの本を読んでみてください」
いつの間にか置かれていた分厚い本を差して女神は言う。
俺は素直に従いその表紙を開いた。
文字なのか記号なのか判断さえつかないものがびっしりと頁を埋めている。
「読めません」
俺は素直にそう告げた。
なんだか視力検査を受けているような気分になる。
「では十秒ほど瞼を閉じていてください」
女神の指示に従い目を瞑る。次の瞬間、甘い香りと共に柔らかい温もりが瞼に触れた。
眠ってしまいそうな心地よさと激しい昂りを同時に感じ、俺は必死に十秒我慢する。
約束の時間が過ぎ目を開けると、何故か耳の先を紅潮させたエレナが俺を見ていた。
「今貴方に私の加護を与えました」
ではもう一度先程読めなかった文字を見てください。
そうエレナに言われ俺は再度開いたままの本に視線を落す。
「あれ……?」
先程までぐにゃぐにゃとした線としか思えなかった文字たちが意味のある文章として頭に入ってくる。
そこには最上級スキル一覧という単語が特に大きく書かれていた。
「何が書かれているか判読できるようになりましたね? それが知の女神の加護です」
貴方は既に色々な国の言語をある程度理解できるようになっています。古代語もです。
そう言われて素直に凄いと驚く。出来たら社会人時代に得たかった能力だ。
冒険者に転生した今でも決して腐る特技ではないだろう。
そして冒険者でいられなくなった後の再就職にも絶対役に立つ。
「有難うございます!」
俺は知の女神に心から頭を下げた。
そして本に書かれた内容を見て内心頷く。
謎の声が解放可能と言っていた複数の高位スキル。
この分厚い本はそのスキルについて記載されたカタログのような物なのだろう。
それを読ませる為に知の女神は俺に加護を与えたのだ。
さて、俺はどのスキルを選ぶべきか。期待と不安に心臓が早鐘を打った。
それはとても美しい表情だったが、俺は彼女が何故そこまで喜ぶのかわからなかった。
エレナの姿がスーツのままなら契約締結を喜ぶ保険外交員に見えたかもしれない。
俺の戸惑いを知ってか知らずか彼女は大理石の机に変化した教卓へ俺を手招きした。
「まずこの本を読んでみてください」
いつの間にか置かれていた分厚い本を差して女神は言う。
俺は素直に従いその表紙を開いた。
文字なのか記号なのか判断さえつかないものがびっしりと頁を埋めている。
「読めません」
俺は素直にそう告げた。
なんだか視力検査を受けているような気分になる。
「では十秒ほど瞼を閉じていてください」
女神の指示に従い目を瞑る。次の瞬間、甘い香りと共に柔らかい温もりが瞼に触れた。
眠ってしまいそうな心地よさと激しい昂りを同時に感じ、俺は必死に十秒我慢する。
約束の時間が過ぎ目を開けると、何故か耳の先を紅潮させたエレナが俺を見ていた。
「今貴方に私の加護を与えました」
ではもう一度先程読めなかった文字を見てください。
そうエレナに言われ俺は再度開いたままの本に視線を落す。
「あれ……?」
先程までぐにゃぐにゃとした線としか思えなかった文字たちが意味のある文章として頭に入ってくる。
そこには最上級スキル一覧という単語が特に大きく書かれていた。
「何が書かれているか判読できるようになりましたね? それが知の女神の加護です」
貴方は既に色々な国の言語をある程度理解できるようになっています。古代語もです。
そう言われて素直に凄いと驚く。出来たら社会人時代に得たかった能力だ。
冒険者に転生した今でも決して腐る特技ではないだろう。
そして冒険者でいられなくなった後の再就職にも絶対役に立つ。
「有難うございます!」
俺は知の女神に心から頭を下げた。
そして本に書かれた内容を見て内心頷く。
謎の声が解放可能と言っていた複数の高位スキル。
この分厚い本はそのスキルについて記載されたカタログのような物なのだろう。
それを読ませる為に知の女神は俺に加護を与えたのだ。
さて、俺はどのスキルを選ぶべきか。期待と不安に心臓が早鐘を打った。
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