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7.王太子の名案
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アドリアン王太子の両親の魔力量が少ないという話は聞いたことは無い。
だが魔力量も魔法も常に正しく遺伝するものではない。
両親の治癒魔法を受け継がなかった私だってそうだ。
そして魔力量を増やすことは出来ない。固有魔法を変えることが出来ないように。
だから国王は王太子では無く孫に期待をかけているのだ。
私とアドリアン王太子の魔力量を足して割った程度の子供が出来れば良いと思っている。
それは決して我が子を愛していないという訳ではない。寧ろ逆だ。
魔力量が少なくとも次期国王になれるように彼を私と早々に婚約させた。
だが親の心子知らずとはよく言ったものでアドリアン王太子はそのことを不服に思っている。
彼が聖女と呼び愛しているのはナビーナだからだ。
私の事は初対面から幽霊扱いし今も無能と見下ししている。
私としても王太子が私との婚約を破棄しナビーナと再婚約してくれれば喜ばしい。
けれど国王陛下はそれだけは認めないらしい。
ナビーナも豊かな魔力を持っているのだけれどそれでも不安なのだろうか。
私がそんなことを考えているとアドリアン王太子がわざとらしく咳払いをした。
「おい」
「何でしょうか」
「わざわざ俺がお前に会いに来た理由が知りたいか?」
そう言われて内心驚く。
彼が自分に会いに来たとは思っていなかったからだ。
庭でナビーナをお茶を楽しんでいたところに私が偶々通りがかっただけ。
私はそのように認識していたが違ったらしい。
「しかし何もやることが無い癖に屋敷にも居ないとはな、お前は人を不快にさせるのだけは得意だな」
「……申し訳ございません」
「お姉様を叱らないで。お姉様の友達は森に住む動物たちぐらいなのだから」
森の友達と言われてディオンの顔が一瞬浮かぶ。
顔と言われても長い前髪と眼鏡で隠れてよくわからないが。
「森に一人で? そのまま戻って来なければいいのにな……いや、それも困るか」
アドリアン殿下は一人でぶつぶつと何か呟き、そして私に向き直った。
彼の得意げな表情に嫌な予感がした。
「ロゼリア、お前が生んだ子供を俺とナビーナの子として扱うことにする」
「……は?」
「つまりお前との婚約は破棄するが、子供は産んでもらうということだ」
「どういう、ことでしょう……?」
「頭が悪いな、お前が魔力量の多い子供を産んだら俺とナビーナの子として公表するということだ」
そうすれば最初からナビーナを俺の妃にすることができる。
名案を思い付いたとばかりに笑う王太子が私は化け物に見えた。
だが魔力量も魔法も常に正しく遺伝するものではない。
両親の治癒魔法を受け継がなかった私だってそうだ。
そして魔力量を増やすことは出来ない。固有魔法を変えることが出来ないように。
だから国王は王太子では無く孫に期待をかけているのだ。
私とアドリアン王太子の魔力量を足して割った程度の子供が出来れば良いと思っている。
それは決して我が子を愛していないという訳ではない。寧ろ逆だ。
魔力量が少なくとも次期国王になれるように彼を私と早々に婚約させた。
だが親の心子知らずとはよく言ったものでアドリアン王太子はそのことを不服に思っている。
彼が聖女と呼び愛しているのはナビーナだからだ。
私の事は初対面から幽霊扱いし今も無能と見下ししている。
私としても王太子が私との婚約を破棄しナビーナと再婚約してくれれば喜ばしい。
けれど国王陛下はそれだけは認めないらしい。
ナビーナも豊かな魔力を持っているのだけれどそれでも不安なのだろうか。
私がそんなことを考えているとアドリアン王太子がわざとらしく咳払いをした。
「おい」
「何でしょうか」
「わざわざ俺がお前に会いに来た理由が知りたいか?」
そう言われて内心驚く。
彼が自分に会いに来たとは思っていなかったからだ。
庭でナビーナをお茶を楽しんでいたところに私が偶々通りがかっただけ。
私はそのように認識していたが違ったらしい。
「しかし何もやることが無い癖に屋敷にも居ないとはな、お前は人を不快にさせるのだけは得意だな」
「……申し訳ございません」
「お姉様を叱らないで。お姉様の友達は森に住む動物たちぐらいなのだから」
森の友達と言われてディオンの顔が一瞬浮かぶ。
顔と言われても長い前髪と眼鏡で隠れてよくわからないが。
「森に一人で? そのまま戻って来なければいいのにな……いや、それも困るか」
アドリアン殿下は一人でぶつぶつと何か呟き、そして私に向き直った。
彼の得意げな表情に嫌な予感がした。
「ロゼリア、お前が生んだ子供を俺とナビーナの子として扱うことにする」
「……は?」
「つまりお前との婚約は破棄するが、子供は産んでもらうということだ」
「どういう、ことでしょう……?」
「頭が悪いな、お前が魔力量の多い子供を産んだら俺とナビーナの子として公表するということだ」
そうすれば最初からナビーナを俺の妃にすることができる。
名案を思い付いたとばかりに笑う王太子が私は化け物に見えた。
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