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レノアの章
芝居の支度
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高みにある女性を堕としたい、禁じられたことをしたいというジルク王子の歪んだ性癖。
それは高潔な公爵令嬢アイリスフィア様の運命を汚した。
更にそれだけでは満足せず聖女である私にまで醜い欲望と罠を向けてきた。
私は逆にそれを利用した。高嶺の花として、もう少しで手折れそうな花として愚かな男を人知れず煽り続けた。
この身と心が欲しいなら私と婚約しろと。その為に今の婚約者を捨てろと。
けれど私は生涯純潔でいなければいけない聖女。ただ王に願っただけで許されることは絶対にない。
だから教会の人間、王族、貴族その全員が集まった場で芝居を打ちなさいと愚かな王子を唆した。
婚約者を演劇に出てくる悪役令嬢に仕立て上げて婚約破棄を宣言するようにと。
セイレーンの涙の影響で嫉妬深くなったアイリスフィア様が私に辛く当たっていることは学園内で知られている。
当時の生徒たちが証言者になってくれるから大丈夫だと私は微笑んだ。
そう、実際生徒たちはその通りにしてくれるだろう。
美しい婚約者がいながら聖女にしつこく誘いをかける第二王子の浮ついた行動。
そして婚約者の愚行のせいで心が疲れてしまった哀れな公爵令嬢の奇行に対しての証言をしてくれる筈だ。
私とアイリ様は他の生徒たちから見ても親しい関係だった。当初ジルク王子が私を襲う為にアイリ様を利用しようとしたことからもわかる。
セイレーンの涙の効果でアイリ様が人前で私にきつく接する度に、その場にいた人物に私たちに都合のいい理由を説明し続けた。
けれどそれがスムーズに納得されたのは公爵令嬢として、そして王子の婚約者として高潔に振舞い続けたアイリ様の行動の結果だ。
もしかしたらジルク王子の人望のなさも手伝ったかもしれない。
しかし何よりも滑稽なのは他の生徒たちは皆私が彼を疎ましがっていたのを語る前から察していたことだ。
ジルク王子だけがそこまで見え透いていた私の心を全く理解していなかったのだ。
それは高潔な公爵令嬢アイリスフィア様の運命を汚した。
更にそれだけでは満足せず聖女である私にまで醜い欲望と罠を向けてきた。
私は逆にそれを利用した。高嶺の花として、もう少しで手折れそうな花として愚かな男を人知れず煽り続けた。
この身と心が欲しいなら私と婚約しろと。その為に今の婚約者を捨てろと。
けれど私は生涯純潔でいなければいけない聖女。ただ王に願っただけで許されることは絶対にない。
だから教会の人間、王族、貴族その全員が集まった場で芝居を打ちなさいと愚かな王子を唆した。
婚約者を演劇に出てくる悪役令嬢に仕立て上げて婚約破棄を宣言するようにと。
セイレーンの涙の影響で嫉妬深くなったアイリスフィア様が私に辛く当たっていることは学園内で知られている。
当時の生徒たちが証言者になってくれるから大丈夫だと私は微笑んだ。
そう、実際生徒たちはその通りにしてくれるだろう。
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そして婚約者の愚行のせいで心が疲れてしまった哀れな公爵令嬢の奇行に対しての証言をしてくれる筈だ。
私とアイリ様は他の生徒たちから見ても親しい関係だった。当初ジルク王子が私を襲う為にアイリ様を利用しようとしたことからもわかる。
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けれどそれがスムーズに納得されたのは公爵令嬢として、そして王子の婚約者として高潔に振舞い続けたアイリ様の行動の結果だ。
もしかしたらジルク王子の人望のなさも手伝ったかもしれない。
しかし何よりも滑稽なのは他の生徒たちは皆私が彼を疎ましがっていたのを語る前から察していたことだ。
ジルク王子だけがそこまで見え透いていた私の心を全く理解していなかったのだ。
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