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レノアの章
女神の残酷
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アイリスフィア様と第二王子の動向をそれとなく探り、もし空き時間が重なるようなら公爵令嬢に会いに行き一緒に過ごす。
幸い彼女と私は同じ部活に所属していたし、アイリスフィア様の読書の趣味も知っていた。
年齢が違う為友人とはまた異なる形ではあるが、彼女に懐き、また可愛がられている後輩のように周囲からは思われただろう。
聖女としての威厳は下がったかもしれないが、そのようなものは卒業後に幾らでも貼り付けられる。
そうやってジルク王子が婚約者に手を出せないように機会を潰していくが、それでも間に合わず彼女が火照った体に虚ろな目をしている時は避妊薬を飲ませた。
学園内での暴行が一回だけではなかったので教会の上級幹部たちに報告したが、やはりジルク王子を制御しようという意見は出なかった。
寧ろ司祭長辺りはこの件で教会側が迅速に対応していることを利用し、王家に恩を売りつけようと考えている節すらあった。腐っている。
けれど私はまだ学生だ。一般の人々や信徒に思われているほど今の私には権力がない。けれど大人たちは何もしてくれない。
もしかしたら王家側だって婚約者たちが既に肉体関係にあることなど知っているのかもしれない。
避妊薬を与えられただけましなのだろうか。けれど避妊だけすればいいと考えているならそれはなんて酷く浅はかなのだろう。
アイリスフィア様はいつだって泣いているのに。
私は自分に出来ることを考えアイリスティア様と授業がない時間はなるべく一緒にいるようにした。
今回の件がきっかけではあったけれど公爵令嬢は外見だけでなく内面もとても美しい人だと改めて分かった。
優しくて気高くて、そして孤高の白百合のような苛烈な潔癖さを内側に隠している。
この人は本当はジルク王子でなくとも誰かものになるのは嫌なのではないかと思った。それはもしかしたら私の願望が混ざっているのかもしれないけれど。
「レノア、貴女と話しているととても落ち着くわ」
まるで教会で女神に祈りを捧げている時のように静かな気持ちになれる。
そう花が咲くように鮮やかでけれど儚く微笑む公爵令嬢が幸福になってくれたと私も女神に願った。
けれど、神という存在は残酷な運命を人に与えることを躊躇わない。
この数日後アイリスフィア様は私を憎しみの目で見つめるようになったのだから。
幸い彼女と私は同じ部活に所属していたし、アイリスフィア様の読書の趣味も知っていた。
年齢が違う為友人とはまた異なる形ではあるが、彼女に懐き、また可愛がられている後輩のように周囲からは思われただろう。
聖女としての威厳は下がったかもしれないが、そのようなものは卒業後に幾らでも貼り付けられる。
そうやってジルク王子が婚約者に手を出せないように機会を潰していくが、それでも間に合わず彼女が火照った体に虚ろな目をしている時は避妊薬を飲ませた。
学園内での暴行が一回だけではなかったので教会の上級幹部たちに報告したが、やはりジルク王子を制御しようという意見は出なかった。
寧ろ司祭長辺りはこの件で教会側が迅速に対応していることを利用し、王家に恩を売りつけようと考えている節すらあった。腐っている。
けれど私はまだ学生だ。一般の人々や信徒に思われているほど今の私には権力がない。けれど大人たちは何もしてくれない。
もしかしたら王家側だって婚約者たちが既に肉体関係にあることなど知っているのかもしれない。
避妊薬を与えられただけましなのだろうか。けれど避妊だけすればいいと考えているならそれはなんて酷く浅はかなのだろう。
アイリスフィア様はいつだって泣いているのに。
私は自分に出来ることを考えアイリスティア様と授業がない時間はなるべく一緒にいるようにした。
今回の件がきっかけではあったけれど公爵令嬢は外見だけでなく内面もとても美しい人だと改めて分かった。
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この人は本当はジルク王子でなくとも誰かものになるのは嫌なのではないかと思った。それはもしかしたら私の願望が混ざっているのかもしれないけれど。
「レノア、貴女と話しているととても落ち着くわ」
まるで教会で女神に祈りを捧げている時のように静かな気持ちになれる。
そう花が咲くように鮮やかでけれど儚く微笑む公爵令嬢が幸福になってくれたと私も女神に願った。
けれど、神という存在は残酷な運命を人に与えることを躊躇わない。
この数日後アイリスフィア様は私を憎しみの目で見つめるようになったのだから。
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