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六十八話 隣国の巫女姫
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アリオス殿下の新しい婚約者はルイーダ・エル・サマリア。
隣国サマリアの第三王女だそうだ。年齢は私と同じらしい。
聖なる巫女の素質を持つということだった。
彼女は夢で神様に隣国の王子を夫にするようにと告げられたらしい。
結果父であるサマリア国王を通してルーン国に縁談の話が持ち掛けられた。
そして我が国の王様はそれを承諾したのだ。
晴れて私とエミアはアリオス殿下の婚約者ではなくなったのである。
婚約解消は以前からしていたけれど公な発表はされずじまいだったのだ。
ついでにセリス王子と私との婚約も破棄された。
これにはアリオス殿下の暴走とフレイ父様の尽力があった。
ルイーダ王女とアリオス殿下の婚約は王が決めたものだ。
なので文句なら父王に言うべきだがアリオス殿下は何故かシュタイト公爵家に突撃してきた。
お前らが婚約解消の情報をサマリア国に売ったのだろうといちゃもんをつけてきたのである。
当然そんな事実はない。ついでに言えば別に口外を禁じられていたわけでもない。
公爵家当主である父はその事実を説明し、娘は今原因不明の病気で意識不明であることも伝えた。
するとアリオス殿下は自分に会いたくない為の仮病だと言い張って強引に寝室に押し入ろうとしたそうだ。
日頃は冷静なフレイ父様も激怒し全力でアリオス殿下を追い払った。
その後国王宛に使いを出し、王宮から女官を連れて戻ってこさせ私の病状を確認させた。
今度は自身が女官と共に王宮に出向きアリオス殿下の行動に対し王へ怒涛の非難表明をし、結果私とセリス王子の婚約解消を慰謝料代わりに得たという訳だ。
父の怒りっぷりのどこまでが本気でどこまでが計算だったかはわからない。しかし私の立場が身軽になったのは事実だ。
隣国の姫の夢の内容は正直気になる。どうしても鏡の向こうにいた存在の影がちらつく。
気絶する前は真っ先に父に伝えなければいけないと思っていたことだが、こうも環境が変わると迷ってしまう。
話してしまえば責任は私からフレイ父様に移る。だからこそ言い出すことを迷った。
恐らく父は私が語った内容を王に話すだろう。しかし隣国との縁談が上手くいきそうな所に水を差したと咎められるかもしれない。
アリオス殿下の行動の件で父に責められた国王は隙があればやり返したいと思っている筈だ。前回の対面でそういう人物であることはわかっている。
私は考えて、やはり暫く黙っていることにした。登校しアルやロゼたちに相談してからでも遅くないと考えたのだ。
隣国サマリアの第三王女だそうだ。年齢は私と同じらしい。
聖なる巫女の素質を持つということだった。
彼女は夢で神様に隣国の王子を夫にするようにと告げられたらしい。
結果父であるサマリア国王を通してルーン国に縁談の話が持ち掛けられた。
そして我が国の王様はそれを承諾したのだ。
晴れて私とエミアはアリオス殿下の婚約者ではなくなったのである。
婚約解消は以前からしていたけれど公な発表はされずじまいだったのだ。
ついでにセリス王子と私との婚約も破棄された。
これにはアリオス殿下の暴走とフレイ父様の尽力があった。
ルイーダ王女とアリオス殿下の婚約は王が決めたものだ。
なので文句なら父王に言うべきだがアリオス殿下は何故かシュタイト公爵家に突撃してきた。
お前らが婚約解消の情報をサマリア国に売ったのだろうといちゃもんをつけてきたのである。
当然そんな事実はない。ついでに言えば別に口外を禁じられていたわけでもない。
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するとアリオス殿下は自分に会いたくない為の仮病だと言い張って強引に寝室に押し入ろうとしたそうだ。
日頃は冷静なフレイ父様も激怒し全力でアリオス殿下を追い払った。
その後国王宛に使いを出し、王宮から女官を連れて戻ってこさせ私の病状を確認させた。
今度は自身が女官と共に王宮に出向きアリオス殿下の行動に対し王へ怒涛の非難表明をし、結果私とセリス王子の婚約解消を慰謝料代わりに得たという訳だ。
父の怒りっぷりのどこまでが本気でどこまでが計算だったかはわからない。しかし私の立場が身軽になったのは事実だ。
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気絶する前は真っ先に父に伝えなければいけないと思っていたことだが、こうも環境が変わると迷ってしまう。
話してしまえば責任は私からフレイ父様に移る。だからこそ言い出すことを迷った。
恐らく父は私が語った内容を王に話すだろう。しかし隣国との縁談が上手くいきそうな所に水を差したと咎められるかもしれない。
アリオス殿下の行動の件で父に責められた国王は隙があればやり返したいと思っている筈だ。前回の対面でそういう人物であることはわかっている。
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