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四十四話 アリオス殿下の人望
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ロゼの復学というニュースに隠れる形になったが、学院内では他にも変化が起きていた。
アリオス殿下が教室内で完全に孤立した。
元々第二王子という身分の高さの割に取り巻きは少なかったらしい。
しかし以前アルに絡んでいた男子生徒たちすらも距離を置き始めたというのだ。
確かにアリオス殿下の性格は褒められたものではない。
だが一応次期国王なのだから学生時代から交流し縁を作っておこうと考える貴族がいてもおかしくない筈だが。
「現状、彼が国王になるかはわからないからね」
そう殿下の孤立に一役買ったと思われるアルは平然と言った。
部室内にいたロゼもそれにうんうんと頷く。
「王位継承者として任命されたら違うだろうけれど、現状様子見だろうね」
「でも、このままなら消去法でアリオス殿が王位を継ぐ筈じゃない?」
「そうだね。それなのに現国王が彼をそう扱ってないのが問題なんだ」
「陛下が?」
私とアルの会話にロゼが加わる。彼女は指折り数えながら口を開いた。
「長子のセリス殿下が行方不明になってから三年、アリオス殿下も十七歳だ。なのに現状維持が続き過ぎている」
「現状維持って?」
「現状一人しか跡継ぎがいないのに、陛下は彼をいつまでも後継者として扱わない。だから貴族たちが不審がっている」
もしかしたらセリス殿下の生存を陛下が隠していて、アリオス殿下側につく貴族を炙り出し排斥するつもりじゃないかとね。
ロゼの台詞に私は首を傾げた。
二人いる王子の一人が何年も行方知れずなら、残る一人を次期国王と考え近づこうとするのは貴族としておかしいことだとは思えない。
それはセリス殿下よりアリオス殿下を支持しているという訳ではないと思う。
セリス殿下が健在なら彼を次期国王に推す人間だっているだろう。
私の主張をアルは正論だと認めてくれた。
「だが貴族たちがそういう穿った考えに陥るぐらい陛下の方針が煮え切らないんだよ。ついでに残った一名が正直王としての器じゃない。子供過ぎる」
「そうだね。穏やかで聡明で聖人のようなセリス殿下と比べると外れクジ過ぎる。今からでも遅くないから王室でもっと教育をするべきだ」
姉弟揃って評価に容赦が無さすぎる。両名ともアリオス殿下に因縁をつけられた過去があることを考えれば仕方ないかもしれない。
それに私だって口にしないがアリオス殿下が次期国王になるのは不安しかないと思っている。
しかし気になったのはロゼのセリス殿下に対する褒め具合だ。
私は彼女にセリス殿下と会ったことがあるのかと聞いた。
ロゼは一瞬目を見開いた後「あるよ」と少し寂しそうな表情を浮かべた。
アリオス殿下が教室内で完全に孤立した。
元々第二王子という身分の高さの割に取り巻きは少なかったらしい。
しかし以前アルに絡んでいた男子生徒たちすらも距離を置き始めたというのだ。
確かにアリオス殿下の性格は褒められたものではない。
だが一応次期国王なのだから学生時代から交流し縁を作っておこうと考える貴族がいてもおかしくない筈だが。
「現状、彼が国王になるかはわからないからね」
そう殿下の孤立に一役買ったと思われるアルは平然と言った。
部室内にいたロゼもそれにうんうんと頷く。
「王位継承者として任命されたら違うだろうけれど、現状様子見だろうね」
「でも、このままなら消去法でアリオス殿が王位を継ぐ筈じゃない?」
「そうだね。それなのに現国王が彼をそう扱ってないのが問題なんだ」
「陛下が?」
私とアルの会話にロゼが加わる。彼女は指折り数えながら口を開いた。
「長子のセリス殿下が行方不明になってから三年、アリオス殿下も十七歳だ。なのに現状維持が続き過ぎている」
「現状維持って?」
「現状一人しか跡継ぎがいないのに、陛下は彼をいつまでも後継者として扱わない。だから貴族たちが不審がっている」
もしかしたらセリス殿下の生存を陛下が隠していて、アリオス殿下側につく貴族を炙り出し排斥するつもりじゃないかとね。
ロゼの台詞に私は首を傾げた。
二人いる王子の一人が何年も行方知れずなら、残る一人を次期国王と考え近づこうとするのは貴族としておかしいことだとは思えない。
それはセリス殿下よりアリオス殿下を支持しているという訳ではないと思う。
セリス殿下が健在なら彼を次期国王に推す人間だっているだろう。
私の主張をアルは正論だと認めてくれた。
「だが貴族たちがそういう穿った考えに陥るぐらい陛下の方針が煮え切らないんだよ。ついでに残った一名が正直王としての器じゃない。子供過ぎる」
「そうだね。穏やかで聡明で聖人のようなセリス殿下と比べると外れクジ過ぎる。今からでも遅くないから王室でもっと教育をするべきだ」
姉弟揃って評価に容赦が無さすぎる。両名ともアリオス殿下に因縁をつけられた過去があることを考えれば仕方ないかもしれない。
それに私だって口にしないがアリオス殿下が次期国王になるのは不安しかないと思っている。
しかし気になったのはロゼのセリス殿下に対する褒め具合だ。
私は彼女にセリス殿下と会ったことがあるのかと聞いた。
ロゼは一瞬目を見開いた後「あるよ」と少し寂しそうな表情を浮かべた。
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