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四十一話 王子の孤独(アリオス視点)
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清楚で優し気なエミアの顔が醜く歪む。
それに驚いている間に彼女の体はどんどん異形化し最終的に巨大な蛇に変化していた。
長く太い尾に全身をギチギチと締め付けられ、骨という骨を砕かれそうな痛みと恐怖に襲われる。
口も大きく自分など簡単に頭から一飲みにされそうだった。
夢だとわかっている。だがそれでも非常に恐ろしい。
真っ赤な目がこちらを見つめていると認識するだけで失禁しそうになった。
けれど目を逸らした瞬間に命を奪われそうで無言で見つめ返すしかできない。
数秒なのか数時間なのかわからない苦しみを沈黙したまま味わっていると唐突に大蛇の声が聞こえた。
実際に発された音声なのか、それとも魔力の類なのか、或いは幻聴なのかわからない。
しかし方法など関係なく言葉の内容は俺を怯えさせた。
『胸糞悪いなあ。コイツ。魂だけでも、食べちゃおうかな、』
「ひっ」
奇妙にあどけない語りの直後に蛇の口がガパリと垂直に開かれる。
魂どころではない、全身が簡単に飲み込まれてしまう。死にたくないと思った。
誰か、誰か助けてくれ。しかし呼べる名前はなかった。父も母もきっと助けてはくれない。
エミアは弱いから役に立たない。いや代わりに蛇に食われてくれるだろうか。俺が命じればそうするだろう。
(駄目だ)
庭での冷たい瞳を思い出す。刃物のような訣別の台詞も。エミアは変わってしまった。自分の思い通りにはならない。
悲しい。自分が余りにも哀れで涙が出てくる。この世のどこにも俺の味方はもういないのだ。
王子という高貴な身分に生まれついたというのに。誰も俺を尊重し守ってなどくれない。
それを今はっきりと理解したから悲しかったのだ。
化け物の蛇が泣いている俺を見て『不味そう』と呟いた。
それに驚いている間に彼女の体はどんどん異形化し最終的に巨大な蛇に変化していた。
長く太い尾に全身をギチギチと締め付けられ、骨という骨を砕かれそうな痛みと恐怖に襲われる。
口も大きく自分など簡単に頭から一飲みにされそうだった。
夢だとわかっている。だがそれでも非常に恐ろしい。
真っ赤な目がこちらを見つめていると認識するだけで失禁しそうになった。
けれど目を逸らした瞬間に命を奪われそうで無言で見つめ返すしかできない。
数秒なのか数時間なのかわからない苦しみを沈黙したまま味わっていると唐突に大蛇の声が聞こえた。
実際に発された音声なのか、それとも魔力の類なのか、或いは幻聴なのかわからない。
しかし方法など関係なく言葉の内容は俺を怯えさせた。
『胸糞悪いなあ。コイツ。魂だけでも、食べちゃおうかな、』
「ひっ」
奇妙にあどけない語りの直後に蛇の口がガパリと垂直に開かれる。
魂どころではない、全身が簡単に飲み込まれてしまう。死にたくないと思った。
誰か、誰か助けてくれ。しかし呼べる名前はなかった。父も母もきっと助けてはくれない。
エミアは弱いから役に立たない。いや代わりに蛇に食われてくれるだろうか。俺が命じればそうするだろう。
(駄目だ)
庭での冷たい瞳を思い出す。刃物のような訣別の台詞も。エミアは変わってしまった。自分の思い通りにはならない。
悲しい。自分が余りにも哀れで涙が出てくる。この世のどこにも俺の味方はもういないのだ。
王子という高貴な身分に生まれついたというのに。誰も俺を尊重し守ってなどくれない。
それを今はっきりと理解したから悲しかったのだ。
化け物の蛇が泣いている俺を見て『不味そう』と呟いた。
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