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十四話 情報の在り処

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 セリス王子についてもっと詳しく知りたい。

 行方不明になった当時の殿下の状況や、何よりも消息を絶った場所のことを。

 けれど三年前のことだ。公爵邸ではそこまで昔の新聞は保管してなかった。

 この件について一番情報を持っているのは王子の父であるサイモン陛下だろう。

 しかし彼に尋ねる気にはなれなかった。素直に教えてくれるとも思わない。

 情報提供を拒まれるだけならまだましで、間違った情報を掴ませてくる可能性だってある。

 セリス王子の話を出した時、サイモン陛下に我が子の失踪を嘆く様子は皆無だった。 

 そもそもそのような親としての感情があるなら私への嫌がらせに使ったりはしないだろう。

 アリオス殿下には最初から訊こうとは思っていない。

 単純に会話をしたくないというのもあるが、彼は兄を酷く嫌っている筈だ。

 婚約当時、何気なくセリス王子の名を出したエミアに対し号泣させるまで激怒した記憶が残っている。

 お互い七歳の子供とは言え異常すぎる。

 仲が良くない兄弟など幾らでも存在するだろうが、それで済ませていいレベルではない気がした。

 もしセリス王子が行方不明にならず今も城で暮らしていたならアリオス殿下は毎日不機嫌な顔で過ごしていたのだろうか。

 きっとエミアへ散々に八つ当たりをしていたに違いない。弱い者いじめだけは得意な男なのだから。

 婚約者相手だけではない。貴族学校でも取り巻きをつくり大人しい男子生徒たちを威圧していた。


「そうだ、学校の図書館なら……!」


 エミヤから受け継いだ記憶の中から心当たりを探す。

 結果、今年に入り歴史の授業で五年前の新聞を図書館で閲覧した情報を見つかった。

 五年前の新聞が残っているなら三年前の新聞も保存されている可能性は高い。

 明日は学校を休もうと思っていたが、その考えを取りやめる。

 私はその後数時間必死でエミアの思い出から今までの学校生活を辿った。

 アリオス殿下が明日、いや可能なら私が卒業するまで学校に来ないで欲しいと願いながら。
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