15 / 74
十四話 情報の在り処
しおりを挟む
セリス王子についてもっと詳しく知りたい。
行方不明になった当時の殿下の状況や、何よりも消息を絶った場所のことを。
けれど三年前のことだ。公爵邸ではそこまで昔の新聞は保管してなかった。
この件について一番情報を持っているのは王子の父であるサイモン陛下だろう。
しかし彼に尋ねる気にはなれなかった。素直に教えてくれるとも思わない。
情報提供を拒まれるだけならまだましで、間違った情報を掴ませてくる可能性だってある。
セリス王子の話を出した時、サイモン陛下に我が子の失踪を嘆く様子は皆無だった。
そもそもそのような親としての感情があるなら私への嫌がらせに使ったりはしないだろう。
アリオス殿下には最初から訊こうとは思っていない。
単純に会話をしたくないというのもあるが、彼は兄を酷く嫌っている筈だ。
婚約当時、何気なくセリス王子の名を出したエミアに対し号泣させるまで激怒した記憶が残っている。
お互い七歳の子供とは言え異常すぎる。
仲が良くない兄弟など幾らでも存在するだろうが、それで済ませていいレベルではない気がした。
もしセリス王子が行方不明にならず今も城で暮らしていたならアリオス殿下は毎日不機嫌な顔で過ごしていたのだろうか。
きっとエミアへ散々に八つ当たりをしていたに違いない。弱い者いじめだけは得意な男なのだから。
婚約者相手だけではない。貴族学校でも取り巻きをつくり大人しい男子生徒たちを威圧していた。
「そうだ、学校の図書館なら……!」
エミヤから受け継いだ記憶の中から心当たりを探す。
結果、今年に入り歴史の授業で五年前の新聞を図書館で閲覧した情報を見つかった。
五年前の新聞が残っているなら三年前の新聞も保存されている可能性は高い。
明日は学校を休もうと思っていたが、その考えを取りやめる。
私はその後数時間必死でエミアの思い出から今までの学校生活を辿った。
アリオス殿下が明日、いや可能なら私が卒業するまで学校に来ないで欲しいと願いながら。
行方不明になった当時の殿下の状況や、何よりも消息を絶った場所のことを。
けれど三年前のことだ。公爵邸ではそこまで昔の新聞は保管してなかった。
この件について一番情報を持っているのは王子の父であるサイモン陛下だろう。
しかし彼に尋ねる気にはなれなかった。素直に教えてくれるとも思わない。
情報提供を拒まれるだけならまだましで、間違った情報を掴ませてくる可能性だってある。
セリス王子の話を出した時、サイモン陛下に我が子の失踪を嘆く様子は皆無だった。
そもそもそのような親としての感情があるなら私への嫌がらせに使ったりはしないだろう。
アリオス殿下には最初から訊こうとは思っていない。
単純に会話をしたくないというのもあるが、彼は兄を酷く嫌っている筈だ。
婚約当時、何気なくセリス王子の名を出したエミアに対し号泣させるまで激怒した記憶が残っている。
お互い七歳の子供とは言え異常すぎる。
仲が良くない兄弟など幾らでも存在するだろうが、それで済ませていいレベルではない気がした。
もしセリス王子が行方不明にならず今も城で暮らしていたならアリオス殿下は毎日不機嫌な顔で過ごしていたのだろうか。
きっとエミアへ散々に八つ当たりをしていたに違いない。弱い者いじめだけは得意な男なのだから。
婚約者相手だけではない。貴族学校でも取り巻きをつくり大人しい男子生徒たちを威圧していた。
「そうだ、学校の図書館なら……!」
エミヤから受け継いだ記憶の中から心当たりを探す。
結果、今年に入り歴史の授業で五年前の新聞を図書館で閲覧した情報を見つかった。
五年前の新聞が残っているなら三年前の新聞も保存されている可能性は高い。
明日は学校を休もうと思っていたが、その考えを取りやめる。
私はその後数時間必死でエミアの思い出から今までの学校生活を辿った。
アリオス殿下が明日、いや可能なら私が卒業するまで学校に来ないで欲しいと願いながら。
10
お気に入りに追加
4,659
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
誰にも愛されずに死んだ侯爵令嬢は一度だけ時間を遡る
月
ファンタジー
癒しの能力を持つコンフォート侯爵家の娘であるシアは、何年経っても能力の発現がなかった。
能力が発現しないせいで辛い思いをして過ごしていたが、ある日突然、フレイアという女性とその娘であるソフィアが侯爵家へとやって来た。
しかも、ソフィアは侯爵家の直系にしか使えないはずの能力を突然発現させた。
——それも、多くの使用人が見ている中で。
シアは侯爵家での肩身がますます狭くなっていった。
そして十八歳のある日、身に覚えのない罪で監獄に幽閉されてしまう。
父も、兄も、誰も会いに来てくれない。
生きる希望をなくしてしまったシアはフレイアから渡された毒を飲んで死んでしまう。
意識がなくなる前、会いたいと願った父と兄の姿が。
そして死んだはずなのに、十年前に時間が遡っていた。
一度目の人生も、二度目の人生も懸命に生きたシア。
自分の力を取り戻すため、家族に愛してもらうため、同じ過ちを繰り返さないようにまた"シアとして"生きていくと決意する。
実家を追放された名家の三女は、薬師を目指します。~草を食べて生き残り、聖女になって実家を潰す~
juice
ファンタジー
過去に名家を誇った辺境貴族の生まれで貴族の三女として生まれたミラ。
しかし、才能に嫉妬した兄や姉に虐げられて、ついに家を追い出されてしまった。
彼女は森で草を食べて生き抜き、その時に食べた草がただの草ではなく、ポーションの原料だった。そうとは知らず高級な薬草を食べまくった結果、体にも異変が……。
知らないうちに高価な材料を集めていたことから、冒険者兼薬師見習いを始めるミラ。
新しい街で新しい生活を始めることになるのだが――。
新生活の中で、兄姉たちの嘘が次々と暴かれることに。
そして、聖女にまつわる、実家の兄姉が隠したとんでもない事実を知ることになる。
(本編完結・番外編更新中)あの時、私は死にました。だからもう私のことは忘れてください。
水無月あん
恋愛
本編完結済み。
6/5 他の登場人物視点での番外編を始めました。よろしくお願いします。
王太子の婚約者である、公爵令嬢のクリスティーヌ・アンガス。両親は私には厳しく、妹を溺愛している。王宮では厳しい王太子妃教育。そんな暮らしに耐えられたのは、愛する婚約者、ムルダー王太子様のため。なのに、異世界の聖女が来たら婚約解消だなんて…。
私のお話の中では、少しシリアスモードです。いつもながら、ゆるゆるっとした設定なので、お気軽に楽しんでいただければ幸いです。本編は3話で完結。よろしくお願いいたします。
※お気に入り登録、エール、感想もありがとうございます! 大変励みになります!
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
裏切りのその後 〜現実を目の当たりにした令嬢の行動〜
AliceJoker
恋愛
卒業パーティの夜
私はちょっと外の空気を吸おうとベランダに出た。
だがベランダに出た途端、私は見てはいけない物を見てしまった。
そう、私の婚約者と親友が愛を囁いて抱き合ってるとこを…
____________________________________________________
ゆるふわ(?)設定です。
浮気ものの話を自分なりにアレンジしたものです!
2つのエンドがあります。
本格的なざまぁは他視点からです。
*別視点読まなくても大丈夫です!本編とエンドは繋がってます!
*別視点はざまぁ専用です!
小説家になろうにも掲載しています。
HOT14位 (2020.09.16)
HOT1位 (2020.09.17-18)
恋愛1位(2020.09.17 - 20)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる