前世の記憶を取り戻したら貴男が好きじゃなくなりました

砂礫レキ

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十三話 王位継承について

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 屋敷に帰り着替えを終えた後に軽食を摂る。帰宅してすぐ父とは行動を別にしていた。

 サンドイッチと紅茶を用意して貰ったが酷くお腹が空いていたのでおかわりしてしまった。

 ストレスが溜まると食べることで解消しようとするのはエミアも自分も似ていると内心苦笑いした。

 ただエミアは私と違いチョコレートなど甘い物をやたらと食べたがるのだが。

 その情報もアリオス殿下との思い出と一緒に流れ込んできたものだ。

 空腹が満たされた後、そのまま眠ってしまいたい気持ちを堪えて自室の本棚を漁る。

 王家の歴史と書かれている本を手に取って開いた。

 最新版が発行されたのが十年以上前の為セリス殿下の失踪の件はまだ記載されていない。

 ただ彼の外見についての情報は得ることが出来た。

 挿絵には金髪に緑色の瞳の少年が描かれている。髪色も顔立ちも母親であるフィアナ王妃に似ていると思った。

 アリオス殿下は暗い赤褐色の髪に緑色の瞳で鋭い目つきは国王似だ。兄弟で綺麗に別れている。

 三歳違いだからセリス殿下が生存していれば今年で二十歳になる筈だ。行方不明になった当時で十七歳。

 自分の意思で出奔した可能性も捨てきれない。だがその理由が思いつかなかった。


(たとえば、父と弟の性格が最悪過ぎて家に居たくなかったとか……?)


 自分で考えて流石にそれはと首を振る。そもそも私はセリス殿下の性格もよくわからないのだ。

 本には穏やかで賢いと書かれていたが、アリオス殿下に対しても利発で物怖じしない性格と記してあったので信用できない。

 だがあの悪魔のようなサイモン国王はどのような評価をされていたのだろうと興味がわき頁をめくる。


「あら、陛下も次男だったのね」


 どういう経緯で王位を継いだのか読んでみると長男が生まれつき病弱だった為と書かれてあった。

 確かにサイモン陛下の兄であるガレスという人物は二十年近く前に亡くなっている。

 そしてこのままなら父親と同じく次男であるアリオス殿下が国王になるだろう。

 憂鬱な気持ちになりながら私は本を棚に戻した。

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